『こばなし その1』
逆さ虹の森の中。
願いが叶うというお池がありました。
ある日、お池に願いごとをしようと、
一匹のキツネがやってきました。
このお池は、ドングリを投げ入れて願いごとをすると、そのお願いが叶うといわれています。
だからキツネは、お池にドングリを投げ入れたのです。
ポチャン!
すると、お池がパーっと光ります。
そして、お池の中から美しい女神様が現れたのです!
女神様はキツネに言いました。
「あなたが落としたのは、この少しま〜るいドングリですか? それとも、この少しほ〜そいドングリですか?」
キツネは自分が投げたドングリが、どんな形をしていたか憶えていません。
だから、正直に答えます。
「い、いや、わかんないです……」
その答えを聞いて、
女神様は優しく微笑みます。
そして、キツネに言いました。
「あなたは正直者ですね。
正直者のあなたには、この少しま〜るいドングリと、少しほ〜そいドングリ、両方のドングリをあげましょう」
そう言って、女神様はキツネにドングリを渡し、お池の中に消えていきました。
ドングリを受け取ったキツネは思います。
「……え?」