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モブ、帰宅。

屋敷に帰れたのは次の日のお昼前となりました。

昨日は賊が大人数な事もあって街道が使えるようになったのは日没後、流石に道の安全が保証出来ないし、夜道を帰らせられないとして野営地で1泊。

朝食後は、安全確認の為騎士団による周辺の探索をきっちり済ませてから出発、勿論騎士団の護衛付き。


「奥様、ご無事で」

「ええ、大丈夫、道中に賊が居たけど引き返したし、何も無いわよ」

ホッとした様子でサラは言う

「日帰りと聞いていたので、中々お戻りにならず、日暮れ程に騎士様が来て賊が出たと聞いて心配しました・・・」

そうよね、中々帰って来ない上に、賊に会いました、では「まさか!」となりますよね。

「心配掛けてごめんなさい、帰れるようになった時には暗くなっていたから野営地に泊まったの、賊も道には5人程しか姿が見えなかったけど、実際は20人以上潜んでいたそうよ」

「まあ・・・、ご無事で何よりです」

「子供達は?」

「申し訳ございません奥様、お疲れの所だと思いますがウィリアム様達をお願いします・・・」

「え?」

「昨日まではとても良い子で過ごして居られたのですが、本日になりまして、お食事も受け付けず泣いておりまして・・・」

なんですって?

「そう言えば私、出産してから丸一日以上、屋敷を空けたこと無かったけど、まさか?」

「分かりません、乳母も侍女達にも手に余ってまして・・・」

「勿論、私の疲れなんてどうでもいいわ、行くわよ」

「すいません・・・」


流石に土埃塗れなので、ササッと湯で流してから子供部屋に行くと

「わお・・・」

子供部屋の前で泣いているミカエルがあやされてます

子供部屋の中からも泣き声が聞こえます

夫婦の部屋からも何か聞こえます

ご機嫌ナナメ全開ですね!

「ミカ、ただいまー」

「お、おくさまー、助けて下さい、もう私達では何してもダメでー」

「遅れてごめんなさい、ミカをかして」

そっとミカを受け取り抱くと


ピタリ


泣き止んだ・・・


「・・・」

「・・・」

「・・・」


えっと、?


「奥様と分かって安心したのでは・・・」

「う、んん?」

そうなのかな?

「ミカ、お腹空いてる?」

「あ、奥様ここでは・・・」

廊下だものね、どうしましょうか、子供部屋でも泣いているし

「奥様方の部屋には今ウィリアム様が居ますが、奥の寝室に移動させて、こちらの部屋で授乳させては?」

「そうしましょうか」

「伝えてきます」


私室に行ってミカに授乳させると、それはもうごくごくと飲みます

「お腹空いてたのねー、いっぱい飲んで寝ましょうねー、ミカ」

んー、んんー、んー、鼻歌交じりにゆーらゆーら

「すー、すー」

「寝た」

「奥様、凄い・・・」

「抱っこしておっぱいあげただけなんだけど・・・」


「取り敢えず次はウィルね、ミカをお願い、私が移動した方がいいし」

「あ、はい」

「あれ、でも寝室から泣き声が・・・」

聞こえませんね・・・

カチャ・・・、静かに寝室へ行くと

「奥様、歌声が聴こえてきたらウィリアム様がとても落ち着きました・・・」

侍女は髪がほつれて、ぐったり疲れているのが見て分かります。

「あらー、ウィルもお腹空いてるかな?」

「恐らく、本日は何も口にしていませんから」

「そう、はい、おいでーウィル」

ウィルも抱きあげると、弱い力でもしっかりと服を掴んで飲み始めます、って、強い!いつもより!

「ごめんねー待たせて、ウィル大丈夫逃げないから、ね」

なでなで

ゆーらゆーら



すやすや・・・

「早くない?」

「やっぱりお母さんが1番なんですよ、匂いと温かさを覚えているのかも」

「ふふ、いい子いい子・・・」


そっとウィルも任せると、最後に子供部屋のミリエルの所へ

「ギャーっ」

うん、全力で泣いてますね・・・

「ミリー様・・・、そんなに泣かないでくださいぃ・・・」

侍女も泣きそう・・・

「お待たせ、お疲れ様」

「おおおおくさまぁぁぁ」

あ、泣いちゃった。

「ミリーただいま、ごめんね?」

ぐずっていたミリーも次第に落ち着いてきて

「あぶー」

「よしよし、ミリーもご機嫌ね」

ミリーが落ち着いたので子供部屋にはみんな戻ってお昼寝

ンー、ンンンー、ンー、♪

ンー・・・



「」








「ねえ・・・、奥様が毎回ウィリアム様達と一緒に寝落ちするのなんなの?」

「そんっ、んふっ、そんな事私に聞かないでよ、っ」

「今回は流石に騎士団の野営地で一晩過ごして疲れたんでしょ?」

「ふ、んんっ、だからって、夜突然子供部屋に来たり、今みたいにあやして、そのまま寝るって、ふふ」

「今回も、ほら、よだれ」

「んはっ、ちょっと、も、むりっ」

「外出て笑いなさいよ、折角ウィリアム様達が寝たのに・・・」

「んひっ、っ」

パタン・・・、無音で外に出たと思えば



「あはははっ、本当に無理っ!」

「ちょっと、そんなバカ笑いするなら、違う部屋に入ってなさい」

「だっ、、て、ひっ、おくさっ、普段っ、しっかりしてるのに、ふっ、赤ちゃんと一緒に!ヨダレっ、2度も、っく」

「もう、ほらタオル」

タオルに顔を埋めて、肩をヒクヒクさせて更に笑う侍女

「っひ、んくく、」

「笑い過ぎよ・・・」



「何を、廊下で騒いで居るのですか?」

突然侍女長アリアが現れ、息が止まる

「ひっ」

「あ、奥様がミリエル様を抱いたまま寝てしまわれたので、ブランケット取ってきます」

サッと消える侍女、笑っていた侍女は

「あ、あの・・・、お、奥様がっ、ふふっ」

「・・・」

アリアを前にまだ笑っていた・・・

「貴女は公爵邸に仕える侍女としての立ち居振る舞いと言うものを分かっていないようですね、後で私の部屋に来るように」

「ぴっ!あ、あの、、」

「仕事に戻りなさい」

「は、はいぃ・・・」

侍女長に言われ肩を落として仕事に戻る侍女

アリアはため息を吐きながら子供部屋に入る

「すー、すー・・・」

そこには涎を垂らして、ドレスに染みを作り寝ている主が・・・

「奥様・・・」

ガクリと力が抜ける

おかしい!ここ10年程見守って来て、立派な淑女になったと思っていたのに、結婚してお屋敷に来てからは奥様のこういった姿を結構見掛ける・・・

この事を夫ジェレミアに言うと

「良いじゃないか、気心の知れた家族になったって事だよ、これまでは許嫁で仲良くして来たと言っても他所の人間として一線引かれていたんだ、家族にしか見せないような無防備な姿を見せてくれた、それは家族になったという証じゃないかな」

「だからって、涎を・・・」

ジェレミアは苦笑しながらも

「お屋敷が奥様の休める場所として機能しているんだ、良いじゃないか、外ではしっかりしているのだろう?」

「ええ・・・」

「奥様がお屋敷でも気を張っていたら、疲れてすぐ出ていっちゃうよ」

それはそうだけど、ヨダレは違うと思う、何か釈然としない思いを抱えるアリアであった・・・



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