モブ、向かう。
「いってらっしゃいませ」
すぴー、すぴー
「ああ、行ってくる」
今日はヴィーが野営に参加する為、見送りです。
残念ながら腕の中のミカは眠っていますが、ヴィルヘルム様は満足そうに笑って出発して行きました。
「さて、と」
「奥様、以降の予定は」
「空けてあるわね?」
「はい」
「では最終確認をしておいて、後は待つのみよ」
私は部屋に戻ってミカ達にご飯です。
「いっぱい飲んで大きくなってね」
幸せですね、もうこれ以上何も要らないと思えます。
「もういいの?お腹いっぱい?」
ぽんぽん、けふ。
「はい、ごちそうさまでした」
「奥様代わります、ウィル様とミリー様をお願いします」
「ありがとう、さ、ウィルお待たせ」
たーんと召し上がれ。
「おいし?」
ウィルは男の子だけあって吸う力が少し強いです、もう個性が出てきてます。
「♪~」
鼻歌もノリますよ
「きゃーう、きゃ、きゃ」
ミカもご機嫌、胸にはウィル、ベッドには穏やかに眠るミリー、んふふー。
ぽーんぽん、くぷっ。
「ごちそうさま、おいしかった?」
「奥様」
「はい、お願いします」
「お待ちかね、ミリー」
寝てるけど口元に合わせると飲み始めます、寝ながら!この子・・・
次第に目が開いてきて起きますが。
「むかーし、むかし、ある所におじいさんとおばあさんが居ました。
おじいさんは山へ芝刈りに・・・」
「奥様、おじい様は何故山の芝を刈りに?」
それもそうね・・・
「おじいさんは山へ山菜を採りに、おばあさんは川へ洗濯をしに行きました」
「時代ですね」
そうね、わざわざ川に行くなんて大変よ?
「おばあさんが川で洗濯をしていると、どんぶらこー、どんぶらこ」
「何ですか、ドンヴァラコって」
なんでしょうね・・・
「ちゃぷちゃぷと川上から大きな桃が流れてきました」
「まあ!」
「おばあさんは桃を採り家に持ち帰る事にしました、おじいさんが帰宅するのを待ち一緒に食べようと思います」
「大丈夫なんですか?」
多分大丈夫!
「ナイフで真ん中から切ろうとした瞬間、パカっ割れて、何と中から男の子が!」
「ええっ!?精霊ですか!?」
多分人間では無いわね。
「おぎゃあ、おぎゃあと泣き声をあげる赤ん坊に驚くおじいさんとおばあさん、これも天の思し召しと赤ちゃんを育てる事にしました」
「出自の分からない子を・・・、なんとお優しい」
確かにね!
「桃太郎はスクスクと育ち・・・」
「ももたろう、と言うのですかその子は??」
名前、変かな?世界アレンジしないと・・・
「ヴァンダムはスクスクと育ち、ある日おじいさんとおばあさんに言います、おじいさんおばあさん、僕は鬼退治に行かねばなりません」
「鬼とは?」
うーん・・・
「僕は悪魔退治に行かねばなりません、この道をずっと行った先には悪魔島と言われる島があり、そこの悪魔達が人々を苦しめて居るのです」
「ヴァンダムは神の御使いでしたのね」
神子?まあアリ、かな?
そんなこんなで子供達と侍女達に御伽噺を披露して過ごしました。
今度絵本作りましょう!
ヴィルヘルム様が野営に行ってから3日目の早朝、手紙が届きました
「あら、これ騎士様からね」
ん?何故騎士様から・・・
「こんにちは、結婚式ぶりです、突然ですが助けて下さい、ヴィルヘルム副団長の機嫌が悪いです」
「・・・」
以上!?
「サラ・・・」
「はい?」
手紙を見せると
「奥様の予想通りになりましたね」
苦笑するサラ、この予想は外れて欲しかったわ・・・
しかも今3日目よ、という事は2日目にして・・・
もう!
「サラ」
「いつでも」
「ありがとう、馬車の準備を、私は何か簡単なものを作ります」
「はい」
さてさて、やりますか!
私の予想は、ヴィルヘルム様が今長期的に屋敷を離れて我慢出来るか否かで、無理かなー、と思っていた所です。
朝起きては真っ先に子供達の元へ、支度をして、食事を済ませ子供達の元へ、執務を始め、休憩時間には子供達の元へ、昼食を摂り子供達の元へ
「・・・」
仕事の効率は下がっていません、寧ろ上がっていますので、誰も何も言えません。
ササッと簡単にサンドイッチを作り、バスケットに崩れないように詰めて、ワインも。
野営に相応しい服装に着替えて、あとはこの本を持って行きます。
「奥様、本当に私は行かなくても?」
「サラ大丈夫よ、護衛も数人居るし騎士様達の半数以上は知り合いだから、それより子供達の事をお願いね」
「はい、お気を付けて」
「うん、行ってきます」
ヴィルヘルム様の機嫌を良くするには子供達に会わせるのが1番ですが、まだ首も座らない子達です、野営どころか屋敷から出すつもりもありません、つまり私が行くしか有りませんよね。
手荷物がそれなりにあるので馬車でトコトコ向かいます、片道2時間程ですかね、朝に手紙が届き、色々準備して出発、まあお昼前には野営地に到着するでしょう。
あ、王子に会う事になりますかね?




