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閑話 ヒロインの生きる事。

ある日、私は死んで、そして生まれていた。

前世と言うのだろう、地球の日本生まれ。


誰も知らない場所、友達も居ない、父は居た、母も居た、だけど私の知る両親ではなかった、実の両親なのにそんな意識が拭えなかった。

父と、母と、呼べなかった、呼べば前の両親を否定するような気がしたから、前世の事も話せる訳がなかった。


パソコンもない、スマホも、ゲームも、何もかも無かった、つまらない・・・


5歳お披露目の時、この世界が乙女ゲームの世界と知る

メインヒーローのアーサー様を筆頭に全部のヒーローが居た。

その時からそれだけが支えになった、日本のゲーム、私はヒロイン、幼少期からイベントは有った、ストーリーをなぞりヒーローと仲良くなる。

やり込んだゲームだったから簡単な事だった、唯一前世を感じられる出来事を必至になって辿った



そんな時出会った

「ロミオとジュリエット」

「みにくいアヒルの子」

「オペラ座の怪人」

他。

日本に、地球に在った作品を見つけ嬉しくなる

本は買い、舞台は観に行く

内容は知っているままの中身、それが本当に嬉しくて懐かしくて、何か救われた気がした。

それからは沢山本を読むようになった、その中でも「この世界に私は生まれた」略して「このせか」と言う本の内容に惹かれる、まさしく私と同じような人生を送っている、地球日本を匂わせる背景を持つヒロインが、生まれ変わり、転生、前世の記憶を使って今世を生きて行く物語。

作者に一方的にシンパシーを感じて、いつか必ず会いたいと思う、この人は転生者ではないかと僅かな希望があった。

作者の名前は


リリモーブ・ラカン


不思議な名前、男か女かも分からない

どれくらい歳上か、書き方から推察するにそこまで高い年齢ではないと思う。



学園に入る、最初だけだった上手く行ったのは。

気付かないフリをするのも限界だった、認めたくなかった、この世界は乙女ゲームが基になっているけど、みんな生きている事に。

やっぱり私は死んだという事を、ゲームの世界のままでいたかった・・・


王宮舞踏会が近付いて来ていたある日、ゲームは終わった。

いいえ、分かっていた事だった、ゲームでない事、私はただ逃げていただけだ、前世死んだ事から、今世の人生から


これからどうしよう



そして、彼女に出会う。

小さな子だった、赤毛の普通のかわいい子、突出した容姿ではない何処にでも居るモブのような存在、名前はリリアン・モブラック、やっぱりモブじゃない!と笑う。

10年以上続けて来た虚勢はもう癖になっていて止まらない、弱音を吐いたら崩れてしまいそうで必至だった。

すると彼女は、深呼吸すると一息で捲し立て始めた


ゲーム 日本人 エンディング 断罪イベント


彼女の口から私しか知らない筈の言葉が沢山出てくる、嬉しくて、もっと日本の事を話したいのに、憎まれ口と責任転嫁の言葉ばかりで嫌になる、人のせいにしていないと耐えられなかった、ごめんなさい、、私が悪いのは分かっているの。


そんな私に怒ったのか

「ヴィル!来なさい!」

と、誰かの名前を呼ぶとガチャリと部屋に入ってくる大男、その容姿は乙女ゲームの世界に似つかわしくない恐ろしい容貌、体格、そして剣。

カチンと鍔鳴りの音が部屋に響く


「ねえ、アリシアさん貴女で試してみますか?

セーブは出来た?いつ、どこで、やり方は、ロードは出来ました?リセットは?」

冷淡な声で言われて、死んでみる?そう言われた気がした

そこで理解する、私の現在がどうなっているか、この先どうなるか


「そ、そん、な、じゃあ私っ・・・」

死ぬの?

身体が震える、2度も死にたくない、まだ何もしていないのに!

勝手な事を言っているのは分かってる、でも死にたくない。


その後は「やらせ」と分かり怒ったり

地球と同じ本はリリアンが全部書きおこしていたり

会いたいと思っていた「このせか」の作者は彼女と分かり嬉しいような素直に喜べないような複雑な気持ちになったり

リリアンは新婚で、さっきの大男はリリアンの旦那様という事実に驚いたり

色々話していると、リリアンはとても強かでいい性格をしていた

それに(ヒロイン)より主人公(ヒロイン)していた、なんなのこの子!

見た目はモブなのにスペックは並ではなく、聞くとお披露目会の頃から必至で勉強して来たと言う

私は何をして来たのだろう・・・


それからはリリアンの家庭教師が始まった。

王子妃になる事がこんなに大変だとは思っていなかった、お茶を飲むだけでも細かく指摘される、勉強も足りない、それでも王子妃教育の前段階だと言う。

でも、生まれ変わって15年の中で1番生きていると思えた、同じ生まれ変わりの存在が一緒に居たから頑張れた、今なら今世の父母も、父、母と呼べるかも知れない・・・


学園で迷惑を沢山掛けていた、リリアンが私の事を本当は良く思っていないのも分かっていた、でも彼女は手を抜くどころか真剣に教えてくれた、パソコンもない世界、資料も手書き。

一度だけ聞いた、なぜそこまで真面目に出来るのか、彼女は答える

「私の失敗で貴女に何かあった時、私はそれを背負いたく有りません、それに手を抜く事は恩師の教えに反します、言ったでしょう?貴女が諦めない限り私は力を貸しますと」

泣きそうだった、自分自身の為に頑張っているだけだと言っていたけど、その実、優しくて、嬉しくて、この人生をこれから頑張って生きて行こうと思えた。

ありがとうリリアン、今は何も出来ないけど、いつか必ず恩を返すから、私頑張るから。


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