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モブ、指導。

「さて、アリシアさん、貴女が日本に居たなら数学はやらなくても良いですよね?」

「ええ、数学だけは」

「だけって、何ですか・・・」

「見なさい、私の成績評価」

ピラっと紙を渡して来るアリシアさん

「・・・っ」

息を飲む私

「アリシアさん、これ・・・」

「分かっているから言わないで・・・」

「貴女アホの子だったの」

「言わないでよっ、乙女ゲームだと思っていたから勉強をまともにしていないのよ!」

これは酷い・・・、どこから手を付けましょうか

「歴史は必須よ、王家に嫁ぐならこの国の事は全て知っていないとダメ」

「ええ・・・」

「後は淑女教育、所作、マナーは見直します、1度お茶会を開くので貴女は身に付けた通りに動いてみて下さい」

「分かったわ」

「因みにアリシアさん、現代知識で使えるもの何かある?」

かなり評価に加点出来るので、有ったら嬉しいのだけど。

「無いわ・・・」

「無いって」

「趣味は乙女ゲームと・・・ェル、特技はこれと言って」

「え?すいません、乙女ゲームの後が聞こえなかったのだけど、もう一度」

「・・・ビ、・・・」

「?」

「ああ、もう!BLよBL!好きだったの!」

「あらー」

「あらーじゃないわよ、馬鹿にしてるの?」

「してないわ、使えるわよそれ、仕事は何していたの?」

「看護師・・・」

「使えるじゃない、最高よアリシアさん」

「看護師私1人では何も出来ないわよ、医師ではないし」

「看護師をするならそうだけど、貴女が現場に立つ必要はないじゃない、こちらの医療水準知ってる?」

「ええ、あまり高くは無いわね、無駄な所もあるし、あと一部で全く科学的でない医療行為もあるわ」

「それよ、その点を改善させて行きましょう」

「どうやって、私の評判悪いんでしょ?誰も耳を貸さないわ」

「私が居るじゃない、アリシアさん1人で言ってダメでも間に私が、そしてヴィルヘルム様が入ったら、少なくとも国王陛下と王妃様は耳を傾けるわね」

「良いの?医療行為よ?失敗したら人が死ぬのよ、私が嘘を言ったらどうするの」

「デタラメを言って人を死なせるのですか?アリシアさんは」

「そんな事、しないけど・・・」

「なら何も問題ないじゃない、それにいきなり生死に係わる点を改善なんて出来ないわよ、小さく実績を積んで信頼を得ないとねアリシアさん?」

「分かったわよ・・・、で、何から改善するの」

「先ずは騎士団からにしましょうか、訓練で打ち身、切傷、刺傷、骨折、消毒、縫合、必要な道具、薬、幾らでもあるわ」

「待って、縫合なんて知識はあるだけ、薬も効果は分かっていても調合なんて出来ない」

「それは出来る人に任せてしまえば良いわ、こっちの世界のやり方を見て提案するだけで十分、基本は地球の中世と同じ世界だから共通点は多いのだし、現代知識を持っているだけでその分野はどんどんブラッシュアップ出来るわ」

専門家がこちらにも居るのだから、企画、提案で十分貢献出来るのよ。

あっちに有って、こっちには無いものを知ってるだけで商機はありますからね。

全体的な底上げも必要だけど、ストロングポイントを全面に押し出して特化した方がわかり易いし、ひとつ誰にも負けない武器は支えになります。

まともなやり方でマリエル公爵令嬢の10年を越そうなんて無理、なら一点においてだけでも追随を許さない要素を。


「私はお茶会中心に指導、あと現代知識の提案を」

「分かった、詰め込み教育になりそうね・・・」

はあ、とため息を吐くアリシアさん

「アリシアさん、今言っておくけど勉強、指導、提案その他、夜はやらないで日が昇ったら活動、日が沈んだら活動終わり、夜更かしは無しよ、週休二日、3食食べる、午前午後休憩を入れます」

時間が足りないのは重々承知、でも詰め込み過ぎは効率を下げるし、顔色の悪い淑女なんて本人の為にもならない、教師である私にとっても恥ずべき事だから。


「そんなに緩くて良いの?」

「緩くなんて無いわよ、正味午前と午後で3.5時間程しか使えないのだから、時間当たりの密度は濃くなるし、あと空き時間にBL書き出しましょう、きっと売れるわよ」

「私読み専で本なんて書けないし、売れるかどうかなんて分からないでしょ」

「売れるわよ、この世界娯楽が少ないから本が強いのよ、特に御夫人令嬢方は娯楽に飢えているわ、最初は私が添削指導するから書いてみましょう、そして本を出して話題になればきっと誰かが真似をするわ、そうすれば」

「BLが読める・・・、私、やるわ」

釣れました、何事もモチベーションの維持が大切よ。


「ねえリリアンさん、貴女BL書けないの?」

「書けないと言うより、良いと思う所が解らないからツボを押さえられないわね・・・

私は純愛、コメディ、ハッピーエンドが好きだから、多分書いても面白くないし、私も楽しくないわね・・・」

「確かに貴女が出している本、基本的に王道で悲哀とか無いものね」

形にするなら自分の好みを反映させた方が筆も進むし楽しく書けるからね、執筆自体が仕事なら売れ筋の内容を詰め込んで書いて利益を得るのが正解でしょうけど。

現在、執筆のみに収入を頼っている訳ではないし、子爵領と公爵領でやりたい分だけの利益は得ているから気の乗らない内容をわざわざ書く必要が無いわ・・・

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