モブ、式の前準備。
ルーク義兄様の発言によりひと月後に結婚式を挙げる事になり、準備が始まりました。
準備と言ってもドレスやら何やら物資的な物は揃っており、私自身の準備が1ヶ月、も要りますかね?と発言した所
「何言ってるのよ、一生に一度なんだから今から磨かないと!」
「そうよ、良いから来なさい」
ラファエル義母様とエリザ義姉様の勢いに負けました・・・
マリア母様に話した所
「王家で磨いてもらえるなんて一生の思い出ね、ふふふ」
と笑っていました、誰も止めません。
男性陣は「男の出る幕ではない」と一喝されておしまいでした・・・
「が、学園は・・・」
「「休みなさい」」
「勉強が・・・」
「マイヤール夫人の教育を終えているなら学園で教わる事なんて無いわ」
「勉強ならわたくし達で教えるわよ、良いわね?」
お、おぉ・・・、はい、、良いも何もこの国の淑女の頂点に位置する御二方が教師で、家庭教師ってどういう事なんですかね。
「1ヶ月もモブラック子爵邸から王宮に通うのは、警備の面でも時間の面でも無駄ね、リリアンちゃん私達の離宮の部屋空いてるから泊まりなさい、いえ住みなさい」
「はい!?ラファエル義母様なにをっ」
「警備は万全、移動時間の無駄も省ける、対案は?」
「ありません・・・」
押しの強い家族です、色々と強い。
「ふふ、ウェインも喜ぶわ、わたくしもエリザも娘は出来なかったから楽しみよ」
ガウェイン義父様もですか、将来的に私や王子達夫婦で孫娘を産まれたら、強烈にフィーバーしそうで怖いです。
取り敢えずララ達には手紙を送っておきましょう、多分ですがこのまま学園に戻る事は無いような気がしてます。
気、というかほぼ確信めいたものですね、まあ婚姻と同時に学園を辞めていく人もそれなりに居るので珍しい事ではありませんが、この1ヶ月そこそこで急転直下過ぎますね。
「さて、取り敢えずわたくし達専属の侍女に磨いてもらいましょう、1ヶ月も掛けて磨き上げたら凄い事になるわよ、きっと」
「は、え、王妃専属!?」
「そうよ、わたくし達が手配を掛けるのだから、全てそうなるわよ」
いや、そんなさも当然の様に言われても・・・
「何故、私は王妃待遇になっているのですかね?」
前国王の離宮に泊まり込んで、王妃専属による磨き上げ
「ヴィルの婚約者なのだから、実質王妃みたいなものじゃない」
「いや、ヴィーは継承権放棄してますし・・・」
「現国王の弟なのだから一緒よ」
気が遠くなるような問答です、しかも問答なのに問答無用感が強い・・・
「細かい事はどうでも良いのよ、さ、脱ぎなさいリリアンちゃん」
細かい事、かなぁ?
渋々お手伝いされながらドレスを脱いでいくと、
「・・・、ラファエル義母様とエリザ義姉様は何故此処に居るのですかね」
「「女同士裸の付き合いよ」」
それはお風呂ではないのですかね!?
そもそも裸になるのは私だけですし!
そこからは無理矢理剥かれました、脱いだのではありません剥かれました、もうお嫁に行けない・・・
「お嫁には今から行くのよリリアン」
心の声に平然とツッコミは止めてくれますか!
専属侍女により、お風呂に入れられ、お風呂から上がりベッドに寝かせられ、侍女さんの磨き上げが始まるかと思えば
「きゃー、リリアンちゃんはやっぱり肌綺麗ね」
「本当に若さかしらねリリアン、すべすべしてて羨ましいわ」
義母様達が
「ほら、ラファエル様こことか」
んっ
「エリザ、お尻もっ」
ちょっ、御二方にちょっかい出されて・・・
「背中も綺麗よね」
「あっ、背中はちょっと、」
ツーっと背中を撫でられてしまい
「あ、ん・・・、ふっ」
はあああ!止めて下さい、背中は何故かゾクゾクするんですよ!
「・・・」
「・・・」
「・・・?」
何ですか、ラファエル義母様もエリザ義姉様も黙り込んで、と顔を上げて見ると
「っひ」
笑顔っ、笑顔が怖!
「リリアンちゃん」
「リリアン?」
嫌な予感が強烈にしてます
「「貴女、背中が弱いのねぇ?」」
「あ、ちょっと待って下さい、本当に背中は止めてくださ」
止める間もなく
「ああっ、んっ」
ラファエル義母様が背中をフェザータッチで
「ひ、、ぁ」
エリザ義姉様が脇から肩甲骨に掛けてねっとりと触ってきて、感じ・・・、いえ!くすぐったいだけです。
「や、ラファ、エル義母様、止めて・・・」
「あら、そう言えばエリザの事は愛称で呼ぶのに、わたくしの事は呼んでくれないのかしら、そうね、エル?
ラファ?うーん、ラフィー、そうラフィーと呼びなさい、そうしたら止めてあげる」
助かりたい一心なので、呼び名などどうとでも、と呼ぼうとした
「ラ、ラフィーかあさ」
つつー、と腰から背中に掛けて撫でられ
「ひんっ」
エリザ義姉様止めてっ
「あら、呼んでくれないの?」
なら、止められないわねと拷問(?)を続けるラファエル義母様
「ほほほ、リリアンは本当に面白いわね」
高らかに笑うエリザ義姉様、地獄かここは!
そんな事が5分?10分?と続けられたでしょうか
顔は真っ赤、涙も溢れそう、息も絶え絶えになりながらも、ふと呆然としている侍女さんと目が合い
「た、、たすけてぇ・・・」
なんとか救助を口にすると、侍女さんはハッとした表情になったかと思えば
「王太后様、王妃様お止め下さい、やり過ぎです!」
と咎めるように言う、テンションが高くなっていたラファエル義母様とエリザ義姉様も、やりすぎを気付いたのか
「あら、ごめんなさいねリリアンちゃん、つい、何故かいじめたくなっちゃって・・・」
「ごめんなさいリリアン、でも貴女も悪いのよ?
わたくし新たな扉を開きそうになってしまったわ」
こ、この王妃'sは・・・
脱力と共にハァハァと息を整えていると
「リリアン様、ここからはわたくし共が責任を持って磨かせて頂きます、どうか御安心を・・・」
侍女さん達がそっと触れてきて
「んっ」
ゾワゾワと感じ、いいえいいえ!くすぐったくて無理!
「・・・」
「リリアン様、今1度失礼致します」
「っ!」
ゾクゾクっと身体が動きそうになってしまいます、声も動きも耐えたつもりですが多分伝わっています・・・
「・・・、これは、、明日からにしましょうね・・・」
「、、、お願い、します」
羞恥に耐え、何とか答えると
「あら、ほほほ、リリアンは敏感なのね」
「そうですわね、ほほほほ」
悪魔か貴様ら・・・
ぐだっと体力も気力も使い果たしたリリアンはそのまま力尽きた。
「王太后様、王妃様、これは先代様、国王様、ヴィルヘルム様に報告させて頂きます」
侍女さん素敵です!でも内容は上手く誤魔化して伝えて下さると嬉しいですわ。
ラフィー義母様、エリザ義姉様は「ええーっ」ではありません、少し怒られて下さいませ。
そんな事を考えながら意識はゆっくりと暗転した。




