モブ、うっかり。
学園のカフェテリアでお話します、先日そんな事があったのだけど、と
「「リリはうっかり屋さん」」
「そうね」
と、ララ、ルル、ライラ。
「ええ・・・、やっぱりそうなの・・・」
少しショックです、自分ではしっかり者と思っててコレはかなり痛々しいのでは。
「今更なのよリリアン、貴女、私に婚約者の件で看破された時も顔に出ていたし」
うっ
「リリは私を抱き枕に」
うっ
「リリは私も抱き枕に」
うっ
「貴女、2人も抱き枕にしていたの?」
ふう、と呆れたライラにまでため息を吐かれます。
「こ、子供、子供の時の話だから・・・」
と反論を口にしてみるものの
「子供の時でも貴族の令嬢が貴族の令嬢を抱き締めて眠るなんて、無いのでは?」
うっ。
「良いのよリリ、リリに抱っこされると暖かくて幸せに眠れるの」
「そうよリリ、リリは変わらずそのままで居て」
ララとルルのフォローが嬉しいけど、何か生温い視線を感じる所ですね
「面白いから、そのままで良いとか思ってない?」
「「思ってないわよ、ふふふ」」
あ、思ってますねコレ。
「でもリリアン貴女はそれ位で良いのよ、隙無く完璧な人間なんて本人も周りも疲れるし、ずっと一緒に居たらきっと息が詰まるわ、多少抜けてる位が丁度良いのよ」
「ライラ!素晴らしい助言ありがとう!目が笑って無ければ惚れてしまったかもね!」
でも一理ある意見です、大変勉強になりますね。
「それにリリアンのうっかりは大丈夫なうっかりよ」
「大丈夫なうっかり?」
なんですか、その謎のうっかりは
「例えば貴族として終わってしまうような、致命的なうっかり発言であるとか、嫌われてしまうような事とか、そういうのは無いでしょう?」
「まあ、無いけど、それは人として普通でしょう」
「その普通を出来ない人間を近くで見ているでしょう」
「それはそうだけど、アレは特殊な案件ではないの」
「まあ、でもわかり易い例じゃない」
アレは、ねえ・・・、ちょっと本当に貴族として終わり始めていて、もう見ていられない領域になっている気がします。
「リリは仲良くなると気を抜く」
「お外では、猫を大量動員」
「あら、ならいいじゃない、存分にうっかりなさい?」
「ええー・・・」
うっかりなさい、って!何・・・
「貴女のうっかりが出る時は、心を許している相手の前だけだから、それが嬉しいと言う事よ」
ライラ、ララ、ルル・・・
ジーンと感激しそうになり、気付く
「私がうっかりをわざわざ披露する必要はなくない?」
ライラ?
「ほほほほ」
ララ、ルル?
「「猫、可愛い」」
「3人とも、こちらを見なさい?」
「ほほほほ」
「キジトラが好き」
「私は茶トラ」
むう、完全に遊んでますね。
あれこれ話していると
「きゃっ」
ん?と声のした方向に視線を送ると、ヒロインちゃんが中庭の植木の所に居ます
「あれは?」
「木に髪が引っ掛かっているのではなくて?」
様子を伺っていると
「「来た」」
あー、王子様(笑)
「じっとしていろ」
ヒロインちゃんの髪を丁寧に木の枝から外して、サラリと撫でつけると一緒に何処かへと消えて行きました
「・・・、あれはうっかり?」
「あれは、計算でしょ」
「「植木の近くを歩いて髪を引っ掛け、都合良く王子が助けに」」
出来過ぎね、わざわざ石畳から離れて植木の近くを歩き、髪が引っ掛かって自分で取ろうともせず、タイミング良く王子が近くに居る。
凄いわ、私は乙女ゲームと知っていて確信しているけど、知らない人が見ても分かっててやっているかの行動だものね。
「「リリはあんなのにならないでね」」
バカップル?なりませんわ・・・
「あら、あれは意図的にやっているから鼻につくのよ、リリアンは大丈夫よ、意識せずにあれ以上の事やっているから」
「ええっ!?」
何言ってるのライラ、私そんな事してないわよ。
「何、自分で驚いているのよ、お店巡りした時の噂話忘れたの、抱き着いたのは?」
「いえ、あれは恥ずかしくて顔隠そうと思ってぎゅっと・・・」
「人前で甘い声出して桃色の空気を作り出したのは?」
「それはヴ、・・・婚約者が突然髪を撫でて耳も触ってきたからくすぐったくて声が・・・」
「「・・・」」
「これよ?ララエルさん、ルルエルさん、分かるでしょ?」
「「リリ、意図的でないのも周りに毒だから控えて」」
ええっ、私が悪いの?むう・・・、ヴィルヘルム様も責任の一端を担ってますよねコレ!
恥ずかしい思いをしているのは2人の事なのだから、責任も半分ですわ。
いえ、ヴィルヘルム様のは自分からわざとやっている節が偶にありますから、ヴィルヘルム様のせいにしてもいいのでは?
耳触った件に関しては・・・
何か、ヴィルヘルム様にやり返そうと思っている事が少しづつ貯まっていってるのですが、反撃されて負ける未来しか見えません、誰か助けてくれないかしら。




