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モブ、勉強を始める。

三歳の誕生日を迎えました。

やたらと考え方が大人びている三歳児で周囲が困惑している気がしますが、気にしたら負けです。

私としても大変なのですよ、三十路の記憶のせいで三歳児では有り得ない落ち着いた思考はあるのに、感情面で揺れてしまうと全く自制出来ない。


実際の所、大人の記憶が有っても身体、特に脳の発達は成熟していないので仕方の無い事ではあるが


なんて事ない事で拗ねる、怒る

涙は我慢出来ず、ポロっと流れてしまうともう止まらない

大好きなトーマスお兄様と久々にお会いした時なんて、嬉しくて嬉しくて感情どころか身体も暴走です、飛びかからんばかりに抱きついて、ギューッです。

私ブラコンだったのか、とか

体が勝手に、とか

お兄様いい匂い、とか

匂いって、私は犬か!

いや、三歳児は感情と本能のままに動いていた気がするし

もう犬で良いや、と思考放棄する。


お兄様はお兄様で

「アン、本当によかった・・・、元気になったね」

なんて優しい目を向けて、ちゅっちゅと額と頬に口づけするものだから。

更に嬉しくなってしまいスリスリと体を寄せる

ハグも好きだし、撫でられるのも好きだな私!

「ふふ、くすぐったいよアン」

と言いつつ、髪を撫でてくれる。

きゃー!お兄様本当に五歳児なの!?

お父様と同じダークブラウンの髪にこげ茶色の目で、落ち着いた容姿のせいか、少し上の年齢に見えて素敵です。


私は私でお母様の写身が如く、赤み掛かった明るい茶髪で、俗に言われる赤毛に黒と茶色の目。

うん、地味ね、正にモブ容姿

父の幼い頃がそのまま兄、母の幼い頃がそのまま私

コピペか、と言わんばかり

しっかりと今生を生きているのだけどね


そう、モブ容姿で気付いた

私はモブで、この世界はゲームかアニメの世界ではないのかと思い始めた。

邸内の使用人だけでも、やたらと顔面偏差値高いですし

私の誕生会に招待されて来たお客様方も容姿は勿論

髪の色がとてもカラフルなのよ

金、銀、茶は解るけど

それらを基本に赤青黄でメッシュが入っていたり

紫掛かった銀髪や、毛先だけ緑になっている金髪


こんなカラフル容姿、多分乙女ゲームの世界よね?

まあ、どのような世界でもそこで生きているのだから

やりたい事やって、幸せになりたい

前世田中の後悔と反省を活かして行きましょう!

田中の後悔は先ず、勉強。

もっと勉強しておけば、という後悔

これは本当に切実な問題だから、今の内から始めようと思う

そもそも貴族令嬢の幼児なんて時間有り余っているし

今やっておけば、学園に入学した時に勉強に時間取られる事もないしで良い事しかないわ。



「お父様お母様、立派な誕生会ありがとうございます、とても嬉しいです。」

と言葉にすると

「なに、今年は快気祝いも込めているからね、今後も元気で居ておくれ」

父の膝の上に乗せられ

「そうよ、本当に良かったわ」

母が優しく撫でて来て

「明日は庭園散歩しよう、外、全然出てなかっただろ?」

兄が手を握る。

家族による隙のない連携と温もりに包まれ、あっと言う間に目蓋が落ちてしまう

(うー、家庭教師のお願いに来たのに、温かい・・・、ん、)

「うん、ありがとう・・・、だいすき」

と言葉にするのが限界で意識を手放した

赤毛の(リリ)アン。

子爵家は優しい世界。

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