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モブ、ライラの顛末を聞く。

ライラ様から個人的なお茶会にお呼ばれしました

ヒロインちゃんの独り言を聴いていたので、そろそろ何か動きがあるかなとは思っていました。


「お久し振りね、私事であるのだけど巻き込んだ手前しっかり説明しようと思って」

うん、ライラ様出会いはあんな事になりましたが、やはりとても真面目な方ですね。

「お招きありがとうございます、私があの様な事を言った為にご迷惑をおかけしたかも知れないと心配しておりましたので、この様な機会を設けて頂いて安心しています」

真面目と言ってもまさか醜聞を広めてしまうような危険を冒す訳がありません、それになんと言っても表情がとても明るいです。

ヒロインちゃんが「婚約者を名乗るモブに取られた」とか言ってましたし、


「そのご様子ですと・・・」

「ええ、お陰様で婚約者との問題は解決したわ」

輝かんばかりの笑顔です、これは関係修復成功ですかね?

「お話をお聞きしても?」

「はい、その為にお呼びしたのですから」




モブラック子爵家での話の後

赤髪君のお爺様に仲介役をお願いし、3人で話し合いの機会を設けました。

お爺様は、赤髪君、ライラ様共に交流があり、身内の赤髪君に甘やかす事もなく厳しく正しく、他家のライラ様の扱いもそれに準じた交流を持っていたということです。

ライラ様側の人間を仲介に立ててしまえば更なる反発を招くと考えて、赤髪君側の人間、然しながら中立で公明正大な性質のお爺様にお願いした。


と言っても、やはり

「政略的な婚約で、その利益を守る為にアリシアを遠ざけようとしたライラに何を、人付き合いは自分で決める」

と反発したロイ、それに対してお爺様は

「ロイ、お前はライラの話を全て聞いたのか?勝手に思い込み、自分に都合の良い情報だけを選んでいないか?」

と、諭しました。

ロイって言うのね赤髪君・・・


思う所があったのかロイは黙り込む

続けて、お爺様はライラにも言う

「ライラも反省すべき所があると分かっているな、言葉が足りない、こいつも聞かなかった所もあろう、だがそうなる前に出来た事は幾らでもあった筈だ」

はい・・・、と小さな声で返事をする。


2人とも未熟だ、だからこんな爺が表に出る事になる

と言われ、返す言葉もない2人は黙り込む。


「ライラ、言う事が、伝えたい事が有るのだろう?」

と促され話始めるライラ

「ロイ、様、私は、私達の婚約は政略的なものです、ロック男爵家令嬢の事に関して言った事は、確かにこの婚約を、今後の利益を守ろうとした面もあります」

ふん、と冷たい視線を送るロイ

「ですが、決してそれのみの理由だけではありません、」

言葉を1度切る


・・・


・・・

次の言葉が中々紡ぎ出せず、長い沈黙に耐えかねたロイが

「おい、早く・・・」と急かしたが

お前は黙って聞いてろ、と黙らせるお爺様。


「好きな婚約者に近付く女を許す程、私は我慢強くありません!」

言った





「は・・・」

大きく間を開け、やっとの事で一息だけ吐き出したロイ

1度言ってしまえばそのままの勢いで続けるライラ

「好きなんです!だから貴方からあの子を遠ざけようとしました、あの子から貴方を遠ざけようとしました!ダメですか!?」


「だ、だが俺達は政略・・・」

「始まりは政略です!でも好きになりました!」

顔を真っ赤にしても目は逸らさずに言い切る婚約者に

思考が固まるロイ、ずっと利益を守る為だけに自分に執着して来ていたかと思っていた相手の行動が、実は好意による行動で・・・


では、あの時も・・・、以前の、あの時は、全て・・・?

と、理解が追い付いて来たのか、ロイはサッと一瞬で顔が真っ赤になり固まる。

「っ!」





お互いに固まり動けない中で

「ライラよく言った」

と、ライラを優しく撫でるお爺様の目はとても優しい

一転、目を厳しくして孫に言い放つ

「ロイ、お前が想う令嬢の事だが、儂の耳にも入って来ておる」

「え」

と、祖父を見上げるロイ。

「かの令嬢は本当にお前だけを見ているのか、よく考えろ、少なくともライラはお前しか見ておらんし、この婚約を守る事はお前を守る事でもある、好きな者と結ばれるのは幸せだろう、だが、ライラを差し置いてお前が気に入った人物を連れてきた時、お前は証明せねばならん」

「証明?」

「ライラが、否、ローレライ家との婚約がもたらす利益を越える価値がその令嬢にあるという事を、父と母、儂を納得させるだけのものを・・・、利を示さない者に貴族の、ましてや当主など務まらん」

情で貴族は動かない、そして務まらないと判断されてしまえば嫡男としての立場を、それどころか家にさえ居られない、政略とはそれだけの意味を持つと言外に意図を告げられ青ざめる。


「さて、言う事は言った、2人ともよく話し合え、答えが出たら聞こう、また来るがいい」

と、お爺様はロイを一瞥、彼は俯いている。

次にライラと目が合うと、にやりと笑いながらウインクをして出ていった。

どうやら、基本中立の彼でも今回の件は孫のロイの非が大きいと見ていたようで、ライラの味方であった事に気付いたのは彼が出て行くその時であったという。


(まあそうよね、婚約しているのに他の令嬢に靡いて、婚約者に対する態度では無かった、ライラ様もそこへ至る落ち度はあったにしても基本的には浮気に流れた婚約者を諌めようとした、と言う事だものね)


その後はロイ様が

「時間が欲しい、多くは掛けない少し待っていて欲しい」

と仰り、ライラ様は承諾。

ロイ様は現実を叩き付けられた事で初恋(?)から目が覚め、冷静に男爵令嬢を観察していたそうだ。

数日後、話があると言われ今度は2人で話し合い

ロイ様は、男爵令嬢には複数の男の影がちらついて居ることに気付き、その中には第二王子や高位貴族が多数

(いやいや、あれだけ学園内で目撃情報あったのに当事者の貴方達が気付いてないって、どれだけのぼせ上がっていたの!

乙女ゲーム補正?そう言えばルートを外れたヒーローって全く会わなくなるよね、その裏では本来の婚約者や家で揉めて姿を見せなくなったの?)


それによりあっという間に気持ちが冷めていったという

「都合の良い事を言っているのは自覚している、もう一度機会をくれないか、今回の事は全面的に俺が悪かった」

と謝罪を為さったそうです。

そして今回の事で両親にも知れる事となり、とことん絞られたロイ様は心を入れ替えてライラ様に向き合う事になった、と。

これ、ロイ様はライラ様とお爺様に首根っこ押さえられているじゃない!

と、チラっとライラ様を見ると、まあ素敵な笑顔です!

「女で失敗したのだから、私が手綱を握らなければね?」

うん、強かです。

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