モブ、頑張るから。
「アン、父上から聞いたのだけど、本当に良いんだね?」
「お兄様」
「ヴィルヘルム様が素晴らしい方とは知っている、けど、まさか妹が自分より早く結婚するとは思っていなかったし、自分より年上が義弟になるとも思って無かったから・・・」
お兄様は心配性ですね
「お兄様、私は大丈夫です、ヴィルヘルム様はとても大事にして下さるし、クロイツェル公爵家の皆様とも良い関係を築けております、義父様、義母様、義兄様、義姉様達からも本当に良くしていただいてますわ」
私は幸せです
あ、聞きますか?あれからも色々と思い出が出来てますわよ?
止めておく?そうですか残念です。
「そこが1番信じられないのだけどね、まさか王家と縁続きになるとは・・・」
お兄様苦笑いです、その点に関しては私も苦笑いですわ
結果的にとても良好な関係になりましたが。
「私よりお兄様の方が大変ですわよ、私の事はヴィルヘルム様が必ず守って下さいますが、妹が王家の縁者になった事でお兄様の婚約者選びが・・・」
割と難しい事に、いえ、まだ公になってないから・・・
「ああ、恐らくは発表までには決まるだろう」
「お兄様」
そんな他人事の様に、と言っても私は家を出る身、お兄様は家を継ぐ身ですから勝手な事も言えません
でも、幸せになって欲しいです。
「大丈夫、流石に政略になっても全く気の合わない人と一緒になるつもりは無いし、父上も母上もそんな人は連れてこないだろう」
そこはそうですね!
うーん、今から決めるにしても、こちらの情報を開示する訳にも行きません。
かと言って、婚約者になってから実は・・・
と、我が家の状況伝えても相手方が大変ですわね
それなら権力や爵位にあまり興味の無い方、もしくはそれらを聞いても影響のない方に?
1番簡単なのは私がモブラック家と距離を取れば良いんですけど、それは寂しいです、欲張りですかね・・・
近しい人と言っても、ララとルルは婚約者居るし、知り合い・・・
あ、そう言えば騎士のお姉様方の中に未婚の方は何人か居りましたわね、王家に忠誠を捧げている方達ですし、内面的には芯が1本通っていて権力や爵位には負けないのでは?
騎士なのに権力に靡くようでは、お話になりませんものね。
うーん、お父様に候補としてお伺い程度に言っておきましょうか・・・
最終的に子供の相手は家長であるお父様が決めますものね、私は押し切りましたが。
「アン、何か企んでるね?」
お兄様鋭いです、でも企んでいる訳ではありません
「いえ、お兄様の婚約者に騎士のお姉様はどうかしら、と思いまして」
そもそもお兄様が女性騎士に抵抗があると話になりません
「騎士?ああ、アンが野営に参加した時に知り合ったのかい?」
「ええ、1日しか一緒に居ませんでしたが、立派なお姉様方でした」
「うーん、僕は構わないけど、騎士になる女性は何か色々と理由があるのではないかな?」
まあ、そうですよね、女性は嫁ぐのが当たり前というのにわざわざ騎士になる事を選んだのだから、相応の理由や信念は持っているでしょう、でも
「でも、婚約者の居る騎士様も居ました」
「うん、だから結局は何かと折り合いの付く相手になるよ、それは一般的な令嬢になるか女性騎士になるかは分からないけどね」
いい出会いが有れば・・・
「アンはそんなに僕の事に気を回さなくても良いんだよ、君は君で行く先があって、そこで幸せになって欲しい、僕は僕で頑張るから」
そうなんですけど、それだけではないんです
「お兄様、私はお父様やお母様、お兄様が不幸な中で自分の幸せだけを過ごす程薄情でもなければ鈍感でもありませんの、だから私の幸せの為にお兄様も幸せになって下さい、お兄様の幸せも私の幸せですわ」
と言うと、お兄様は少し驚いた顔を浮べ苦笑する
「ありがとうアン、じゃあ僕からもお願いだ、アンが不幸だと僕も悲しい、だから僕の幸せの為にアンも幸せになって欲しい、アンの幸せも僕の幸せだよ」
と返してくれました
「勿論です、一緒に幸せになりましょう」
と真面目に言えば、お兄様はブハっと吹き出して
「アン、それは男が言う殺し文句だよ」
と笑い始めます
「あら、女性だってプロポーズ位しますわ!」
調子を併せると2人一緒に笑い合う。
ひとしきり笑うと、そっとお兄様が頭を撫でてきます
「ありがとう、アン」
優しい笑顔です、こんな優しいお兄様が幸せにならないなど許しません
「こちらこそありがとうございますお兄様、私がお兄様を幸せにしてみせますわ!」
出来る事は何でも協力致します。
「妹が男前過ぎて、兄の立つ瀬が無いよ?」
と、更にクスクス笑われてしまいました、あれえ?




