閑話 ヴィルヘルムとお胸。
突然リリアンが訪れて来た、何やら
「大事なお話が御座います、今後私達にとってとても大事な事です」
と鬼気迫った表情を浮かべる婚約者に困惑する。
どうしたと言うのだ・・・
更には二人きりになりたいと言う、彼女がそういう事を言うのは珍しい、いや、ほぼ無いと言っていい、大抵誰かが側に居るし、それを下げさせる事も無い。
(なんだ、何か嫌な予感がする)
ヴィルヘルムのその勘は正しい、だが斜め方向に行く事には予測が出来なかった。
「ヴィルヘルム様」
真面目な顔で彼女は言う、いつもは「ヴィー」と呼ぶのに、と不穏なものを積み重ねて行くが次の瞬間その空気は霧散する
「大きなお胸と小さなお胸、どちらが好ましいですか?」
「何?」
ヴィルヘルムは耐えた、色々と・・・
そして、直ぐに義姉の所へと向かった
「義姉上、どういうつもりですか」
開口一番、そう言うと
「何の事かしら?」
と言われ、怒りを抑えながらも言葉を返す
「リリーをあんな風に面白半分に焚き付けて」
「あら、半分は真面目よ」
(やっぱり面白半分でもあるじゃないか!)
と毒づくも、話が進まないので耐える。
「ふふ、それにしてもリリアンは即行動で頼もしいわね」
「義姉上」
「ヴィルヘルム聞きなさい、真面目な話よ」
「どういう事、ですか」
茶化していたかと思えば突然真剣な面持ちになった王妃に頭を切り替える
「ヴィル、近い内にあなたはリリアンと夫婦になるわ、あの娘は10年想い続けた結果幸せを得る、でもヴィルあなたこのままリリアンと初夜を迎えて大丈夫なの?」
「初夜、を大丈夫とは・・・」
「このまま行けば貴方は32、リリアンは15で結婚よ、貴方は良いわよ32の大人だし傷付ける側だから、でもリリアンは15の娘で傷付けられる側よ、このまま閨事をあまり意識しないまま初夜を迎えて御覧なさい、失敗するわよ」
と、言われて困惑する
「しかし、リリーも閨事は理解しているのでは」
と言うが、はあー、とため息を吐かれてしまう。
「あのね、理解している事と実践出来るかどうかなんて別問題よ、いざ当日になって怯えないなんて言いきれるの?
ただでさえ体格差もあるのだから、ヴィル、リリアンの好意に甘え過ぎよ」
「む」
返す言葉もない、が
「しかし失敗しても次を・・・」
「次なんて無いわ、初めては最初しか無いの、良い?貴方が思う以上に初夜は女にとって大事な事よ、政略結婚でさえ今後に差し支える事に成りうるのに、貴方達は恋愛結婚、それで上手くいかなかったら、あの子一生気に病むわよ」
だから、と
「それなりに手を出して、男を意識させておきなさいよ」
「義姉上」
「ついでにわたくしに報告も上げなさい」
「義姉上?」
「大丈夫、王家に嫁ぐ訳じゃないのだから処女性は問われないわ」
「義姉上・・・」
真面目に話していたかと思えば、残念なものを見る目付きになってしまう。
「ん、こほん、何でも良いわ、不安要素は全て取り除きなさい、結婚する時には10年想い続けた娘なのよ?
それくらいは甲斐性見せて、甘やかしてあげなさい」
余計な事とは思うが、義姉上も心配でこんな事になったのだろうと考えれば非難する気も失せたヴィルヘルム。
「で、リリアンのお胸はどうだったのかしら?」
「・・・」
(ほほほ、リリアンが来てから本当にヴィルが面白いわ
リリアンはとっくに腹括って、子供は沢山欲しい1男1女は基本ですわね、と言っていたのに、ヴィルときたら)
などと思われている事を、ヴィルヘルムは知らない。




