モブ、独り言を聞く。
「何なのよ、王弟の恋人の話なんてゲームには無かったじゃない、ハーレムルートも婚約者を名乗るモブに1人奪われちゃったし、王子ルートに乗ったのだけは唯一の救いね、こうなったら王子ルート1本に絞った方が良さそうよね、他のイレギュラーはモブ達の事だし、私の本編には関係ないでしょう」
ブツブツと独り言を言うヒロインちゃん
やっぱり転生者だったのね、貴族令嬢の行動ではなかったから驚きはしないけども、現代日本の話としてもハーレムなんて恋愛は有り得ないのだから、この世界をゲームそのものとして認識していそうね。
今世を認めて生きていないのか、前世の死を受け入れて居ないのか、それは分からないけど・・・
それにしても『婚約者を名乗るモブに1人奪われた』って、ライラ様が上手く誤解を解けたのかしらね?
近い内にライラ様から良いお話を頂けそう。
いいえ、そもそも正式な婚約者はライラ様なのだから「奪われた」というのは傲慢ですわ、こうなると王子の婚約者についても似たような事を思っているのではないのでしょうか。
悪役令嬢が、とか?
あれ、そう言えば婚約者である公爵令嬢のマリエル様は全く動きが有りませんわね、もしかして彼女も?
いえ、私と言う存在が居る以上、ストーリーもそもそも筋書き通りにはならなくなっているかも知れませんわね。
考えても仕方がありません
そう言えばヒーローたるアーサー様が第二王子って疑問ですわね?
普通テンプレなら王子は1人で、王たる者の後継者みたいな、オンリーワンの存在なのでは?
まあ第一王子様が王太子で現国王陛下の生き写しの様に優秀で、婚約者も隣国の姫で関係も良好、万全で素晴らしい限りですね。
もしアーサー様しか後継者が居ない中で断罪イベントなど起きてしまったら、国が揺るぎかねません。
取り敢えずヒロインちゃんさん?
おトイレでの独り言はお勧め致しませんわよ・・・、丸聞こえです。
「起きないイベントが有ったり、選択肢から逸脱したり、バグ多くない?この世界」
あー、ゲームじゃないんですよー、バグじゃないんですよー。
「まあ良いわ、3期の王宮舞踏会デビュタントで王子と婚約発表してエンディングよ、ふふ楽しみ」
あら、やっぱり3期王宮舞踏会が一区切りになりそうね、って、えっ!?
王宮舞踏会で婚約発表!?
わ、え、うわー!
被ってる、被ってるわ!ヴィルヘルム様と私の婚約発表とエンディング!
ええー、ちょっとお待ちになって
現段階で私達の婚約発表は揺るぎないわ、これから私達のどちらかが何かを為出かすか、例えば国王陛下ルーク義兄様が反対為さるとか、そういう事がない限りは。
そして第二王子は今はまだマリエル公爵令嬢と婚約関係にあって、ヒロインちゃんとの話なんて少なくとも表には出ていない、勿論このままヒロインちゃんが順調に行けば多分第二王子と結ばれるのでしょうが
今2期生が始まったばかりで、王宮舞踏会は毎年新年に行われるから、これから2年近くある訳ですが・・・
その間に第二王子とヒロインちゃんの予定が決まったとして、同じ舞踏会で第二王子と王弟の婚約発表なんてするかしら?
私達は幸いな事に本人も両家家族も祝福して頂けてます、そして独り身だった弟がやっと身を固められたと、ルーク義兄様は喜んで下さっているし、本当に仲が良いものあの二人、ヴィーとルー兄なんて呼び合う位だし。
そんな慶事に、王子と公爵令嬢の婚約をひっくり返したヒロインちゃんとの婚約を発表する?
しないわ、有り得ない。
公爵家と公爵令嬢に配慮が無さすぎるし、実子とは言えそんなケチの付いた話と、長い事心配していた弟の祝い事を同列に並べるなんて許す筈がありませんわ。
そもそもそんな事、私も嫌です、不快以外の何ものでもありませんわね・・・
えー、そうなるとヒロインちゃんの言うエンディングなんて迎えられないんじゃないの?
国王陛下は認めない、若しくは国王陛下からはしない婚約発表、・・・あっ
やらかすの?やらかすのね!アーサー様。
わあ、どうしましょう私は知りません(笑)
現段階でこれらの可能性を示唆してみます、頭の中を疑われます。
となると本当に直前、1か月前位なら恐らく相応の情報と関係性が出来ているのでは無いでしょうか?
その位の時期であればこれらの可能性の示唆も出来るでしょう。
まあ私は助けません、勝手になさって下さいませ?です
そもそも子爵令嬢が介入なんておかしな話になりますし、その時期には他人事に構う余裕など無くなっているでしょう、なんと言っても婚約と婚姻の発表で、今は決まっていませんが王宮舞踏会から年内には結婚式になる筈です。
でも、ヴィルヘルム様と私の婚約発表にケチは付けられたくありませんので、そこは手を打っておきましょうかね。
と、思考に耽っていたらヒロインちゃんは何処かに行ってしまいましたね。
ふう、はた迷惑な方ですが、情報垂れ流しは助かります
頭が痛いですが・・・




