モブ、ニアミスする。
学園は楽しく過ごしています、お兄様も居ますしララとルルも居るので何の不安もありませんわね。
折角学ぶ機会に恵まれている環境です、図書室に通って本を読み、疑問をまとめて先生方に質問攻撃します。
本は雑食で何でも読みます、最近は前世のサブカルチャーをそのまま使うのは控えているので自分自身の執筆能力を高めていきたいですわね。
冒険小説、恋愛小説を自分で考えるようになると知識が本当に足りない事に気付きます、お花の種類、名前、薬になるのか、毒になるのか、花言葉、その他植物も同じ。
冒険小説だと、動物の捌き方、サバイバル技術、料理の仕方、装備の知識、天気の読み方、海の知識、山の知識、森の知識、知っている物語を書き出すのとは求められる知識量が全く違う事に気付き、本当に勉強になりますわねえ。
図書室で調べ物をしつつ執筆作業をしていると
「何の本を探しているの?」
「え?」
「良く此処に来るんだ、一緒に探すよ」
「ありがとうございます、あの、、、」
「ああ、ごめん俺は・・・」
声で判断するに、ヒロインちゃんと緑君かな?
ああああ、乙女ゲーム!図書室でイチャコラしないで!
図書室での会話って本当に響きますよね、気が散りますし関わりたくないのでササッと本を戻して退散しますわ。
更に別の日
カフェでララ、ルルとお茶を楽しんでいると
「君は、まさかあの時の」
「貴方は?」
「あの時はすまないことをした、俺は・・・」
ヒロインちゃんと青髪君です
「・・・」
「「・・・」」
「ねえ、」
「「言わないで」」
素晴らしいシンクロですわね!ララ、ルル。
「あの方達、」
「「知らないわ」」
「「「・・・」」」
ちょっと疑問があります。
此処は貴族の子息令嬢が集まる学園
つまり、貴族社会、社交界の縮図です
学園内の評価はそのまま貴族社会の評価に繋がります
なのに、なのにですよ?
連日の様に、ヒロインちゃんを中心に高位貴族の令息達が粉を掛けに、いえ失礼、ヒロインちゃんに足繁く会いに来る様は何とも滑稽であると言いますか。
ぶっちゃけた話「貴方達は何しに学園に?」と思う訳です。
乙女ゲームだから、そういう世界だからと言われると身も蓋もないですが、これはよく言われる物語の強制力というものなのでしょうか。
いえね、勿論、婚約者が居ない方は学園で婚約者を探すという面もあるのは否定しませんわ?
でも男爵令嬢に高位貴族子息が群がっているのを現実として見ると、
「可愛らしい方なのは認めますけど、そこまで価値のある方ですかね」
と思うのです。
「リリ、思っても口にしちゃダメよ」
「あら、ごめんあそばせ」
しかも令息方達には婚約者居ませんの?
ああいう方達は政略的にとっくに固められていそうなのですが、うーん判断がつきませんね。
「モテる令嬢なのね、お幸せにと願いますが
王子様は拙くありませんか?」
「「拙い」」
「ですわよね」
第二王子アーサー様には公爵令嬢のマリエル様が婚約者として居ます、なのに王子様はヒロインちゃんにご執心
これだけで十分下手打ってます。
学園始まって、まだ3ヶ月も経ってないのにコレ
ヤダー、以前思った、チョロチョロ王子、手の平コーロコロじゃないですかー!
「チョロ」
「「リリ、事実だけどダメよ」」
王子の政略結婚、婚約の破棄や解消はまず簡単には出来ません。
うーん、仮に王子が下手を打ち続けたとして、何処まで王家と公爵家が様子を見るのでしょうか?
まだ12歳ですし、成人、デビュタントの15歳までですかね
卒業までとなるとその後の挽回はとても難しい、となるとやはり学園在学中の節目となる3期生15歳までは彼の意思に任せ、それまでに彼が自身の事を理解して気付けば、卒業までの3年間を使って挽回と精進を重ねる、といった具合かしらね。
王子も大変だけど、それは自分の行動の結果になるのだから自己責任ね。
ヒロインちゃんは、このまま王子様にベッタリで行くと上手くいって王子の寵愛は頂けても、王家としては政略の邪魔を、公爵家としても政略の邪魔と恥を、と睨まれる。
最悪の場合だと、王子に捨てられ王家に睨まれ、公爵家にも睨まれ?
そして寵愛を得ても正妻にはなれないし、王子が臣籍に下るにしても男爵家では王家が認めないでしょう、良くて第2夫人、やはり愛人に収まるしかないのでは・・・
「私は、本当に運が良かったわ」
一歩間違っていたら同じ身の上になっていたと不安に思う
「なら、リリは運が良いから、これからも大丈夫、頑張っているし」
「そう」
とララ、ルルが横に来てフワッと撫でてくれる。
「ありがとう、私は本当に恵まれているわ」
うん、驕らず謙虚にいきましょう。




