モブ、ストーリー裏に行き着く。
国王陛下夫妻、先代国王陛下夫妻へのご挨拶も済み
ヴィルヘルム様との婚約が成立しました。
学園に入る前に決まったのは結果として最高のタイミングではないでしょうかね、幸せ過ぎて恐ろしく思いますわね。
2年先に学園に入学しているお兄様にはお父様が手紙を送りましたが、学園に行ったら直接お話したいですね
お会いするのも久しぶりですし。
婚約の件はヴィルヘルム様とお互いの身内で相談して公表しない事に致しました
入学直前に王弟公爵様と婚約したなどと公表した日には、確実に色々な方に目を付けられますからね。
鳴り物入りで乙女ゲームの看板の前にモブの私がドドーンと立つようなものです(笑)
王弟公爵の婚約者が子爵令嬢だと、爵位的に利用しやすくいい様に繋ぎに使われる可能性が高いです
私自身が利用されるのも嫌ですが、それによってヴィルヘルム様にご迷惑掛ける事があったら許せませんわ。
婚約者である内は私は子爵令嬢で、高位貴族に何かされるとどうにもなりません、婚姻が成立したら子爵令嬢でなく公爵夫人となるので、その時は利用しようとする輩もそうそう近寄っては来ないでしょう。
下の爵位の者から上の爵位の者に声を掛けるのはマナー違反とされてますから、相手は公爵か王族しか居ません。
まあ、私が子爵令嬢でも公爵の婚約者と伝えて何かしてやろうという方は居ないと思いますが。
うーん、爵位目的では無いのに最終的には公爵位に守られるのは何とも皮肉な事ですわね・・・
「なら今すぐ結婚しちゃいなさい、面倒な事は全て解決するし、誰も貴方に手出し出来ないわよ」
とは、ラファエル義母様とエリザ義姉様談。
その通りなんですけども、婚約即婚姻って可能なのですか?と聞いたら
「ヴィルと貴方は2年前から婚約していた、そういう事よ?」
良い笑顔ですね!怖いです・・・
王族パワーです、白が黒くなる力、それは確かに強力ですり寄る者も尽きない筈ですわね。
私そういうのは要らないのですが、ヴィルヘルム様と結婚したら多かれ少なかれあるから覚えておきなさいって事ですよね、ふう・・・
そもそも結婚して入学なんて乙女ゲームの看板前に立つどころか、看板踏み付けて仁王立ちしてるレベルですよ。
ヒロインは私が代わって差し上げますわ!おーっほっほっほ。
いえいえ、キャラじゃありませんわね。
臣籍に下っているとは言え王弟の結婚式となると相応の規模になりますし、準備が全く出来ていないとして結婚案は何とか阻止しました。
取り敢えず、私は婚約している、相手は秘密
ヴィルヘルム様は現状維持で沈黙、という方向で。
但し、緊急時身の安全の為に婚約者がヴィルヘルム様である事を明かす事とする
何処にも不埒者は居るという、もしたらればのお話。
流石に王弟の婚約者を名乗る者に手を出す愚か者は貴族には居ないだろう、というのが最終決定となりました。
所で、義母様と義姉様が何か企んでいそうなのですが気の所為ですわよね?
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さて、遂に学園入学です。
エスコートはお兄様にお願いしました
「久しぶりアン、元気そうだね、話したい事は沢山あるけど場所は選ばないとね、入学式が終わったら直ぐ迎えに行くからその場から動かないようにね」
「お久し振りですお兄様、お兄様も元気そうで何よりです、私もお話したい事がありますのでお待ちしております」
ちらちらと視界にカラフル軍団がそれぞれ入ってきますが、関わるつもりは勿論ありません
男爵令嬢ヒロインちゃんが早速色々とフラグ立てています、躓いて転びそうな所を抱き止められるとか
ハンカチが飛ばされてそれを拾って渡されるとか
ベタベタなイベントが始まっている様です
見るつもりは無いのに、そこかしこでそんな劇場を繰り広げているので嫌でも目に付きます。
元々お父様とヴィルヘルム様には
「1人で行動しないように、二人きりになっても良いのはお兄様のみ、友人を作り常に複数で行動する事」
と言われていましたが、これは徹底した方が良さそうですわね。
1人で居る時に巻き込まれて、言った言わないの水掛け論は本当に不毛です、相手が高位貴族だと負け確定イベントになりますし。
頑張って大衆モブとして紛れます、私はモブ。
入学式は恙無く終わります。
お兄様に構内を案内して頂きながらお話します
お兄様は私の婚約について不安らしく、ヴィルヘルム様の素敵な所、私は幸せな事をじっくり説明しました
最後には「ごめん、もう何も言わないよ」と納得なさったようで何よりですわ、うふふ。
所でお兄様はこの2年で随分成長されましたね
身長と肩幅が大きくなって、繋いでいる手もとても大きくなっています。
うーん、羨ましいですわ、私はこれから成長してくれるのでしょうか、身長もですがお胸とかもう少し欲しいですわね。
ヴィルヘルム様も男性ですから、きっとお胸は大きいものが好きだと思いますわ、今度お好み聞いてみましょうか?
あ、お母様ならお胸を大きくする方法知っているかも知れませんね
お母様のお胸は私の理想です、多分Dカップあるかないか位だと思いますが抱擁された時の安心感がとても素晴らしいです、ぎゅっとされるとスーと眠りに入ってしまう魔性のお胸です。
うん、今度聞いてみましょう。
あとラファエル義母様とエリザ義姉様にもお話を伺いましょうか、お二人も見事なお胸をお持ちですから。
と、少しはしたない事を考え廊下を歩いていると
中庭からヒロインちゃんを横抱き、お姫様抱っこした第二王子がスタスタと・・・、ええー
「・・・、お兄様」
「第二王子のアーサー様と、令嬢は誰だろうね」
「多分、男爵令嬢のピン・・・、」
ピンクちゃんと脳内で呼んでいたから、名前忘れてしまいましたわね、えっと、、
「ロック男爵家のアリシア嬢だと思いますわ」
「へえ、よく覚えているね」
「ええ、ロッテ先生のお陰で一通りの貴族は、まあ」
う、詰め込んだあの時を思い出しますわね
遠い目をするリリアンに、兄トーマスは苦笑いする
「ま、まあマイヤール夫人の授業は横から見てても凄いものが有ったからね」
良く頑張ったと思うよ、とリリアンを撫でる。
しかし、こんな人目の付く所を横抱きして移動ですか
色々と心配になりますわね。
あ、これはつまり私達を含むその他モブ達の目撃により次の日には噂が!っていう流れですか。
王子(婚約済)が可愛らしい男爵令嬢を横抱きして連れて行った、と。
展開早すぎませんかね、王子狙いなのかしらヒロインちゃん。
クラス分けは明日発表されますから、また何かヒロインイベント起きそうですわ・・・




