表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/99

モブ、現状確認。

流行病から回復して一週間、私は漸くベッドから出る事を許された。

身体自体は目を覚ました次の日には元気になっていたのだけれど、両親が共に

「五日も意識不明だったのだから体力が戻るまでは部屋を出ないように」

との事で、渋々ベッドの中で過ごした。

お母様に抱きしめられて眠ってしまった間に、かかりつけのお医者さまが診察なさったようで

「流行病は治ったけれど、体力が落ちている所に風邪でも引いたら、それこそ命取りになりかねない」

ので安静にだそうです、むう元気なのに。


でも、この世界の医療水準て現代の地球より確実に低いのよね、多分中世ヨーロッパ位の水準だと見受けられるから、用心に用心を重ねた対応になるのかな。

今回私が罹った流行病は、インフルエンザだと思うのだけど、インフルエンザで五日間意識不明って本当に死の一歩手前。

いいえ、死んでてもおかしくなかったわね・・・

もう絶対病気にはならないようにしよう。


何故かって、お薬が本当に不味いの・・・

真緑色の青汁を処方されたのだけど、青汁の心づもりで気合い一発グッと飲んだわ。

エグ味が凄いの、正○丸をドロドロにして煮込んだような感じね!

もうアレは二度目飲みたくない。


そんなこんなで一週間ベッドの中で色々考えを巡らせた

先ずは前世の記憶だけど、丸々把握してるわ。

丸々と言っても、赤子の頃は流石に無いけれど、田中一郎の物心付いてから三十歳で意識が途絶える所まで、ほぼ全部の経験と知識、記憶が存在している事が分かった。

但し、思考と性格は今世のリリアンのままで他人の「人生録」を知っていると言った感じ、若干趣味嗜好は引っ張られているかも知れない。

最終的にベッドの中の数日間で、主人格リリアンと前世田中が7対3位で落ち着いたので本当に良かった。

目を覚ました時のように、主たる意識がぶつかり合って不快感だらけの状態が延々と続いていたら、と思うとゾッとする。

リリアンの体に田中が主人格でも最悪だった

身体は女性、精神は三十のサラリーマンで貴族令嬢なんて成っていたら大変よ...

貴族令嬢の最終的な行き着く先なんて、大半は嫁いで後継ぎを産む事で。

三十年も男として生きてきた意識を変えるなんて中々出来る事じゃないもの。


そう考えると、良い所に収まって僥倖だったと思う、ほっ。


因みにリリアンの兄トーマスはリリアンが流行病に罹った為に、別邸に避難している。

後継たる嫡子だから仕方ないけど、寂しい・・・


今後の事では、見透かされたように

「三歳の誕生会と回復のお祝いを一緒にするから、何か欲しいものを考えておいで、あとトーマスにもその頃には会えるよ。」

と、お父様に言われたので

「お父様ありがとうございます、大好き!」

ぎゅっと抱きつきました。

途端、お父様の顔がデレデレと締まりのない表情になり

「ああ、私の天使!何でも言うといいよ、リリアンの為なら何でも手に入れてみせる。」

お父様、その顔はマズいと思います!

折角の渋いダークブラウンの髪にナイスミドルなお顔が酷い事になってますよ。

一緒に来た執事のセバスも、その「何でも」発言と顔にドン引きしています。

しかし「何でも」と言質いただきましたので、遠慮はしませんよ。

リリアンは三歳をベースに三十歳田中の経験が混じって、精神年齢は高め。

前世田中は自分であるとも、他人であるとも思っていて、年齢を重ねて自己を確立して行くにつれてリリアン10割に近づいて行きます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ