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閑話 王城内のあれこれ

前半コメディ回、後半シリアスと見せかけたコメディ回

近衛騎士の酒飲み話

「おい、見たか副団長の」

「ああ、あの令嬢が噂の婚約者か?」

「だと思う」

「本当に居たんだな婚約者、あの顔で」

「それな!」

「どういう事で婚約したんだろうな」

「かなり若かったよな、やっぱり政略結婚なんだろ?」

「親子位の差あるよな、アレ」

「美女と野獣?」

「野獣は解るけど、美女だったか?」

「あ?あー、可愛い系統?いや、覚えてないな、赤毛だった、よな?」

「あー、そうだな、赤毛・・・、、、しか覚えてねえな・・・」

「・・・」

「・・・」


「なあ、今日ヴィルヘルム副団長が連れていた令嬢、誰か知ってるか?」

「噂では婚約者らしいぞ」

「そうそう、今日俺ら陛下の私室担当だったんだが、連れ立って来たからな」

「はあ?陛下の所に?俺、先代様の離宮で巡回していたら副団長と令嬢来たんだが・・・」

「顔覚えてるか?」

「顔?それくらい覚えて、、ないな・・・、赤毛くらいかな?」

「赤毛か」

「赤毛だ」

「何で誰も顔覚えてねえんだよ!」

「若くて赤毛、だけじゃ誰か調べようがねえな」

「まあ、どこにでもある色だからな」

「いや、こう、地味っつーか、印象薄い?」

「まあいい、先代様の所にも会って行ったのか?」

「ああ、先代様の部屋に向かって行ったから多分」

「陛下と先代に直接面通しって、政略結婚でそこまでするのか?」

「いや、陛下止まりじゃないか普通、先代様までは行かないだろ」

「いや、多分政略結婚じゃない」

「「は?」」

「なんでよ」

「副団長、令嬢とキスしてた」

「「はあっ!?」」

「令嬢は顔を赤くして、副団長はすげえ上機嫌で令嬢引き寄せて、仲良く話ながら・・・」

「離宮で?」

「離宮で」

「それは、、、政略結婚、とは言い難い」

「よな?」

「「「・・・・・・」」」


「クソっ、羨ましいっ」

「何だよ、本当に誰だよ令嬢!」

「エールおかわりだ、持って来い」


騎士達の夜はこれからである。



――――――――――――――――――――――――――


国王陛下と王妃


「どうだ?」


「とても可愛い義妹じゃない、わたくしは好きよ。

頭が良い事もこれまでの実績で証明しているし、何よりマイヤール夫人に認められたのでしょう?」

何も問題ないと王妃。

「しかし、表情が・・・」

顔に全て考えている事が出てしまい筒抜けである

社交界では苦労しそうだ。


「あらルーク、あなたは馬に空を飛べとでも言うの?鳥じゃないのよ、そういうのに慣れている人間が隣に居るのだから、出来る人間に任せれば良いのよ」

「ヴィーか」

「ええ、丁度いい魔除けになると思うわ」

クスクスと笑う王妃

確かに、魔除けにはピッタリだなと納得する。


「しかし、彼女の行動は解らないな」

「不思議?」

「ああ、あれだけの功績は隠し、目立ちたくない、だが選んだ伴侶は我が弟」

王弟の妻となればどうしても目立つ、なのに

「簡単よ、利益を無視してしまえば良いの」


利益を無視・・・

名声と金銭は望んでいない、ヴィルヘルムに近付き権力を臨んだ訳でもない。

そもそも臣籍に下った微妙な立場の王弟に近付くより、学園同期になる第二王子アーサーが居る。

アーサーを狙った方が自然だし楽だ

そして目立ちたくないのにヴィルヘルムからは離れない

となると

「ああ、単純に」

「ええ、純粋にヴィルの事が好きだから隣に居る」

貴族の婚姻に於いて恋愛結婚は少数派

政略結婚だが結果的に良い関係になる事はあるが、大半は政略のままに仕事の相手として割り切るものだ。

ましてや王族となると、それらはより顕著になる


だが、それを当時5歳の子供が7年掛けて成し遂げた

となると、また違う気がする。


得た資金は子爵領に注がれているから、つまりは

子爵領の為に色々巡らせていたら

結果としてその功績が愛した王弟との婚約の後押しをした。


「なるほど、頭の良い可愛い娘、だな」

思わず笑ってしまう

「ええ、そうでしょうとも」

王妃も笑顔だ。


彼女の成した事は革新的かつ理にかなっていて

それらの全ては、ただヴィルヘルムの隣にいる為だけに注がれた、と。


ルークは弟に良い伴侶が来たと喜び

エリザベートは可愛い妹が出来たと喜ぶ


但し彼らは誤解している、リリアンは前世の知識を使って、ただやりたい事をやっただけである事を。

リリアンは好き勝手行動した、ただのラッキーガール。

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