モブ、王に会う。
さてお互いの意思確認を済ませ、決戦!(魔)王城です。
もう日程が決まってから胃が・・・
まだデビュタントどころか学園入学前なのですけれど
そこは遠回しに「今暇だろ?」的な理由から入学前に全て済ませてしまえ感が否めません。
普通であればお互いの貴族当主両親の了承を貰うだけなのに
私とヴィルヘルム様の場合、国王陛下と前国王両陛下に許可を頂けないと婚約出来ないという事で不安しかありません。
お茶会で謁見に向けての相談で微妙な顔をしていると
「リリアン、君は既に兄上に認められているから大丈夫」
「はい?私何もしてませんし、陛下にはお披露目会以外にお会いした事有りませんが?」
「兄上は全部把握している」
「へ?」
ゼンブハアク、ぜんぶはあく、全部、バレてる!?
ブワッと汗が噴き出す
「ぜ、全部とは一体何を指しているのでしょうか、私には皆目見当も付かないのですが」
ブラフの可能性有りますからね、直ぐには口を割りませんよ。
「馬車」
ピクっ
「錆びない鉄」
「・・・」
「シェイクスピア」
「・・・」
バレてますねこれ。
「ええと、ヴィルヘルム様、そのー、これはですね」
うわー、何て言いましょうと言葉を探していると
「リリアン、おいで」と
ソファーの隣を示されたので、向かいから隣に移ると
腰をグッと引き寄せられヴィルヘルム様の膝の上に・・・
(ひゃあああああっ!何コレ、逞しいっ、じゃなくて、)
「っ」
首筋をサラリと撫でられゾクリとしてしまう
「リリアン、君は本当に不思議な子だ、これだけの事を成しながらそれを隠す」
「そ、れは、その、お金目当ての高位貴族に強引に婚約を申し込まれると断れませんので、目立ちたくなかったのです、それに、事を成したのは技術と知識を持った者達です、私は投資しただけですので・・・」
「目立ちたくないのに、私には近付こうとする」
ひどく上機嫌にサワサワと髪、肩、背中を撫でられる
ゾクゾクして、何か妖しい気分になりますわね。
「一目惚れ、ですから、今はもっと好きですわ」
「リリアン、これらの事を公表するつもりは」
「ありません、必要な人に知っていて頂ければそれで」
言いたい事は分かります、実績を持たせる事で口さがない者達を黙らせられますからね、でも、そういう方達は何かとケチを付けてくると思います。
つまり、目立っても目立たなくても大して差がないのですよ、寧ろ目立った分だけ余計な者も寄ってきそうですね。
うん、やっぱりモブ令嬢として目立たず行きましょう
それに
「それに、私はただあなたの隣に」
「リリアン・・・、いやリリー、君は俺を煽りすぎる」
ちゅ、とキスが降ってくる
「ヴィルヘルム様・・・」
「ヴィー、と」
口が塞がれるが、直ぐ離れる
「ヴィー、様」
と言えば
「様も要らない」
と言われ
「ヴィー、、、ン」
深く口づけられる。
鼻での息を意識するが、苦しくなる前に口づけが終わる
少し物足りないと感じていると
「これ以上は、また怒られるからな」
なんて言われて、お互い抱き合ったままクスクスと笑い合う。
ああ、どうかこの幸せがずっと続きますように。
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謁見の日です、まあ謁見と言っても非公式のもので私的な語らいのお誘いという体です。。
最初に国王陛下と、次に前国王陛下達とお会いします
直前まで失念していたのですが当然王妃様も居ますわね
婚姻出来たら義理の姉妹になりますから。
緊張していますがヴィーのエスコートがあるので
手の温もりに少しだけ安心します
場所は陛下の私室
「兄上は」
二人立っている騎士様の片方に聞きますと
「中に」
と言葉少なに答えられます。
「・・・」
「・・・」
なにか、ジッと私を観察されているのは気の所為ではないですよね?
取り敢えず場当たり的にニコっと会釈してお部屋に付いて行きます。
中に入ると陛下と王妃様がお二人並んで座ってました
うん、7年前にも思ったけど本当に絵になる二人ね・・・
「お待たせしました、兄上」
「ああ、よく来たな、まあ座るといい」
促されヴィーの隣へソファーに座ると、予想外に沈み込み後にひっくり返りそうになる
「わ」
横からすかさず腰を抱かれ、ついそのまま抱きついてしまった。
いきなりやらかしたと顔が赤くなる
何事も無かったように、静かに侍女二人がお茶を用意して部屋を下がる。
途端に、くっくっくっと陛下が笑い出す
「兄上」
咎めるように言うが
「ああ、すまない、違うのだ」
リリアン嬢を笑ったのではない
「は?」
「お前が、あまりにも自然にリリアン嬢を抱き支えるものだから、、」
くつくつと未だ笑いを引きずりながら
「いや心配していたのだが、存外『女』として扱っている様で安心した」
「「っ!」」
二人一緒に照れてしまう。
「ルーク」
王妃様が口を挟む
「ああ、本当にすまない、お披露目会で会っては居るが7年前だからな、改めてヴィルヘルムの兄ルークだ、国王をやっている」
「わたくしも改めて、兄嫁のエリザベートよ、王妃をやっているの」
と気軽に言われる。
(ざっくばらん過ぎません?)混乱しつつも
「あ、改めまして、マイケル・モブラック子爵が長女リリアンと申します、どうぞ宜しくお願い致します」
「よろしく」
「ええ、よろしくね」
「ここは私的な場だ、あまり畏まらずに旦那の兄と兄嫁の茶会に誘われたとでも思ってくれ、この場においてはルークと呼んでくれて構わない」
「わたくしもエリザって呼んでね」
この様な立場だから気楽な友人が少ないのだ、とまで言われてしまい呆気に取られる。
社交辞令なのか、試されているのか全く判らずにヴィルヘルムの顔を見ると
「本人達が良いと言っているのだから、そのまま呼べば良い、腹の探り合いなど家族にまでやってられるか」
「そうよ、義妹になるのだから、仲良くしましょう」
とまで言われ、ここに来る時も腹を括った筈なのに更に腹を括る事になる
(腹括ってばかりだわ・・・)
「では、ルーク義兄様とエリザ義姉様と」
呼ぶと
「可愛いわぁ!わたくし妹が欲しかったのよ、結婚式は一緒にドレス選びましょうねリリアン」
満面の笑顔で返された。
国王陛下夫妻の距離感に面を食らったが、どうやら認められた様で仲良くやって行けそうである。
優しい世界しかありません。
王城のボス2に行きます。




