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モブ幸せ、ヴィルヘルム怒られる。

やっと念願のヴィルヘルム様との婚約が成立しました、わーい。

あの日、ヴィルヘルム様が突然訪問された日、婚約を申し込まれ、そして口づけで意識を飛ばしました・・・

思い出すだけで顔が身体が熱くなりますわ。

あの後、意識を取り戻すと私はソファーに横になっており、ヴィルヘルム様は鬼の形相のサラにお説教されていました。


凄いわサラ!ありがとう、でも誤解よ

私はキスで意識を失っただけで、ヴィルヘルム様は酷い事なんてしてませんわよ。


え?12歳の乙女をキスで失神させる事は十分酷い事?

29歳の大人の男性が加減しないで誰がすると言うのです、って?

部屋に二人きり、扉の前で心配しながらもヴィルヘルム様なら大丈夫と信じていたら、話し声がしなくなって意を決して部屋に飛び込んだら、ご覧の有様で・・・

う、うん、そう言われると、そこはかとなく犯罪臭がするような気はしますわね・・・


「リリアンすまない・・・」

と、謝りながら近づこうとしたヴィルヘルム様に対して

サラが私を横から抱きしめ言い放ちます。


「公爵様は少なくとも今日はお嬢様に接近禁止です!

この事は報告させて頂きます!」

キッと睨み、ヴィルヘルム様を怯ませています

え、本当に凄いわサラ、どうしたの?

報告って何?


サラの言う報告とは子爵夫妻、公爵家執事への事であるが

彼女は知らない、公爵家執事の先に国王陛下が控えている事を。


ひと騒動あったけどお父様とお母様にも婚約のお許しを頂けたので良かったですわ。

お母様は「あらあら良かったわね初恋で婚約なんて、婚姻は何時にしましょうか」

驚くどころか祝福してくるお母様の心臓、私も見習いたいわ・・・


お父様は、ぎぎぎぎと血涙を流して見えそうな形相です

まだ早い、早すぎる、いやしかし、私の天使が、学園の中でそこら辺の木っ端共に奪われるより、公爵様の方が・・・

とかなんとか、ブツブツ呟いています・・・

お父様、木っ端共って!

まあ確かに、私にとってもヴィルヘルム様以外は目に入らない存在ですが一応貴族の子息令嬢達が集う学園ですのに

私は苦笑い、ヴィルヘルム様は引いていますよ。

見兼ねたお母様が

「あなた・・・」

と、冷笑を浮かべ低い声で言うと

ビクッとお父様が反応し、んん!と咳払いします

「ま、まあリリアンが良いなら良いんじゃないかな、クロイツェル公爵様どうぞ宜しくお願いします」

お母様凄いですわ、とても勉強になります!

でも、お父様、、、

私が残念な者を見る目になるのは仕方ない事ですよね、ごめんなさい。

後でお母様に先程の表情と、声の出し方のコツ聞いておきましょうか。


さて、我が子爵家は大丈夫です。

問題はヴィルヘルム様のご両親へのご挨拶です

ヴィルヘルム様は現国王陛下の弟で、その両親となると

前国王陛下夫婦になります。

あ、そもそも婚約婚姻の書類は国王陛下と教会の担当でもあるので、現国王陛下にもご挨拶に行かないと駄目ですね?

私、二代に渡って国王陛下に合わないといけないの?

ううっ、胃が・・・

(多分)乙女ゲームには干渉していないと思うのだけど、王族に関わる気なんて微塵も無かったのにどうしてこうなった!?

私がヴィルヘルム様に一目惚れしたせいですね、解ってますよ、ええ。

だからと言って今更ヴィルヘルム様と離れる事など出来ませんわ、愛してしまったのだから腹括りましょうか。



――――――――――――――――――――――――――


リリアンが腹を括ったというのに対して


「何て事をしてらっしゃるのですか!」

「紳士が聞いて呆れますわね・・・」

公爵家執事ジェレミアと侍女長アリアにヴィルヘルムは怒られていた。


「百歩譲ってお部屋に二人きりは良いでしょう、婚約の申し込みを他の者には聴かせない、女性なら嬉しい事です」

「婚約をお受けして頂き、それはとても喜ばしい事ですわ」

だがしかし

「手を出して気を失わせるなど、リリアン様の信頼を裏切る行為です」

まだ12歳になったばかりですよ、と。


兄に「もう11歳」と言われ、使用人には「まだ12歳」と言われる。

前者は政治的に、後者は女性的な意味でそれぞれ正論を言っているのだ


ヴィルヘルムは女性経験の乏しさから、婚約者相手には割と失敗が多い。

侍女長に言われる

「いいですかヴィルヘルム様、12歳と言うのは微妙で繊細な年齢です。

大人ではありません、しかし子供でもありません、これから数年はとても難しいお歳です、なのでその点を十分にご留意した対応をお願いします」

「ああ、分かった、今後気を付けよう」

王弟公爵様もタジタジである。


結果として手加減を忘れたのはヴィルヘルムであるが、最初に誘ったのはリリアンで

(あんな目で強請るように見つめられて、あの場の雰囲気で何もしないのも傷つけてしまう気はする・・・)

仮に額や頬に口づけをした場合、恐らく女性として見られていない、姪を相手にしている様なものだ、と思われる可能性は十分に考えられ、手にした場合も普通は愛を乞う意味を持つ箇所なのだが、ヴィルヘルムが騎士である事により忠誠や庇護の意味も出てくる


口へのキスは正解だが、結局やり過ぎたヴィルヘルムが悪い、つまりはそういう事に収束する。


説教を受けながら思う

(まさか、これを兄夫婦にも父上母上にも言われるのか・・・?)

遠い目をするヴィルヘルムであった。

次は王城内になります。

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