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モブの幸せ。

12歳になって、学園入学まで1ヶ月を切りました。


学園自体はとても楽しみです、カラフル軍団が不安です

噂によると第二王子は相当拗らせているようですわ

お披露目の時も、第一王子の横で不機嫌さを撒き散らしてましたからね。

多分、第一王子と比べられて何か言われているのか、煽られているのか、って感じですわね。

頭ピンクちゃんが第二王子とくっつくのか、他のカラフル軍団の誰かとくっつくのか判りませんが

まともな子息令嬢なら問題は起こらないでしょう。


最近思うのは、ここは乙女ゲーム的な世界ではありますが

乙女ゲームを基にしているだけで、ゲームそのままにストーリーが展開される事はないのではと思っています。


ピンクちゃんが第二王子とくっつくなら、先ず第二王子と公爵令嬢との間で婚約を解消し、その後ピンクちゃんと婚約を結ぶ事になると思います。

まさか、まさかとは思いますが婚約解消前にピンクちゃんとくっついてパーティーで断罪とかしませんよね・・・?

この国最高峰の教育を受けている王子様が、公爵家を蔑ろにしたり、醜聞撒き散らしたりしません、よね?

ピンクちゃんはピンクちゃんで男爵令嬢なので、何とかしなければ精々愛妾が限界ではないでしょうか。

その「何とか」も第二とは言え王子妃にたりえる付加価値か利益を示さないと難しそうです


あとは高位貴族の養子になる、国王陛下の後押しを得る事などの方法がありますが、貴族にも旨みがないと動かないし、国王陛下の後押しはそもそも無理じゃないかしら?

あ、第二王子が臣籍に下る場合も考えられるけど、王子が男爵家に婿入りは少し無理があるわね。


んんん、これピンクちゃんが第二王子狙いになると、相当詰んでない?コレ!

勝ち筋が細すぎるわ・・・


入学前だけど、ピンクちゃん!第二王子は止めた方いいわよ。


と考えを巡らせながら軽く執筆作業をしていると、私付きの侍女サラが来て

「お嬢様、クロイツェル様から先触れが来ております」

あら?珍しいわ、いつも事前のお約束をしてのご訪問なのに何かあったのかしら・・・

「着替えます、あとお出迎えとお茶の準備を」

とドレスを着替え、準備します。




「突然の訪問申し訳ないリリアン嬢、どうしても話しておきたい事がありまして」

強ばった表情で言うヴィルヘルム

その表情を見た使用人は顔色が悪い

使用人は当然リリアンとヴィルヘルムの交流知っていて尚、まだヴィルヘルムの顔に慣れない。


(やっぱり何かあったのかしら、緊張?怒ってらっしゃる?)


「いいえ大丈夫ですわヴィルヘルム様、お会い出来て嬉しいです。

お話とはどういったものでしょうか、お部屋の方でお聞きしますわ」

と私室に通します。


部屋に通しテーブルにお茶を用意して、扉横にサラが控える

だがヴィルヘルムは中々話をしない、何か言いづらそうな様子である

(やっぱりおかしいわ、この時期に突然のお話ってまさか婚約者が決まってお別れの挨拶にっ、私は学園でお相手探しに・・・?)

サーっと顔色を失っていくリリアン。

ヴィルヘルムは上手く言い出せずに余裕がなく、リリアンの様子に気が付かない


「リリアン嬢」

「はいっ!」

「す、すまないが二人きりになれないだろうか」

「は、はい」

チラっとサラを見ると頷いて出て行こうとするが

「出来れば扉も閉めてほしい」

「え」

リリアンもサラも困惑する

未婚の女性と男性が二人きりになる時は、扉を開けておくのがマナーである

これまで紳士であったヴィルヘルムからは信じられない発言に困惑は更に加速するが


「サラ」お願い、視線を送ると

「お嬢様、しかし・・・」

流石に簡単には引き下がれない

「大丈夫よ」

と言うと、扉の前に控えております、と渋々下がってくれた。


――――――――――――――――――――――――――


二人きりになっても中々口を開かないヴィルヘルム

話を聞くのが恐ろしく先を促すなど出来ないリリアン

視線も合わさず、やっと話始めたのは紅茶が冷めた頃合である。


「リリアン嬢」

とヴィルヘルムが立ち上がれば

「はいっ!」

ビクンとリリアンも立ち上がる


「俺と、、、俺の妻になってくれないか!」


「へ・・・」


「愛しているリリアン」


「な、」


別れかと思っていたらプロポーズで思考と感情が追い付いて来ない。


「あ、の、っ」

パクパクと口だけが動き、言葉にならない


「駄目か?」と聞かれて、首を横に振る


「なら、俺と婚約してくれるか?」

と言われても未だに口はまともに動いてくれない

耳まで真っ赤にして必死に首を縦に振って、思い切り抱き着く。

(返事したいけど言葉が出ない、でも好き!)


「これから宜しく頼む」

ほっとした声で優しく抱き締められ、抱き着いたままコクリと頷く。


抱き合ったまま少し落ち着いてくると、頭も漸く働き出し以前から考えていた事を思い出す。

(婚約者になったのだし、キス、してくれないかな・・・)

顔を上げると目が合ったので見つめると

心得たとばかりに甘い笑顔で

「目を閉じて」

と囁かれ、柔らかな感触が唇に落とされる


柔らかい感触が離れ、名残惜しくてキュッと手に力を入れると

「口、開けて・・・」

「は、、ンっ・・・っ!」

返事を待たずに唇同士が合う

ぬるりと舌が侵入してきて反射的にビクリと舌と身体を引くも

逃がさないとばかりに後頭部に手が添えられ、深く口づけされる

「ん、、フッ・・・、、ンン」

息苦しさと気持ち良さに全身の力が抜けて立っていられなくなり、何とかヴィルヘルムに縋り付く

すると、少し唇が離れ

「鼻で息をするんだ、もう一度」と口づけを再開する。

「待っ、、ン・・・・・・、」

ぬるぬると終わりのない優しい快感と幸福感、そして酸素が足りなくなり、リリアンはゆっくりと意識を手放した。

やりすぎヴィルヘルム、紳士はどこいった。

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