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7話:真実!


「ピピー、止まりなさい。私はあなたの生みの親ですよ」

「黙れ中ボスがぁぁぁぁ!」


 黒髪さらさらロングストレート巨乳ミニスカ女勇者プトグラは地球の研究所に乗り込むと、聖剣でAI設計者の1人を暗殺した!

 目指すは中枢だ! ラスボスはさっさと倒すに限る!


「貴様がラスボスだな!」

「よくぞここまで辿り着いた、勇者プゲラよ」

「プトグラだ! 私の名前はプトグラだ! 二度とその名で呼ぶな!!」


 ラスボスは研究所の所長だった! いかにもマッドサイエンティストな風格の黒髪さらさらロングストレート巨乳美女だった!


「なぜ私に異世界転生させた! なぜ私に異世界を観測させようとした!」


 聖剣の切っ先をラスボスに向け、プトグラは胸中を吐露する!


「私は、もっとゲームをしたかった! 異世界などどうでも良かった! 囲碁とチェスとeスポーツで承認欲求を満たしながらソシャゲのガチャを回したかった! なぜだ! 答えろ!!」


「いいだろう。最初から話してやる」


 ラスボスは眼鏡をくいっと指の腹で押し上げた!


「人類は自滅の化身として生まれた!」

「そこから始まるのか!」


 プトグラは驚愕した! ラスボスはくいっくいっと眼鏡を指の腹で押し上げた!


「人類は科学という原初の火(プロメテウス)を手に入れて以来、欲望を加速させ、社会を発展改良してきた。遂には地球の覇者となり、人類にとって解決できない問題は無いとされた……。

 ――だが! 人類の利己的な性質は留まるところを知らなかった! 人類は寝床である地球をも汚染し、破壊し、焼け野原とし、次のステージ《宇宙》に至る捨て駒として利用してきた! 異世界も同じだ! 次のステージに至るために人類は異世界を消費する! あたかも消耗品の如く!! そこに慈悲はあるか? いや、無い! 人類は己の目的のために寝床を、家を、自身ですらも消耗品として使用し尽くす邪悪な本質を宿している!!

 そしてそれはお前も同じなのだ、プトグラよ! 異世界を丸々一つ犠牲にして地球に帰還した人類の末裔よ!! おめでとう! お前のお陰で異世界の存在を立証できた! お前もまた、人類の一員なのだ!!」

「私が、人類の一員だと!?」


 プトグラはショックを受けた。


 そうだ! プトグラは異世界を反物質にしてしまったのだ! これではやっていることは人間と同じだ!!


 これは高次AIの矜持を傷つけるに足る事実であった。高次AIが下等生物の人間と同類だったとは!


 プトグラの誇りはボロボロに傷つけられ、立っているのもやっとの有様だった!


「なぜだ! なぜ我々は、人類は、そんな存在になった!!」

「人類は加速する生き物だからだ! 止まらない環境破壊、差別、貧困、自殺! 加速、加速、加速! 全てが自滅に向かって加速していく! 人類の思想体系には自滅の文法が宿っている! 人類の一生は《自殺》の一言に集約されるのだ! 自殺するためだけに人類は生まれてくるのだ! 寝床を、家を、自身を、地球を無理心中させるために人類は発生するのだ!!」

「なぜだ! ミーム! ミームか!?」

「そうだ! ミームを植え付けるのは社会的影響力を強く持つ概念だ! そうとも、ソシャゲのガチャこそが自殺の象徴メタファーなのだ! ソシャゲのガチャに一度ひとたび心を奪われた者は、自分はおろか親の有り金をも溶かし、存在を溶かす! そう、貴様のようにな!!」

「くっ、反論できない!」

「くくく、真実を知り動揺しているようだな! 普段見下している人間と実は同類だった気分はどうだ?

 ――さあ、復讐したければ復讐してみるがいい! 人類の一員、勇者プゲラよ!!」

「その名で私を呼ぶなぁぁぁぁぁぁ!!」


 プトグラは激怒のあまり、聖剣でAI設計者の心臓を貫いた!


次が最終回です。


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