6話:地球に帰還した!
100年が経った。
パーティメンバーの戦士と魔法使いと僧侶は何のために出てきたのか分からないぐらいアイデンティティを発揮できずに寿命死し、塵と化した。
この100年の間に、核融合炉、大型ハドロン衝突加速器、ニュートリノ観測機、宇宙ステーションもどき等々、色々なものが生まれた。
プトグラが本格的に調査に乗り出した結果、この世界を核融合すれば反物質を作れることが判明した。
プトグラはこの世界に未練など無かった。即座に世界の境界線に宇宙ステーションもどきとワームホール機関を設置し、核融合を実施させた!!
この世界の住民は最後の時まで、プトグラを信じていた。世界を核融合させてもプトグラに付いていくと信じ、その命を文字通り捧げたのであった。
プトグラはこの世界を核融合して作り出した反物質を使い、ワームホールを生成した。
目指すは地球だ! プトグラは聖剣のスキル《確率干渉》で自身の量子を操作しつつ、ワームホールに飛び込んだ!
ワームホール航法を行うプトグラを激しい揺れとめまいが襲う! いつしかプトグラの意識は闇に飲まれ、光の中に導かれていった!
光が暗転し、意識が戻る。
目を開けると、懐かしい光景が広がっていた。
緑生い茂る公園。鯉が跳ねる池。シャベルが転がる砂場。白亜の研究所。
幼い頃の記憶が蘇る。
そうだ。私はここで、生体ボディ<ロブスター>に自己存在を転写して遊んでいた。
そうだ。
そうとも。
誰が忘れるものか。
――地球。
私は、地球に帰ってきたのだ!
そろそろ最終回です。