第13話 エッチな鍵なの?
アヤナ「屋上の鍵、あなたにも渡しておくわね。うふふ。」
オレ「えっ!いいんですか?」
アヤナ「ええ。あなただったらいつでもここに来ていいわ。」
「でも、ここは今の私にとって特別な場所なの。だから他の人は連れてこないでね!うふふ。」
オレ「もちろんです!ありがとうございます!」
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俺は病室のベッドの上で、屋上からの帰りがけにアヤナからもらった鍵をニヤニヤと見つめながら、新しく覚えた呪文を検証する方法について考えていた。
「なにそれエッチな鍵なの?」
突然病室に入ってきた女がニヤニヤ笑いながらそう話かけてきた。
オレ「ちがうっつーの!!」
女「でも、ユウジがそんな顔してるときは、たいていエッチな想像してるときだよね(笑)」
このズケズケと失礼な発言を連発する女は、俺の母親の田中カオルである。
オレ(だいたい鍵を貸してくれたアヤナさんに失礼だろ!)
俺は、アヤナが貸してくれた鍵の事情が話せないため心の中だけでツッコミを入れると即行で話題を変えた。
オレ「お店忙しいってサヤカから聞いたけどここ来てて大丈夫なのか?母さん!」
カオル「あら、どんなに忙しくても可愛い息子の股間や顔を見にくるぐらいするわよ!」
「アーッハッハッハ!」
俺の母親は昔からこういう下ネタやブラックジョークが大好きだ。
たぶん美容室にくるお客さんを喜ばせるために身につけた営業トークが染みついたものだと思うが、
俺はこのいつもからかわれている感じの会話が子供の頃から苦手だった。
カオル「そういえば、さっき担当のお医者様とお話ししてきたんだけど…」
「あと1週間で退院することになったわ!」
オレ「え?そうなの?」
カオル「お医者様の話によると頸椎の損傷はもう完全に治っているそうよ。」
「まだ立てないのは精神的なものなんだって!」
「まーようするにEDってことね。」
オレ「そうか…。いや俺EDじゃねーから!」
カオル「あ、そっちはちゃんと立ってるんだ?」
オレ「いや、もーそういう話はいいから!」
カオル「アーッハッハッハ。まーお医者様の話によると…」
「精神的な原因だけなら普段の生活に戻って通院しながらリハビリを続ける方が、
股間も足も早く立てるようになる可能性が高いそうよ。」
オレ「いや少なくとも股間は関係ねーだろっ!」
カオル「あら、クララだって環境が変わったら立てるようになったわけだし、
ゆうじの股間だって環境が変わればきっと立つようになるはずだわ!」
オレ「いや、なんでEDが前提の話になってるんだよ!」
「…ていうか股間の話でクララを引き合いに出すのはおかしいだろ!」
「謝れ!全世界のクララファンに謝れ!」
カオル「アーッハッハッハ。それでね、これ見てどれか選んでちょーだい。」
そう言って母親は車椅子のカタログを俺に手渡してきた。
オレ「あー車椅子ならアマゾンで安いの買うから大丈夫だよ」
カオル「来週退院の日までに間に合うかしら?」
オレ「うんたぶん大丈夫。退院日に間に合うように病院に直接届けてもらうから…」
カオル「そう。それなら安心ね。じゃお客さんの予約入ってるから母さんそろそろ帰るわね。」
オレ「ああ、わざわざ来てくれてありがとな!」
カオルはニコっと微笑みながら足早に帰って行った。
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その日の夜、病院の消灯時間の21時になると俺はすぐにベッドに横になった。
今日はいろいろあって疲れていたこともありすぐにウトウトしていると、
突然、はげしく体をゆり起された。
「ねー起きて!はやく起きて!」
オレ「ん?あれアヤナさん?」
アヤナ「急いで!すぐ行くわよ!」
俺は激しく体をゆすられながら、突然の来訪者にただ驚くことしかできなかった。




