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DQ転生?物語 ~車椅子の救世主~  作者: イツモ ノアレ
第1章 入院編
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第12話 アヤナの秘密?

ゆうじの知らないアヤナの秘密を別視点で簡単にまとめていきます。

『~アヤナの病室にて~』


アヤナが自分の病室へ戻ってくると、彼女専任の担当医が待ち構えていた。


担当医「桃園さん、今日は定期検査の日ですよ。時間通り戻って頂かないと困ります!」


アヤナ「あ、そうだったわね!ごめんなさい。ちょっといろいろあってね…。うふふ…。」


アヤナはいつになく機嫌の良い表情を浮かべながらそう答えた。


担当医「では、すぐに検査室へ向かいましょうか。」


担当医は、ふとベッド横の机の上に放置されたままの薬に目をとめた。


担当医「あれ?痛み止め飲んでないのですか?」


アヤナ「ええ、今日は何かとても調子がいいの!うふふ…。」


担当医「そうですか…。強いお薬なので飲まずに済むならそれに越したことはありませんが…。」

「このまま検査を始めても大丈夫そうですか?」


アヤナ「ええ、大丈夫だと思うわ!速く行きましょう。安西先生!うふふ…。」


アヤナはそう言うと、担当医を引っ張って病室を出るのだった。



『~院長室にて~』


「コン、コン。」


日の暮れた夕刻の院長室に、突然ノックの音が鳴り響いた。


齊藤院長「はい。どうぞ…。」


安西「失礼します。」


院長室のドアが少し開き、そこには1人の男が顔をのぞかせていた。


齊藤院長「ん?安西君か。どうしたね?」


安西「実は桃園アヤナの件で少しご相談があるのですが、今お時間よろしいでしょうか?」


齊藤院長「かまわんよ。入りたまえ。」


安西が部屋へ入ると、院長は来客用のソファーへ移動して座った。


安西「ちょっとこれを見て頂けますか?」


安西はそういうと、持っていた大きな封筒の1つを院長へ手渡しながら対面の椅子に腰かけた。


齊藤院長「これは?」


安西「本日実施した桃園アヤナのMRIと超音波検査の写真です。」


院長は封筒から出したエコー写真を見ると、すぐに驚きの表情に変わった。


齊藤院長「これが今日のアヤナさんの状態だと?」


安西「はい。それで、ちょっとこちらも見て頂けますか?」


安西は、もう1方の封筒も差し出した。


安西「こちらは、ちょうど1週間前の定期検査で撮ったMRIと超音波検査の写真です」


院長は、2つのMRI写真を天井のライトにかざしながら見比べた。


齊藤院長「ふむ。信じられんな。」

「これだけ肥大化していたガン細胞が、たった一週間で2cm程度に縮んだというのか?」

「この写真を見る限りリンパ節への転移も消えているように見えるな…。」

「安西君、たしかアヤナさんのすい臓ガンは、入院したときはすでにステージ4bだったかな?」


安西「はい。オーナーの桃園氏とも相談して余命半年の宣告を行ったのが、今年の1月頃でしたから、ステージ4bになって今月で7カ月目に入ります。」


齊藤院長「しかし君、これじゃまるでステージ1程度じゃないか…。」


「君、まさか私をおちょくりに来たわけではないよな?」


安西「めっそうもない!私も今日この結果を見て驚いたのです!」


「専属医療班のスタッフも誰も原因がわからず、臨床経験の豊富な院長なら、このような症例をご存じかもしれないと思いご相談に伺った次第です。」


齊藤院長「ふむ…。まさかこっそり抜け出して別の病院で摘出手術を受けたということはないかね?」


安西「いえ、それはあり得ません。」


「彼女のいる特別室は専属医療班の看護師が常時待機しておりますし、もし、外部で外科治療を行ったのであれば手術痕で気付くはずです。」


齊藤院長「なにか治療方針を変えたということはないかね?」


安西「いえ、ご本人の希望もあり、今年の春ごろからはずっとモルヒネによる緩和治療のみです。」


齊藤院長「この1週間でアヤナさんに何か変わったことはなかったかな?」


安西「いえとくに…。あ、そういえば今日はとても調子が良いと言ってモルヒネをまったく飲んでいませんでした。」


齊藤院長「ふむ。すい臓は沈黙の臓器と呼ばれているぐらいだからな…。」

「これだけ回復してしまえば痛みが出ることもまずないだろう…。」


安西「それで院長、この結果はオーナーに報告しますか?」


齊藤院長「ふむ…。」

院長はアゴに親指と人差し指を押しあててしばし熟考した。


齊藤院長「このことは、まだしばらく…内緒にしておこう。」

「ガン細胞が小さくなったといっても、完治したわけではない。今すぐ報告しても、また悪化すればぬか喜びさせてしまうことになるからな。」


安西「この大きさであれば、今すぐ摘出手術をすることも可能と思いますがどうしますか?」


齊藤院長「そうだな。2週間ほど様子を見てから判断するとしよう。」


安西「わかりました。では定期検査は今まで通り行っていきます。」


齊藤院長「もし、このままアヤナさんが完治した場合、桃園氏は大いにお喜びになられるだろう。」

「そうすれば、君の次期院長もほぼ確定すると思ってくれていい。」


安西「そんな、私などまだまだ若輩者の1担当医にすぎません…。」


齊藤院長「そんなに謙遜せんでも君が優秀なのは皆理解しているさ。」

「まー。今後ともよろしく頼むよ!」


安西「はい。では失礼します」



院長室を出た直後、安西はささやくような小声でつぶやいた。


「俺が次期院長か…よしっ!」


安西はそう言って小さくガッツポーズすると意気揚々な足取りで歩き出すのだった。


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