07
玄関の扉を開けると、そこには見たことの無い風景が広がっていた。
どうやら夜らしく、空を見上げても暗闇が広がっているだけで何も無い。
何も無いというのは、月も無ければ星も無いということだ。
外灯のおかげで周囲は見渡せるが、灯りがなければこの世界の夜は真っ暗なのかもしれない。
そもそも太陽があるのかどうか...
周囲を見渡すと、日本では見慣れない外観をした家と道があった。
よくある洋風の一軒家が並んでいる。道路は石で塗装されているようだった。
日本のマンションや計画的に作られ、度々補修されるような道路と比べると、些か雑な作りに思える。
しかし、汚い訳ではなく、むしろ綺麗な街並みだった。
家を出て気づいたが、夜ではあまり情報も手に入りにくいかもしれない。
軽く周囲を歩いてから家に戻ることにした。
自分の戻るべき家を入念に確認して歩き出す。
ここで迷子になったら洒落にならない。
しかし、いくら歩いても同じような建物が並んでいるだけで、変化がない。
恐らく住宅地なのだろう。
そして人もいない。すれ違う人もいなかった。
だから道は常に薄暗く、不安を抱かせる。
明日、家の少女に案内を頼めば良いかなと思い、大事なことを思い出す。
少女の名前を聞いていない!
というより自己紹介すらまだしていなかった。
あるまじき失態である。
礼節を重んじるポリシーを持ちながらこんな事では...
これ以上住宅地を歩いていても仕方がないので、急ぎ足で家に戻ることにした。
本音は薄暗くて怖いの一点。