02
俺は霊とか神とか魂とか、そういった物は信じていない。
勿論科学では立証出来ない、人の目には映らない何かの存在自体は否定しない。
けれど、人の思考、意識は自身の身体-とりわけ能-によって生じている。
人は脳を失えば思考する事など出来ないし、何かを知覚することなど有り得ない。
死んだらただ消えるのだ。
寝ている時のように…自身が生まれる前のように。
だから信じたくはなかった…。有り得ないと思った。
だって、死んだ筈の俺は今、宇宙に漂っていて、地球を見ているのだから。
これが死後の世界というやつなのだろうか。
俺はこれから星になるのかもしれない。
ぷかぷか宇宙に漂う俺。
体は無く、目前に広がる光景も目を通して見ている訳では無い。
ならどうやって見ているのか?
わかるわけがない。
直接魂に入ってくる…というとしっくり来る。
しっくり来るけどスピリチュアル回答すぎて理解不能。というか、もう理解放棄。
ぷかぷか宇宙に漂ってからどれくらい時間が経ったのだろうか。
ここには時間の概念等ないらしい。まるで時間感覚がない。
でもさ、あの…いつまでここにいればいいの?って思わず叫びそうになるよね。
もしかして宇宙に漂うのが死後の暮らしなのか?
退屈すぎるだろ…。