01
毎日が苦しかった。
目に見える世界は灰色で、この世界はとても薄暗かった。
いつからだろう…こんな風になってしまったのは…
いつからだろう…ただ生きていることがこんなにも苦痛になったのは…
心には常に虚無感が漂い、死への憧憬と渇望があった。
こんなにも苦しい世界なのに…何故皆は平然と笑っていられるのだろう。
理解出来なかった。
生きていることが苦しくて、理由のない根源的な苦痛が常に襲ってきて、それでも尚生きている自分は確実にマゾなのだろう。
いや、マゾという言葉で逃げている事は気付いていた。
簡単な事、俺には死ぬ力がない。勇気がない。能力がない。
無能が故に死ぬことすら出来ない。
そんなことを考えていると自然と涙が出た。
肉親の死ですらろくに悲しんだこともないというのに…。
何故、俺だけがこんなにも苦しいのか。
その理由を探し続けた。重い体を引きずって、答えを求め続けた。
数年後、その答えはあっさりと見つかる。
なに、俺は双極性障害、よくあるうつ病だったのだ。
あまりにも簡単な答え。ありふれた苦しみ。
されど、灰色の世界は己を拒絶している。
うつ病は人類のアポトーシス。
優生学的に、劣った者は排除される。
ならば、自分から去るのがきっと潔いのだろう。
苦しみから解放される手段は死以外に有り得ない。
机から貯めておいた睡眠薬を取り出し、がぶ飲みする。
耐性のせいで意識は落ちない。けれど、100錠も飲めば意識は虚ろってゆく。
朦朧とした意識の中、俺は何かしらの手段を用いて死んだ。
確かに死んだんだ…どんな手段を用いたのかは記憶にないのだけれど。
少なくともこの世界からいなくなったことは確かだった。