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今日から学校と仕事、始まります。①莞

ワンシーン

作者: 孤独

GW。休みの続きというだけに良い事ばかりの日。


「えへへへへ」


沖ミムラは少し浮かれていた。先日、大学の先輩方とか高校の知り合い達とのプチ旅行を終えて、満足しながらご帰宅。

旅行中、自分の家の留守や居候中の小学生、のんちゃんのお世話を


「広嶋くん、のんちゃんのお世話ありがとう」


全部、友達の広嶋健吾に任せていた。そんな彼にお礼をしようと思い、カフェに行って奢ってあげるミムラ。ちょっとだけポイントを稼ぐつもりだった。


「今夜、泊まっていく?」

「これ食ったら帰る」

「え~!今日までGWだよー!私の家に泊まっていいよー!」

「………まー、考えてやるよ」


なんのかんので、広嶋くんは良い人なので泊まってくれると思う。人込みとか嫌いなので平日に帰りそう。

旅行の話とか、お土産もあるわけで。


「今度は広嶋君もいこー!藤砂さんもいたんだからさ!」

「俺は集団行動は嫌いなんだよ。金もそこまでねぇ」

「むーぅっ、じゃあ今度決まったら誘うから」

「断るけどな」


協調性があんまりないけど、思う存分に楽しめって言いたそうな顔。それではダメだと強く言えない自分に、弱いところを感じる。


「……………」

「?なに、広嶋君」


ケーキを食べているところを少し凝視されるミムラ。一体何を視られているのだろう?変なところにクリームが付いてるのかな?


「ミムラ」

「はい!」


はしたないところを見せちゃったのかな?そんな気持ちは……


「お前、太ったか?」


想定したものがとっても楽だという結末だった。ミムラは広嶋の言葉に笑顔を見せながらだった、


「は?」


広嶋から見ればとてもミムラの動きはスローであった。それはミムラよりも彼が強いことを示していた。だが、周囲に居る凡人達にはただの修羅場と思わせる雰囲気にしか感じない。ミムラが広嶋が飲んでいたコーヒー、そのカップを左手で掴んだ。

女子としての腕力とは良い難い。しかし、ミムラも広嶋も人間という種族であるし、れっきとした形をしている。



パーーーンッ


コーヒーカップが握り潰されて破裂する音。破片、及び、熱いコーヒーが飛び散った。ミムラの笑顔が徐々に殺意を持つ顔へと変化していく。

飛び散る破片とその音で、凡人達は2人の方へ向こうとしていた。一方、広嶋だけはずーっと静止。ある意味、ミムラをずっと見ていた。コーヒーカップを破裂させながら、ミムラは椅子から立ち上がり、振り上げる右手で今度はテーブルにグーパンチ。

カップが破裂した音を消し去るほどの打撃音と破壊音。テーブルは可哀想に真っ二つにされて破片が店中に飛び交う。



「おっと」


広嶋が首をほんの少しだけ動かした。テーブルの破片が当たりそうだったからだ。ゆっくり見ながら、ゆっくりと回避している。彼等の間合いではそー思える。

テーブルが割れて、広嶋の視界を遮るような大きな大きな破片が、ミムラと広嶋の中間にできた。

広嶋はミムラの足元を見ると、ミムラの軸足が回っていることに気付いた。

ミムラの全ての破片を凪ぐ強烈な回し蹴りが広嶋を襲った。


「もー、広嶋くーん。冗談きついよー」


凡人達にはコーヒーカップが破裂した光景も、テーブルが吹き飛んでる光景も見えなかった。ミムラが広嶋に蹴りを入れているところまでしか分からなかった速度での出来事。

殺意の表情は終わっていた。とても笑顔でミムラは広嶋に答えてあげる。


「膨張色を着てるだけだからね。体重もちゃんとキープしてるから」


それでも怒りマークが消えていない。結構、旅行中での食べすぎを気にしていたようだ。ミムラの強烈な回し蹴りを右手一つで受け止めて涼しい顔をする広嶋。


「悪くない動きだ。久々に体動かしてスッキリしただろ」

「ごめんなさいを言ってよ」


広嶋がミムラの足を離して一言。


「ごめんな。少し試しただけだ」

「むーぅっ!」



ところで、


「お前が蹴り飛ばしたテーブル。車道のトラックに突き刺さっているが、どうする?」

「逃げるしかないじゃん」


広嶋とミムラは仲良く、追いかけてくる店員や警察を撒いていった。なんやかんやで結局、広嶋もミムラの家に転がりこんだ。


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