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スポーツ脳

2017/08/14 加筆修正しました。

読んでくださる方に、合う作品であることを祈りつつ。

 バッティングセンターのオヤジは、タバコのフィルターを奥歯で噛み、吸っては消し、吸っては消しを繰り返して、イライラをつのらせていた。


 ゲーム脳とかぬかすドアホがるけど、

 じゃぁ実際、犯罪者の中で、どんだけオタクがおったんや!

 調べもせん癖に、偏見だけで物言うアホの多いこと多いこと。

 なんやろ? 勉強しかしてへんから、逆に馬鹿になっとんのか?

 ハッキリ言うて

 どっかの野球部やアメフト部が集団で強姦したとか!

 元ボクサーが、とか!

 スポーツやってる奴の方が、よっぽど多いやんけぇ!


 何が、スポーツマンシップじゃ!

 何が、体育会系は礼儀を叩き込んどるや!

 そもそも、才能ある後輩をイジメる話、よー聞くぞ!

 教える方も、意味の無い体罰とかしよる!


 スポーツ脳や!

 スポーツばっかしてたら

 正常な判断見失って

 暴力で解決するように成るんや!

 ワシは、スポーツ脳を提唱するね!


 いやいや、スポーツだけやないわ!


 ええ大学入っとるのに

 汚職したり

 痴漢で捕まったり

 飲酒運転で捕まったり

 教え子に手出して、結婚する教師って、どうよ?

 やたら多いやんけ!


 それよりも、犯罪にならへんよーに法律掻い潜って

 平気で天下りしとる奴とか、クズやないか!


 あれは秘書が勝手に……とか抜かす政治家も!

 お前らが、数えたら一番多いんとちゃうんか!


 勉強脳や!

 そうや、勉強脳じゃ!

 勉強ばっかやっとると、そういう道を外れた事を平気でするようになる!


 ゲームは、何にも悪くないんじゃぁぁぁーーーッ!!


 バッティングセンターのオヤジは、ゲームが大好きだった。

 バッティングセンターも、ゲームみたいなもんだ。


 犯罪者がオタクだった時、マスコミはこぞって、その趣味を問題視する。

 親や学校の教育は棚に上げられ、あたかもゲームが原因かのようにみせる歪曲された報道が許せなかった。


 オヤジは、練習に来ている市西イチニシ野球部の練習について、アレコレと口を出すような野暮やぼなことはしなかった。

 それは、その部活内での規則が在るだろうし、それより何より、まなぶの練習方法が理解し易かったからというのが大きかった。

 だがしかし、体育会系ってのは上下関係に厳しく、例え白でも、先輩が黒と言えば黒だと教える……と言うよりも、そうしつけるような行動が多々ある。


 どう考えても、どう甘く見ても、目の前の光景は、オヤジにとって許されるものではなかった。

 OBが教えるフリをして、自分がバッターボックスに立ち続けているのを見て、怒りがこみ上げてきたのである。


 アカン!

 耐えられへん!


「オイ! そこのお前、練習の邪魔すんな!」


「はぁ? 俺はコイツらに手本を……」


「なーにが手本じゃ、手本やったら、素振りで十分やないか! お前がやるんなら、金払え! 便乗すんなボケがぁ! 帰れ!」


 OBたちは「こんなトコ、二度と来るか!」などと、捨て台詞を吐いて、バッティングセンターを出て行った。

 入口の自動ドアが閉じるまで睨み続けていたが、OBの姿が見えなくなると、オヤジは冷静になり『しまった、やり過ぎた』と部員たちの居る方を振り向けなくなっていた。

 オヤジの頬を変な汗が、大量に流れ出した。


 すると、後ろの方から駆け寄る音がして、振り返えってみれば、部員たち次々に帽子を脱いで頭を下げだした。


「ありがとうございます、僕らでは立場上、何にも言えなくって……」


「いやいやいや、俺は、ほら、アレだ、あはははは」


 オヤジは、照れ臭そうに頭を掻いて、不器用に礼を受け止めた。


「ところで、学校の方でも、あんな感じなんか?」


「いえ、それは鶴田の奴が上手くやってくれてるんで」


「うまく?」


「川島の相手させてるんですよ」


「へぇ~、何から何まで、流石やな。で、今日、まなぶ君は?」


「もうすぐ、春季大会なんで、各学校のデータを整理したいと今日は、家に帰りました」


「春季かぁー、いよいよ、まなぶ野球が通じるか、試される時やな」


読んでくださって、ありがとう。


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