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学、主将になる

2017/08/12 加筆修正しました。


読んでくださる方に、合う作品であることを祈りつつ。

 兵庫県の地方予選登録人数は、18人。

 その内、たった一枠でも戦力にならないまなぶがベンチ入りすることへの躊躇ためらいはあったが、今回の作戦を成功させるには、どうしても自分が主将になる必要が在った。

 それは審判のジャッジが正しくないと思われた場合、それに対して『抗議』というよりも、正確には『確認』出来るのが、監督ではなく選手だけで、主に主将がその役割をになっているからだ。

 もちろん、学の主将は名ばかりで、選手として出場することは無い、永遠の補欠だ。


 つまりは、カット打法をスリーバント失敗にされた場合のみ活躍する、対審判用秘密兵器なのである。


 審判によっても賛否分かれ、ジャッジするのも難しいこの特別ルール。

 余程の事がない限り、審判もこれを持ち出してこないと考えられるが、最近に出てしまった事で、この特別ルールを適用してみたいなどと、心をくすぐられている審判が居ないとも言いきれない。オーバーアクションの審判なんかは、かなり危険な感じがする。


 そんな学が主将になる事は、割りと簡単だった。

 本来、主将であった南波に、カットをスリーバントにされた場合における審判への抗議をレクチャーしようとしたら「お前がやってくれ!」と即答させたというのもあるが、


 そんなことよりも……、

 ほら……、

 俺……、

 心臓病って事になってるやん。


 元々、学をベンチに入れるつもりが、部員達にもあったという訳だ。

 ということで、スライドして南波は副主将になった。


 主将と言う立場よりも、学の考える効率の良い練習方法を素直に受けさせる苦労の方が大変だった。

 なんせ、野球してない奴が野球を語るのだから、サルでも解るくらいの説得力が必要なのだ。


 今の時代、ウサギ跳びをやってはイケナイのは常識になっているが、中でも、ティーバッティングとトスバッティングを練習メニューから外したことには、流石に部員は勿論のこと、監督、コーチ、OBまでもが引っ掛かった。


 学の答えは単純明解で、そんな風にボールが飛んで来ることがないからだ。


 また、その練習において、引っ張る癖がついたり、手打ちになる傾向があったりと、マイナス面があるのも知られている。

 ミート力が付くだとか、体の軸を意識できるだとか言うが、実際には、変化球で体を崩されたり、ボール球を無理に打つことだってある。

 全くの無意味とまでは言わないが、それほどの重要を感じず、それよりも、優先すべき練習は山ほどあった。


「選手の比率を考えれば、相手をしてくれるピッチャーが少ないことから、生れた練習方法だったと思うんや。よく考えてみてくれ、その練習方法が優れたものなら、他の球技でも採用されるはずなんや。例えば、テニスや卓球に、それがあってもおかしくないやろ?」


 そう言われれば、そうなのかなぁ~と、微妙にまだ納得まで行かない感じで小首を傾げているところへ、更に強く言い切った。


「もし、それが本当に、効果が期待できる練習方法やったら、優秀なバッターの打率が3割程度な訳がない!」


「まぁ、いいか」


 イマイチ解らないままではあるものの、学の言ってる事が間違ってるとも思えず、このまま話を続けるのもと思った監督が、先に折れたので皆もそれに従うこととなった。


読んでいただいて、ありがとうございます。


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