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異世界で咲く華  作者: ロンパン
修正前
8/20

香港大虐殺事変part1


 「こいつらどこから現れやがった!?」

 欧州の人間ならばレパントの海戦、中国人や歴史音痴な今時の日本人ならばレッドクリフみたいだと答えるだろう。

 軽く300隻は超える上陸用だと思える木造船に後続のセメントで作ったような船、そして極めつけは白亜の飛行船も混じっていることだ。

 日本や世界と違い乱立された海上保安機関がバラバラの指揮系統とはいえ国を守るという使命を背負いそれぞの任務を全うすべく行動した。


 「糞っ!巡視船や警備艇で戦えだと!?」

 警備艇は重機関銃のボルトを引き巡視船は機関砲の発射準備をする。

 「まず空軍が奴らに対して爆撃を行う!その後に海軍が向かってくるからそれまでの間耐えしのげ!!」


 海軍が来ると言っても南海海軍司令部の目の先でモンスターが進行中、つまり当てにできるのは六千人しかいない人民解放軍駐香港部隊だけとなる。

 戦力は六隻の軍艦(ミサイル艇)と30機のジェット機。

 そして装甲車とジープしかない日本の自衛隊も驚くほどの軽装備の守備隊。おそらく中国本国から近辺の部隊が出動するだろうが、間に合わずに香港は火の海になるのかもしれない。

 香港の自治権や西側の動向、香港の主権を配慮した結果が今裏目に出ていた。


 「六隻のミサイル艦と空軍はの討ち漏らしを我々が排除するそうだ。」

 「討ち漏らしがある時点で問題何だけどな。」

 「先に空の目標から潰すと聞いた。」

 「・・・最初から討ち漏らす前提じゃねーか!」


 すると空軍の戦闘機J−8Ⅱ戦闘機がロケットと爆弾を飛行船に向けて放った、飛行船は円陣を組んでおり中心に位置する巨艦は数発の攻撃で撃墜され一気に警備艇の乗員の士気をあげたのに対し、相手側はどうしているのだろうか。


 しばらくすると彼らも行動が起きた、すると火の玉のような青白い光と赤い光が六隻の艦隊と巡視船と警備艇の船団に向かってきた。


 「よけろ!!」

 対空用の装備を持っていないそれぞれの船にとっては最悪だとしか言えなかった。

 「ジクザク航行しか方法が無いなんて!」


 現状では仕方ない、海面に落ちたその光は派手な爆発を起こし乗員の顔を青ざめた。

 ミサイル艇は打ち尽くしたのか装填するだけと言ってそのまま引き返して行く、一部は機関砲があるだろうと抗議をするがミサイル艇の船員はそこまで考える余裕など無かった。


 「ミサイルみたいに追尾してくるやつがあるぞ!」

 巡視船は機関砲を起動させ仲間の方に向かう謎の発光体に射撃を行う。一部が当たり、それは巡視船の全てを包み爆発し炎上した。

 「警備艇突っ込め!近距離ならば攻撃を受けないのかもしれん!」


 警備艇ならば高速で小回りが効き巡視船のように良い的にはならないと判断した。

 命令を下された警備艇は一気に突っ込むと矢が雨のように降り注ぎUターンをして逃げることしか出来なかった、巡視船を除いて。


 「射程距離を考えると第一次世界大戦並みの能力、でしかも接近しすぎると中世のやり方で攻撃してくる。何のための近代装備か分からんな!」

 ジグザグ航行で弾(?)をよけながら逃げているとまた別の巡視船が破壊される。


 「軍しか倒せないぞアレは!」

 罵声を浴びせる中第二波の空軍の攻撃部隊が今度は船を破壊しに行くが焼け石に水の状態で効果は著しくなかった。


 「とは言え、減っていることには変わりはない。」

 これだけでも数十隻は吹っ飛んでいるだが空中にしろ海上にしろ圧倒的な数には変わりがなくこのまま侵入を許すと必ず地上に入ってくる。

 「地上部隊に任せるしかないのか・・・」

 これ以上の海戦は被害を増やすだけだと軍から警告を受け港へ撤退することになった。

 

 「なんと言う街だ・・・」

 アジアの摩天楼と言われた香港、100階建てのマンションが乱立しNY以上の壮大な光景が伺える。

 「これが・・・蛮族の街だというのか?」


 ホンコンはチュングアにある数ある都市の一つでありこれが首都でないというので驚きだ。

 最初は思わぬ抵抗を受けたことに衝撃だった、明らかにワイバーンよりも早い速度で飛ぶ乗り物、そしてなにより30隻も満たない船に倍以上の船を撃沈されたのだ。


 『これが蛮族、ふざけるな初戦でここまで損害を被ったのは初めてだぞ。』

 敵兵は遠距離では強いが懐に入り込み白兵戦に持ち込めば弱いと聞いたがとてもその白兵戦に持ち込めるとは思えなかった。


 「ハハハ見ろあいつら撤退していったぞ。」

 『ああ、そりゃそうだ。どうせ飛び道具が切れたんだ!』


 提督は心で何も知らない船員を心で罵った、弓兵が矢をなくしたら退くと同じく彼らは飛ばす物をなくしただけで損害は全体のごくわずかだ。

 平時体制でかつ宣戦布告もなしに完全な奇襲いや、押し入り強盗を行ってこの抵抗だ。このままだとこのホンコンと呼ばれる港町を占領してもすぐに取り返されるかもしれない。

 『いや、大丈夫だ。』

 提督は精鋭部隊と殊部隊を横目に見る。

 そして腕利きの魔術師や暗殺を得意とする裏の仕事人のリストを見る、蛮族な故真正面から戦おうとはせずゲリラのような戦い方をするだろうと予期して、それに特化した人員を割いた。まさか自分がその予防としてではなくそのゲリラ戦術を行う側になるとは思わなったが。


 目の前に見える豪勢な船はどこかの金持ちの船だろうJUMBOと異国の文字で表記されている豪勢な船に斬り込み隊が乗り込み、火をつける。他にも豊富な数の船があり捨てられた船がいくつかあった。

 「うむ?あれは!?」


 そこには船から何やら金庫らしきものを運ぼうとするチュングア人がいた、「裁员,野蛮人!滚蛋!」

 何か叫びながら運び出すのを途中で止め動力付きの船が動き出した。異世界の動力船は何かを燃やしたような匂いと耳障りな稼働音、そして煙を吐く特性がある。

 「深追いするな!今は上陸して防衛線を構築、そして特殊部隊と傭兵を都市部に侵入させかく乱させろ!」


一方西九龍海濱長廊から侵入する部隊はすでに広場に上陸を果たしており、陣営を張り始めた。またまたそこには巨大なトンネルがあり、もし後方の島を占拠すれば一つの要塞が出来上がる。だが目の前に広がる摩天楼の大きさに驚愕を隠せないようで下の人間は本当にここを攻めても大丈夫なのかと思う者さえいた。

 「まずいな、士気が下がったぞ。」

 直接戦ったわけでもないにも関わらずこの都市の壮大さだけで平伏しそうになっていただがここでめげるわけにもいかない。


 「おい、魔術師。あのガラス張りのデカい建物に攻撃しろ。」

 「よろしいので?」

 「構わん、ガラス張りだよく破片が飛び回る。」

 「はい。」


 割れやすくかつド派手に建物の一部が拡散するところをみれば士気も上がろうだろう、そう考えた指示だった。

 火球が飛び雲を突き抜けているのではないのかと思われる(天候によっては実際に突き抜ける)建物に打ち込む、そして目論見どうり派手に破片をまき散らし相手は得体のしれない何かではなく攻撃すれば壊れ、そして人知を超えた何かでないと思い知った。

 「うおおおおおおおおお!」

 その時傭兵や正規兵達の武器がまるで林のように掛け声と共に生えあがり香港が血の海になろうとしていた。



 「警察ですか!?こちらリットンカートンホテルの者です、ロケット弾らしきものが打ち込まれ一部の部屋が全壊しました!けが人ですか!?お客様はは指示どうりに上階に避難させたので出ていません。」

 「どうだ?」

 同僚が大量の鍵をジャラジャラ鳴らしながら部屋にはいって電話の様子を聞いてきた。

 「大陸軍(中国軍)の輸送ヘリが救助に向かうらしいから上階に避難した後エレベータの電源を落としすべてのドアに鍵をかけろだと。」

 「それだけか?」

 「ああ、それに来れるかもわからないとか言いやがった、敵が飛び回って危険なんだとよ。」

 「ふざけやがって普段軍を増強しておきながらこの有様かよ!」

 「安心しろある意味ここには外国人が多い、帰った時のことを考え大陸の面子にかけて救助しにやってくるかもしれん。」

 客は日本人は勿論アメリカ人、イギリス人といった先進国からのお客様が多い。


 「あ~ちょっと防犯カメラを見てください。」

 「ん?」

 「鋼鉄製の防災壁を・・・・」


 そこには防犯カメラに映し出された光景は防災壁とテロに備えたセキュリティーをガンガン潰していく魔術師と騎士の姿だった。

 「すぐには上がれないだろう。」

 「何か空飛んで上に向かっていますが・・・」

 「・・・だとしても490mはあるそうそう簡単にはここまで来れないさ。」

 そう支配人は言ったが目は泳いでおり焦っていた、何せ確証がないのだから。


 だが支配人に福の神が着いていたのか彼らは20階以上上がることは無かった、上がって上がっても人気が感じず薄暗い部屋(電気を止めている)しか無いため既に立ち去ったと現地の隊長は判断した。いくらなんでも短時間でこのビルから全員が退去したとは考えにくいし、仮に上に逃げたとしても一人や二人ぐらい階段でへばっている人間がいてもおかしくないからだった。

 そして何よりもここに衛士がいなかったのだ。ここは既に空き家になったと判断した。

 「この建物に人はいなさそうだ、別の建物に行くぞ。」

 「そ、それが傭兵が略奪に必死でして動こうとはしません。」

 「放っておけ、むしろ囮に使う。後方にいる傭兵をかき集めて中心街に進出した別部隊と合流するぞ。」

 「了解。」


 香港オフィス街

そこには警察部隊がシールドを持ち目の前の侵略者に立ち向かっていた。

 「撃て!」

 MP5やM4カービン銃といったNATO側の装備で彼らを迎え撃つ、催涙ガスなども使用している。


 広い道路で身を隠すものがない、あるとするならば自転車と少ししかないバス程度、これらは石油不足により本土と同様自転車による行動がほとんどとなってしまったためである。また警察官も自転車に乗って移動しており、この侵攻時パトロール中の警官があちこちに放置自転車の山を作ったのは言うまでもない。


 「ふう、何とか追っ払ったぞ。」

 拳銃にに新しい弾を装填するが隣の同僚は険しい表情のままだった。

 「油断するなまだ魔法がある。」

 「魔法ねぇ・・・」

 彼は実感がわかなかった、魔法なんてものがあるハズがないと頭の中ではそう考えている。


 「今度は綺麗な鎧にフードを来た不審者の集団ときた。」

 そこにはフードをかぶった魔術師らしき人物といかにもナイトといった騎士団がぞろぞろと道路を埋め尽くそうとしていた。


 「合図したら撃て!」

 「了解!」


 武装警察が機銃と拳銃を交差させながら構えるがある違和感を感じる、影が自分の手にかぶさっていた。何の影だろうか。放水車のホース、違うここにそんなものはないふと上を見るとそこにはふわふわと浮遊する魔法使いの集団が見下ろしていた。


 「っ!」

 隊長の命令を待たずに上に発砲しようとするが銃口を向けるよりも先に火炎放射が警察官たちを焼き払った。

 「ふん、これほどの都市を守る精鋭の衛士でありながら空すら飛べぬとは・・・いや空に警戒すらしておらぬとはな。」

 「油断するなエスターシュ。」

 その時だった、ガソリンに引火したパトカーが爆発しその爆風が彼らを包む。しかし咄嗟に開いた結界が展開し大事に至らなかった。


 「脅かしやがって。黄色い蛮族が。」

 そのときあの不思議な音が鳴る、ウーウーとピポピポと不思議な音と共に鉄馬車の頭から赤と青の光を放ちながらやってくる。確かに、この国の美的センスを疑う。

 その白い鉄馬車はこの部隊に向かってくるがそれ以上のことは出来なかった。

 四つの足を持つ蜘蛛のゴーレムが現れ蛮族にブレードを発射したのだ。ブレードは真正面から粉砕し、トドメとばかりに無機質で鋭利なゴーレムの足を突き刺した。


 「やれやれ蛮族は馬鹿だな。こんなちっぽけな鉄馬車で勝てるわけないのに。」

 

 蛮族・・・蛮族がこんな立派な都市が建設できる訳が無い。

 隊長は部下とは逆の感想を抱いていた。ビルという巨大な石柱に囲まれている彼は、香港の交差点で圧倒するその都市に畏怖しか感じることしか出来なかった。

画像挿入



 「全く主権だの香港の自治権だの訳の分からないことを言っているからこうなるんだ!」

 北京政府は(欧米の目があったため)香港の主権を侵害しないようにしていたが、元の世界に帰ることも考えていたので積極的にこの非常時であるにも関わらず送らなかったのだ。


 無論この判断は間違いでもなく、正しくもない。香港に攻撃されると予知できていたのならばまだしも、そこまでを中央政府に求めるのは間違いなのだ。


 大陸軍の出来ることは香港が襲われた際すぐに援軍を送れる態勢にしておくことだけであり、それ以上のことは出来なかった。むしろそのように配置していただけでも幸運とも言える。


 「行くぞ!駐香港部隊との共同作戦だ!」

 武装警察では不可能な重装備、戦車をはじめとする対戦車ヘリそして機動部隊が今出動した。


 「蛮族を集めよ!」

 蛮族を集め自動車と呼ばれる乗り物を運転させ汽车<チーチュー>と呼ばれる馬を必要としない馬車を動かせた。


 「どうやって動いているのだろうか。」

 「やつら乗ることは出来てもどうやって動くのかまでは分からぬし、説明できる者がいても何を言っているのか理解できません。」


 内部機関という概念すら無いためかピストンの断面図を見せても、想像ができなかったのだ。

 またDのギアに入れるだけで運転が出来ると思っていたが、いざ兵士が運転してみると電柱にぶつけたり距離感が掴めずにボロボロにしただけではなく、建物に突っ込み大事故を起こしてしまった。


 「チュングア人が自分たちで作った物で運ばれるとは、皮肉なものだ。」

 とはいえ、魔法技術を有していながらこのような都市を建造できない自分たちもどうだろうか。

 彼らをつれて帰り、早速この摩天楼を自国で再現しようと考えていた。

 そんなことを考えていた時だった。

 パパパパと彼らの武器が鳴り響く。今まで青い服と黒い服で構成されていた物達と違い、今度は緑色の服を着た集団だった。


 緑色に塗装された鉄箱にその部隊は人民解放軍駐香港部隊だった、彼らは警察署や礼賓府(官邸)、香港特別行政区立法会大樓(香港の国会)等の防衛に当たっており警察とバトンタッチを終えた所であった。後にこれは議論を巻き、香港に置ける法的整備と兵員の増員が望まれると同時に早期に出動しなかった(出来なかった)香港部隊が批判されることとなる。


 「うおっ!?」

 彼らは結界にうけた衝撃に下を巻く、何故ならば一発で結界が破壊されたからだ。

 彼らの鉄箱の筒の部分から発射された弾が思った以上に威力があったのだ。


 「蛮族が!」

 簡易陣地に設置したエクスプロードを起動させ敵の鉄馬車に向けて攻撃する。またゴーレム等も出動するがゴーレムも結界を打ち抜かれ身体を粉砕された。


 「おいおい!ネトゲーに出てくる化け物みたいなやつがいるぞ!」

 25mm機関砲を数発当ててもぼろぼろになっただけで倒れないゴーレムを見て少し焦った。

 『ゲームだと中ボスぐらいか?』

 もう一度射撃を行い当てると崩れるように倒れ砂埃だけをあげる。


 「一両(?)撃破!」

 その時だった、光弾が装甲車に飛び命中した。

 「そ、装甲車一両大破!」

 「隊長!ヤバいです撤退許可を!」

 そこにはビルの窓や看板の上と四方八方から光弾が飛び出してきた。

 「くそ、敵のどこが遅れているんだ!一時撤退!戦車と攻撃ヘリを向かわせろ!」


 装甲車は機動力が売りで路上でましては塗装道路ではあの巨体でありながら100kmも出る、すぐに撤退していく様を見た兵士はその逃げ足の早さに失笑を隠せずにいた。


 「はは、あいつら武器は良いのに根性がなっていないな。」

 『馬鹿野郎、何も分かっていない。今までの青服と白馬車と違い明らかに”質”が違ったではないか!』

 精鋭部隊、この侵攻軍は精鋭部隊には変わりなかったが実は貴族のご子息や、天性的に親が魔法使いとしての良家出身だったなど、今まで様々な戦場を経験してきた隊長からしてみれば本当の意味での精鋭ではなかった。


 実力はある、成績も良い?ただ単に膨大な魔力を持ち合わせているだけで力技だ、勿論訓練は行っているので烏合の衆ではないが、本当に実力があり精鋭というのは後からやってくるゲリラ専門の暗殺部隊のこと達のことだ。


 『全く色の違う部隊がやってくる。つまり、本陣が動き出したということだ。そして今やってきたのは本陣の斥候!こちらの装備を確認するために送られた者だ!にも関わらず思いっきりぶっ放しやがって!敵に配置を教えているようなものだぞ!!

あの足の速さだ、すぐに本陣が攻撃にかかる・・・となれば空中からの攻撃・・・フィジと呼ばれる鉄のトンボか?別の噂だとかなり高速だと聞いたが。』

 「対空戦闘用意!」

 すると各部隊の魔術師が空を浮遊しながら集まる、これは結界の強度を上げるためであり集中的に集まることによって結界の解除および物理的な強度を強化出来る。


 だが逆に中途半端な数でこれを行うと分散して結界を構築した方が有効的なことがある、理由は中途半端な結界だとすぐに壊される上集中して集まっているため一網打尽の如く大きな損害をかぶることになる。だがこの二千人規模の魔術師の結界はそうそう簡単に破れることは無い。

 

 「結界を構築よし、通信よし、バリゲートよし。来いチュングア軍。」


 するとバタタタと音をならしながら鉄のトンボが摩天楼を交差しながらやってきた。


 Z-9とZ-19のヘリのパイロットはこの香港で攻撃ヘリを飛ばす羽目になるとは思いもよらなかった、加えてこの惨状も信じられなかった。


 Z-9の中にいる強襲部隊は手元にある95式小銃を見つめながら外の光景を見る。

 この95式の特徴はブルバップ構造でSFに出てきそうな近未来的な銃である、香港が中国に返還される際初めてこの小銃が世界に向けてお披露目された。そして今、皮肉とも言うべきかそれとも運命と捉えるべきかその銃で香港を守ることになった。


 対戦車ヘリがミサイルを発射すると結界に反応する、そして全て防がれた。

 「やはりな、レーザー誘導を行う。」


 するとヘリよりも遥かに高い高度からH-6と呼ばれる爆撃機がスタンバイしていた、この爆撃機は香港襲撃の知らせを聞き、シュミレーションに従って対結界戦術の基本戦術の為に出動した。だがこれはあくまでも軍であり先の戦闘、つまり香港警察との連帯は取れなかったことと、下手に攻撃することによって香港警察自体を巻き込んでしまう危険性があり攻撃が出来なかった。また帆船相手にKD63ミサイルはオーバーキルでもあった。(そもそも木造船に使うと結界の時に手元にミサイルがない可能性)


 「一斉射撃!」

 KD63ミサイルまるで神罰の槍の如く結界に降りていった。



 「ぐあ!?」

 「け、結界消滅!!」

 「そ、総員退避!散らばれ!!」


 まさかいきなり破壊されるとは思わなかった、分散して各個連絡を取り合い各自で戦闘を行おうと思った矢先鉄トンボから魔力弾が発射された。


 「攻撃開始!」


 そのとき対空用のエクスプロードが空中に向けて発射される、だがスリムなフォルムが特徴の攻撃ヘリは俊敏な機動力を活かし攻撃を回避する。急上昇にホバリングそして前をむきながらの後退。浮遊魔法で自身を飛行している時にしか出来ない機動をあの巨体で行い相手の度肝を抜いた。


 「何なんだあの乗り物は!?」

 貴族や良家のご子息も含め分隊長もあの乗り物に対して舌を巻かずにはいられなかった。

 「逃げろ!!」


 我先にと逃げ人質の香港人に車を運転をそくす者、馬に乗って逃げるものそしてお得意の空中浮遊で逃げるもの。


 「アンドリュー!空間分断!」

 「了解!」


 ホバリングを行っているヘリに対してそれを行う、すると黒い球体がヘリを包み包まれた部分だけ消滅しローターを失った攻撃ヘリはそのまま地面に落ちていった。

空間分断の魔法転移魔法同様、原理がよく分からない魔法の一つ。膨大な魔力を行使するため一度使用すればしばらく魔法が使えなくなるため使用には注意を払わなければいけない。

 それを躊躇無く使う程の価値があると判断したのだ、そしてその判断は効をなした。


 「緊急上昇!」

 「奇妙な魔法でヘリが撃墜された!」

 「クッソ何なんだあれ!?予備動作がないとかそういうレベルじゃないぞ!」


 攻撃ヘリからしてみればいきなり眼前に黒い球体が現れ、球体に触れた部分が文字通り消失したのだ、こんなものはチートと言っても過言ではない。


 『ジグザグ航行は有効なのか?照準を合わせて今のを行ったのか!?どうなっていやがる!!それよりも!』

 そう下では香港人がいて手が出せなくなっていた、それだけではなく車を運転させ逃げようとしている様子も伺えた。



 「もう一度行って武装鎮圧用の催涙ガスを散布しろ!」

 「了解、地上部隊にガスマスク装着の準備を。」


 すぐさまそれを行い攻撃ヘリの第二波攻撃を行う、予想外。敵がこれほど強力な対空装備を兼ね備えていたのは作戦本部にとって予想外だった。結界を破られるという危機的な状態でそれを行ったということは何かと制約があること、そして何度も使用できる物ではないと分析をした、いやそうしざえない状況にあった。


 除作成大将はなんとしてもこの戦闘に勝たねばならなかった、相手は未開な武器を使用する野蛮人、そういう認識が国民に未だにある故にもし香港奪還が長引けば何かしらの処罰が下されることは間違いなし。

 いきなりテレポートを行われしかも色々制約の多い香港で侵攻されたのだ、こんな戦術仮にアメリカだとしても同じぐらいの損害が喰らうに決まっている。

 理不尽な未来に歯ぎしりをしながら戦闘状況を表すモニターを眺めていた。


 「敵勢力、分散しながら中心街に逃げ込んでいる。ビルが邪魔で攻撃できない。地上部隊はどうしている?」


 「09式突撃車と装甲車が出動して掃射します。続いて90式戦車と98式戦車を投入。」

 09式突撃車、戦車の様な外見を持つが実質大砲を兼ね備えた装甲車であり戦車ではなく防御に難点がある、加えて戦車より巨大な車体である。


 「助けてくれ!!」

 中国軍の本陣が出動してバラバラに行動するように言われた占領軍は鉄トンボに追いかけられないようにビルに隠れるように分散して各自連帯を組みながら戦えと命令された。

 だが現れたのは巨大な筒を兼ね備えたゴーレムの炸裂魔法は簡単に一個小隊を捻り潰す程の戦闘力を有し、こちらのゴーレムが出動しても逆に破壊されるだけであった。


 「エクスプロードだ!急げ!」

 エクスプロードが一回り巨大なチュングアのゴーレムに打ち込む、すると上半身の車体が吹き飛び陽炎だけが残った。だが勝利の余韻に浸る前にドンと重い音と胸に走る熱い感覚に襲われ意識を断ってしまった。


 「09式が吹っ飛んだ・・・」

 「あれじゃあ、中の乗員は助からんな。」

 「くそ!この野蛮人!!」

 フードの魔術師の遺体に蹴りを入れるが入れた所で現状は変わることがないことを悟り、余計に空しくなった。


 「しっかし何だ?この死体少し穴が小さくないか?」

 それもそのはず、撃ったのは彼らではなく建物の屋上に降り、対結界用として対物ライフルでスナイパーが撃ったからだ。トラックでも貫通する威力があるこのライフルに擦っただけでも捥げるというのに、胸を撃たれて穴があいている程度で不審にしか思えなかった。


 「・・・おい、これ貫通していないぞ。」

 貫通していない、急いでフードを脱がし確認するとそこには反対側からフードによって防がれた弾丸がボトリと落ちる。


 「・・・・おい、対物ライフルでこれってことは小銃はどうなっているんだ?」


 アイドリングをかけて待っている戦車の上で戦車長も不審に思った、数分も死体の周りで歩兵が何か話あっていることに気になり、訪ねようとしたとき無線が入った。


 「助けてくれ!今すぐ戦車を派遣してくれ!こいつら銃が効かない!」


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