機械化部隊の前進
ある夢を見た、日付は明らかに自分の知る日付より未来だ。香港が見るも無惨な姿になっているが、それは自分の記憶とは違う形だ。
香港人が傘を持ち、ヘルメットを被り、看板と横断幕を持っている。
反送中
停止警暴
撤回修打
それらの文字を掲げ、イギリスの国旗を振り回している者もいた。
武装警察隊の表情は非常に緊張している、訓練ではなく紛れもなく実戦、十年前とは違いそこまで大規模な暴動は起きにくくなった。
だからここの若者にとって初めての実戦だろう。
中堅になった自身も頭の中で色々考える、どうすれば相手を囲い込めるか、どうすれば誘導できるか。
過去の実績を思い出す、かつて香港を守る為に出動した者の一人だ。
あの時は香港が火の海になった。あのような悲劇をそして心が体制が違うとはいえ同じ中華民族である人民を守り切る。
何時だ?何時香港が火の海になった?今か?
いや香港でデモが発生しても火の海になったことはない。魔法使いや西洋人の顔付きをした海賊共が略奪を行った事実はない。
安心している、香港がデモを起こし、中国政府が世界から悪い意味で注目されている。
何故だ?何故この状況を安心していられる?
そうか、旧世界があるからだ。慣れ親しんだ旧世界があるから安心しているのだ。得体の知れないあの世界ではない。
あの…世界では
「隊長、起きてください。何か上陸した部隊がヤバいらしいですよ。」
元・武装警察の部下が身体を揺すり無理矢理起こす。
「13:00に会議室に集合だと言ってます。」
「なぁ、今は何年だ?」
「201X年ですが…」
「2019年ではないのだな?」
「数年先の未来ですね。大丈夫ですか?」
「いや、何でもない。」
中国があの懐かしい世界のままでいた世界。自分の故郷のような気がする。いや故郷だけ残り中国と北朝鮮だけという独りぼっちならずの二人ぼっちな状態だ。
これだけ周辺国が消えて寂しいと思えるとは、あれだけ嫌って周辺国と喧嘩が絶えなかったのに不思議なものだと感じる。
「なぁ、もし香港が反旗を翻したらどう思う?勿論転移しなかった場合だ。」
その質問に部下は頭にはてなマークを浮かべながら当たり前のように答えた。
「そんな人いませんよ。香港とか関係なしに。中華圏でそんな人がいたら非国民です。」
「今はどうなっている?」
「大方の物資は下ろし終えました。あとは中継地まで運ぶだけです。」
二人の海兵が客船から出て、揚陸舟に乗り換える兵士を眺めながら言った。
「ここの連中は犯罪者ばかりなんだろ?」
「81式や56式も持っている。フルサイズの銃弾しか効かないのに…」
「精鋭部隊以外には効くと聞いたけどな。」
プラスチックをメインとした、フルサイズ7.62mm小銃を作っているらしいが、この戦争には間に合わないだろう。
「ふう。」
羅援少将は日に日に変化する戦況に頭を悩ませていた、ゼノス要塞は破壊してしまい中間地点を失くしてしまった。加えてそこに駐在していた中隊がほぼ全滅に近い形で撤退したのだ。
「確か、88式戦車だっけか?どうだ?」
その割り振りをされた中隊長は時代遅れの古い迷彩服で答える。
「損害はないです。ただ懸念があるとしたら燃料ですね。今現在燃料節約という観点で歩兵から要請が来てからエンジンを始動するようにしています。」
戦車という乗り物は金食い虫でそこにあるだけ燃料を消費する。
国内の内陸部では燃料節約とのことでバッテリーがあがっていても放置している部隊もあるとか。
何故88式が選ばれたか、理由は簡単である。陸続きでないことと運べる車両がそれしかないのだ。
99式戦車を何としても運べないかという意見もあったが、中央の将軍様はなるべく使える新型の武器は持ち込みたくなかったようだ。
「まぁ、MCV(タイヤ式戦車のこと)よりは頑丈だから良いか。」
「では歩兵を、出来れば懲罰兵ではなく志願兵主体で…」
「それは駄目だ。懲罰兵主体で行く。別に志願兵をゼロにするわけじゃないんだ。」
本命の正規兵は今は本土から明日に到着する予定だ。ただ、確実ではない。
「他に意見具申がないなら、このまま予定道理動いてもらう。」
修正に関して
キャラ設定や背景を掘り起こした文章で一から打ち直そうと思います。
更新を空けてしまい申し訳ございません。