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第7話 説明が長い、面倒、疲れた。


 帰りたく無いのは全部私の本心だと言い切れる。だからじっとマイくんの目を見つめ続けた。

 しばらくして何か合点がいったのかマイくんの方から目を逸らした。


「この世界を知らないから言えるんだ。…少し居れば帰りたくなるよ。」


 ポツリと呟くように吐き捨てた言葉は何か恨みを含んでる気がした。何か言おうとしたけど言葉が出なくて口を閉じる。

 この世界を知らない…まあ確かにまだ来て一日目だからな〜。気安くは言えなかったかな〜。

 でも正直に、本当に心の底から言うとあの施設にだけは帰りたくない。

 化け物と呼ぶ大人たち。話すどころか近づくことさえない子供達。学校でも施設でも私の存在を知っている人達は誰一人として私を人として見ない。

 握りしめた手に力を込めた。

私はあの場所に戻りたくなんか無い。


「…帰るっテ、どうやっタラ元の世界に戻ってしまウ?」


 私は帰りたくないんだ。この世界のことはまだよく知らないのは確かだけど、もう2度とあそこで生きていくのは嫌だ。


「とりあえず確実ではない、ってことだけは言っておくけど、帰る方法は二つ。召喚主との契約を果たすか長く生きればいい。」


「契約…と長生き?」


 また難しい話っぽいけど頑張って理解しよう。自分に関わることだし。

 んー、契約はなんかわかる気がする。どんな物事にも契約ってあるよね。

 でも長生きってなんだろ。長生きすると元の世界に戻れるの?それって帰れてももうおばあちゃんになってない?


「まず一つ目、契約っていうのは召喚主が異世界から召喚するための目的、だな。あー…なんつーか…めんどくせぇな。簡単に話すぞ。」


 マイくんの口調がだいぶ砕けてきた。多分面倒くさくなってきてるな。でも私的にも簡単に話してもらえた方がありがたいのでそのまま話してもらう。


「召喚主は神に召喚の許しを貰わないといけない、その時に神に召喚理由を話す。その理由が認められれば召喚されて、それがそのまま契約内容になる。例えば[国に害なす魔獣を撲滅してほしい]とかね。その場合その魔獣を撲滅した時点で呼ばれた理由が消えるから元の世界に強制送還される。」


 わあ、普通に神様とか出てきちゃったよ。この世界には神様がいるの?想像のお話とかじゃなくて本物?んー、まあ魔法があるなら神様くらいいるのか。にしても召喚って言っても色々面倒くさいんだな〜。

 でも今の話だと国にとって召喚者って凄い重宝されるんだよね?そんな簡単に帰したいと思うかなとか思っちゃう。例えば契約内容を無茶なことにしたりとか…


「それは一応大丈夫なはずだ。例えば召喚内容を[この国を守って死ぬまで戦ってほしい]とかにしたとするだろ?神は大体そんな条件は飲まない。相手は外界の生き物だから無理矢理この世界に縛ることはできないんだと思う。」


 ふーん、カミ様って優しいんだな。だったらそもそも召喚とかさせなきゃいいのに〜と思うけどそんな簡単な話じゃ無いのかもね。

ん…?でも…そんなんだったらみんな普通に帰れそうじゃん。私も帰れそうじゃん!やだ!!


「…そんなに簡単なら良かったけどな。例えば[隣国との戦争の手助けをしてほしい]って内容だとする。この内容の問題点はどこかわかるか?」


 え〜…普通なお願いに思えるけど…隣国との戦争に勝てればいいんじゃ…ん?あれ? 


「ま、アバウトすぎるんだよな。内容が。[隣国]って、そもそも沢山国があればどこの国かもわからないし戦争の終わりの定義も難しい。平和に見えても実際いつまた始まるか分からない、とか言えば早々には帰れない。それに契約内容を達成したかどうかは神が決める。神は寿命とかないし、時の流れが遅いから召喚者の現状をそんなに観察してないんだよ。神様が召喚者の様子を見てないと契約を達成したかどうかわかんないだろ?この世界の神はガッバガバなんだよ基準が。」


 か、カミ様〜、それで良いの?カミ様…

まあカミ様も忙しかったりするのかもね。日本はすっごいいっぱい居るとか言われてたけど実際にはそんな風には行かないんだろうし。

 でもそっか、なるほど。これだと帰れ無さそうだ。よしっ、希望が見えてきた。


「契約は、分カった。ケド、長生キは?」


「長生きってのは言葉の通り、長く生きれば生きるほどこの世界から弾かれる可能性が高くなるって話だ。」


 弾かれる?頭の中でポーンと飛んでいくボールが想像された。コレって死ぬってこと…とか?


「この世界はマナ、魔力の源を中心に回っている。俺たちの体にも大地にも空気にも植物にも全てにマナが宿ってる。ただ、人間含め生き物の中にある魔力はオドと呼ばれててマナとは少し形が違う。まあその話は後でするとして…とにかく空気のマナが風を吹かせて大地のマナが植物達を産む。俺たちは身体のオドを使って魔法を生み出す。オドが尽きれば俺たちは動けなくなるし最悪死ぬ。でもお姉さんたちの世界は魔法なんてないんだろ?根本的に魂も身体もつくりが違うんだ。だからこの世界からすればお姉さん達は異物。世界に混じった異物はどうなると思う?答えは簡単だ。ある日突然弾かれる。タイミングも条件も不明。なんなら本当に元の世界に戻れてるかもわからない。まあ昔、神に直接聞いたって奴がいるらしいから多分元の世界に戻ってるんだろ。」


 うわぁ、長文。マイくんよくスラスラ話せるなあとちょっと関心した。

 つまりこの世界の人じゃ無いものはいつか弾かれるって事でいいのかな。…ゲッ、待ってよそんなん防ぎようがないじゃないか!条件もタイミングもわかんないってどうしろっていうの⁈


「ただ最後まで弾かれない奴がほとんどだ。この大きな世界からしたらひと1人、ほんの小さな異物なんてわかんないんだろ。大きな樽の中に目一杯入った麦の中から小さなゴミを一粒見つけろって言われたって無理だろ?そういうことだ。だからこっちは帰る方法に入れないほうがいい。ほぼ不可能だからな。…でも、ゼロじゃない。」


 ゼロじゃない…か。そう念押しされるとな〜…やだな〜帰りたくない…

 この世界の神様ってなんかゆるいんだな。全体的に適当というかなんというか。


「…え?本当にカミ様いルノ?実在?生きテル?」


 今の話まとめると完全に想像とか偶像とかじゃなくて実在する感じ?カミ様って息したりご飯食べたりしてるのかな。どうやって生活してるのか見てみたいかも。


「お姉さんの世界にはいなかったの?」


 いやー、それはそれで難しい質問だな。いるけど…いるのかな?全部空想の中のものというか、居るという確証がないというか、偶像というか…存在は知らないというか…説明難しいな…


「何だそれ。」


 だよね、私もわかんない。とりあえず人間に関わって来るとかは全くして来ないかな。居るかもわかんないレベルだし。

 そう考えるとこの世界の神様って凄いね。ちゃんとみんな存在を認知してるんでしょ?

 召喚とかやることやってるし。そう考えればそりゃいちいち召喚者を観察なんかしてらんないよね。沢山いる人間全員を1人で見れるわけないない。


「1人じゃねぇぞ?」


「え?」


「神様は大陸にそれぞれいる。だから大陸が12あるこの世界は最高神だけでも12の神がいる。」


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