第一回、戦う用意も無けりゃ、相手の強さも理不尽だし…
今回は、強すぎるヤツに当たったら負けても仕方ないよね。
というテーマで描いた敗北
中国拳法の練習が趣味の尼僧、
信華はその日、作務衣姿で庭掃除をしていた。
もうすぐ箒も掃き終わる。折角動きやすい服装なので、
このまま、今日の分の拳法練習も済ませようかな。と考えていた。
そんな時間が、突如危険な空気で塗りつぶされた。
大刀を携えた大柄な男がそこに居た。
信華は、男が自分より遥かに強く、且つ理由は不明ながら、
現れた瞬間から信華を殺すつもりである事をハッキリ感じ取っていた。
しかし、無抵抗で斬られるほど、信華は悟りを開いていない。
男が振りかぶった大刀が勢いをつける直前、
信華が突き出した箒が大刀に触れる。
箒は大刀の軌道を逸らしつつ、その刃を男の予定より深く地面に埋め込んだ。
しかしそれは、乾いた竹で出来た箒には厳しい仕事だったようだ、
大刀が地面に突き刺さる瞬間、箒はその衝撃で砕け散ってしまった。
直ぐに、手元に残った箒の破片を男の顔面に投げつける。
そのままなら、目に突き刺さるコースのソレを男は、片手で払った。
破片は目くらまし、投げると同時に接近した信華は、
必殺の頭突きを放つ態勢に入っている。
ひと動作で引き抜けるが、大刀はまだ地面に刺さっている。
もう一方の手は、破片を払った直後、
男の胸に全力の頭突きを放ち、心臓震盪を狙う。
信華の生き残る道はそれだけだ。
両腕を封じられた男は、信華を頭突きで迎え打つ。
信華がこれまで磨き続けた勁の載った頭突きと、
圧倒的な武力を持った男の頭突きが激突し、大気が震えた。
…勝ったのは男の武力だった。
激突の衝撃が一方的に信華の頭を襲う。
目から、鼻から、耳から、破裂した脳からの出血を滲ませながら、信華は立ち尽くした。
その首を両腕の自由を取り戻した男の大刀が切り飛ばした…
たった2合での決着…しかも得意な土俵での敗北という
傍目から見ると信華の大敗だったが、
武に生きる男は、その対決の中で信華の何かを気に入ったらしい。
首無し死体を肩に担ぐと、生首に大刀を突き刺して拾い上げ、
そのまま、信華の遺体を持ち去った…
男の棲み家、剥製に加工された信華の首から下が、
逆さ吊りで吊るされている。
その傍らでは、同じく剥製に加工されている信華の頭部が、
男に抱えられ、丁寧に磨かれていた…
今回披露した信華の強さ
化勁(箒で大刀の軌道制御)
一瞬の判断(一時的に相手の両腕を封じている)
鷹捉虎撲把(普通の相手になら必殺となる頭突き)




