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魔女のお茶会  作者: さとうとしお


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18/22

人魚の肉 回収

登場人物

テティス=光明寺=ハースト

アメリカの大企業のCEOの娘。オカルト趣味があり、かねてから興味があった魔女のお茶会に招待されるが、それは魔女の罠であった。SSのなずなと狼男のフリーダとリュディアに救出され、力の賢者のもとへ案内される。異世界でであった仲間を守る決意を固めた。


服部なずな

テティスのSS。日本人であることをテティスに気に入られた。日本の格闘技の達人である。何よりも主であり、唯一無二の親友であるテティスを守ることを大切にしている。


フリーダ

人狼の代表。彫刻のように整った顔立ちと身体つきをしている美青年。人間界にビリヤードのプロ選手として潜入して魔女のお茶会の動向を探っている。力の賢者、レイノルズから人間界の常識を教わっていて、怪物のなかで唯一人間界に溶け込んでいる。


リュディア

フリーダの実弟。フリーダと同じく人間界に潜入しているが、人間界にいるときは隠れている。フリーダには劣るが腕っぷしが強い。親分肌である。


ヴォルフ=レイノルズ

力の賢者。40代くらいの男性。怪物たちが住む異世界と人間界の境界を守っている。賢者は一人1国家の権力が与えられているが家族を持つことができない、人間に魔法で攻撃してはいけないなど多くの制約に縛られている。自身が尊敬していた"養父ロメオ=フランケンシュタイン"を改造した義妹の魔女=ヴィクトリアを裁くことを目的としている。


シャイナ=レイノルズ 

守りの賢者。ヴォルフ=レイノルズとヴィクトリアの義妹。ヴィクトリアと対峙しているが、面会を許可されていて時々会うことができる。 


ギル=ニコラウス

レイノルズの側近。完全記憶能力を持つ人間の男性。 


ラクウェル

吸血鬼の代表代理。美少女と間違われるほどの美貌をもつ少年。


代表たち

人魚の代表代理、ローラ。ハーピーの代表カラビナ。エルフの代表カザリ。ドワーフの代表ヤゴ。オークの代表ウルゴラスとその妻ドラリナ。


ヴィクトリア=フランケンシュタイン

魔女。癒しの賢者。容姿端麗なフランケンシュタインを作る目的で魔女のお茶会というものを開いていた。養父ロメオ=フランケンシュタインの遺体を使いフランケンシュタインを作った。


ベガ=フランケンシュタイン

ヴィクトリアの"息子"SNSやアーティストとしてはJIROと名乗っている。歌で怪物たちの動きをとめることができる。 


ロメオ=フランケンシュタイン

元々は賢者たちの養父であり、異世界の代表たちを束ねていた神父であった。国家反逆の罪を着せられ殺害されたのち、ヴィクトリアに人造人間フランケンシュタインとして蘇させられる。


ジャック=モリソン

ベガ=JIROの主演映画のアクションスタントマンを務める男性。ヴィクトリアに唆されて人魚の肉を口にしてしまう。

翌日。


JIROの配信は、いつも通りの“光”で始まった。


コメント欄が流れる。


――今日も神

――映画の撮影どう?

――ヒロイン決まって良かったね!


――あの子可愛くて嫉妬


JIROは微笑む。JIROは最近発表した曲、人気の曲を何曲かギターで弾き語りをした。


「さて、今日はみんなに話したいことがあるんだ」


JIROはギターを置き、少し真剣な表情になった。


「最近、いろいろなことがあってね。考えさせられることが多かったんだ」


コメント欄が再びざわつく。


――何があったの?

――大丈夫?

――心配だよ


JIROは笑いながらも、否定しない。肯定もしない。


「ありがとう、心配してくれて。でも、これは僕自身の問題だから」


彼は少し微笑んで、視線をカメラに向けた。


「少し雑談をしようかな。永遠の命について、考えたことはある?僕は、最近それについて考えることが多くてね」


コメント欄には、様々な意見が流れる。


――永遠なんて怖い

――でも、ちょっと憧れる

――不老不死って本当にあるの?


「永遠って、実はすごく孤独なものかもしれない。時間が無限にあるってことは、失うものも増えるってことだから」


彼の言葉に、コメント欄は一瞬静かになった。


「でもね、だからこそ、今を大切にしたいと思うんだ。出会いも、別れも、全部が大事な瞬間だから」


彼は再びギターを手に取り、静かに弦を弾き始めた。


「次の曲は、そんな思いを込めて作ったんだ。聴いてくれる?」


コメント欄には、期待の声が溢れる。


――楽しみ!

――早く聴きたい!

――JIROの曲はいつも心に響く


彼は深呼吸をし、ギターの音色に合わせて歌い始めた。


そのメロディーは、どこか切なく、しかし力強いものだった。


「永遠って、嬉しいだけじゃないと思うんだ。誰かを大事に思えば思うほど……時間は残酷になる」


言葉は柔らかい。けれど、どこか骨がある。


「でも、それでも。出会いが増えるっていう考え方もある」


昨日と同じ言葉を、少しだけ違う音で繰り返す。


“増える”の部分が、なぜか痛そうだった。


「……曲、作ろうと思ってる。恋愛の曲。きれいなメロディじゃなくて、ちゃんと……胸の奥がざらつくやつ」


コメント欄に、称賛のモジが流れる。


――暗いのも好き

――泣くやつだ

――楽しみ!


――JIROの恋愛ソングなんて珍しすぎ!


「皆恋愛はしているのかな?…僕は秘密だけど皆の大好きな人を思い浮かべながら聞いてほしいな。」


――JIROはヒロイン役の子のことどう思ってるの?


ふと、そのコメントが目にとまった。JIROの、ベガの脳裏にテティスの顔が思い浮かぶ。


「ヒロイン役の子?…歌はまだぎこちなさがあるけど、演技上手だし、アクションシーンも頑張ってるよ。不慣れなところでも頑張れるのはすごいよね。尊敬しているよ。」


彼の言葉に、コメント欄は再び活気づいた。


――JIROの優しさが伝わる

――彼女も頑張ってるんだね

――応援してるよ!


JIROは微笑みながら、コメントを読み上げた。


「みんなの応援があるから、彼女もきっともっと頑張れると思うよ。僕も、彼女の成長を楽しみにしてるんだ。」


彼の言葉に、コメント欄はさらに盛り上がりを見せた。


――JIROの言葉に感動

――彼女も幸せだね

――これからも応援してる!


JIROは、視聴者の反応に満足そうに頷き、次の曲の準備を始めた。


次の曲を弾き語るJIROはいつもより珍しく活気があるとファンの間で話題になった。


 


ヴィクトリアは、ベッドに寝転びJIROの曲をスピーカーで流しながらスマートフォンに届く報告を読んでいた。隣には上半身が裸になったロメオがヴィクトリアともに寝転んでいた。


《回収:第5対象、第12対象、第27対象 接触完了》\

《依存反応:強》

《行動:自発的摂取》


画面を閉じる。


「いい子ね」


彼女は微笑んだ。


レイノルズもラクウェルも、フリーダもリュディアも少人数で同時に救えるはずもないのにせっせと一人ずつ救済しているのは滑稽である。今日も3人完全に墜ちていき、フランケンシュタインが回収をした。回収した"元人間"はヴィクトリアのペットとしてヴィクトリアの退屈を紛らわす存在になる。今のヴィクトリアの部屋の水槽の中に二人、人魚になりきれず怪物になった人間だったものが殺されないようにヴィクトリアを喜ばせるように"優雅"に泳いでいた。吸血鬼の血を飲んだものは血が足りなくなって部屋の檻で、口に猿轡をされのた打ち回っていた。


人を褒めるときの声で、世界を壊す。


「今回の対象のジャック=モリソンみたいな真面目な人間が欲に狂うのは見ているだけで面白いわ」


彼女は窓の外を見た。


光の街。


夢の街。


その下で、何人が今夜も“足りない”と呻くのだろう。


ヴィクトリアは、愉快そうに笑った。ロメオの身体に絡みつきながらまるで絵本を読み聞かせするような優しい口ぶりでいった。


「人間はね、飢えたら自分から檻に入るの」


「鍵をかける必要すらない」 


ロメオはヴィクトリアに同調するようにヴィクトリアの頭を撫でた。


ヴィクトリアは血が足りなくて騒いでいる人間に、「ねぇ、騒いでいるだけで全然面白くないわよ〜もっと面白いことして〜。面白かったら血をあげるわよ〜」と身体を起こしていった。


ヴィクトリアのその言葉を聞いて吸血鬼になった人間たちは、蝙蝠の翼を出してバタバタと羽ばたかせたり、犬の真似をしてヴィクトリアに近づいてくる者もいた。


ヴィクトリアは近づいた吸血鬼人間を足蹴にして、そして彼女は、次のリストを開いた。


回収対象は、もう一人増えていた。


――《テティス:監視強化》


ヴィクトリアは、指先で名前を撫でる。


愛おしむように。


「次は、あなたの番よ」


光の舞台で、欲望が踊る。


回収は、加速していく。


薄暗い地下施設。  


天井から垂れ下がる冷たい光が、白い床に歪んだ影を落としていた。


ヴィクトリアは、冷たい微笑を浮かべながら、部屋の中央に立っていた。彼女の周囲には、黒いスーツに身を包んだ者たちが整然と並んでいる。彼らの顔には感情の色がなく、ただ命令を待つだけの存在だった。 顔の造形は人間だが、瞳の奥に生気がない。 人でも魔でもない、“回収用”に調整されたフランケンシュタインたちだった。 共にベガとタブーも同席していた。


「皆さん、準備は整いましたか?」ヴィクトリアの声は静かだが、その場の空気を支配する力を持っていた。彼女の言葉に、フランケンシュタインたちは一斉に頷いた。


「今日のターゲットは、特に注意が必要です。彼はまだ完全に変異していないが、潜在的な危険性を秘めています。慎重に行動してください」


ヴィクトリアは、彼女の指示に従う者たちを見渡し、満足そうに微笑んだ。「では、始めましょう」


彼女の合図と共に、フランケンシュタインたちは一斉に動き出した。彼らの動きは無駄がなく、まるで一つの生き物のように統率されていた。


ヴィクトリアは、彼らの背中を見送りながら、心の中で次の計画を練っていた。彼女にとって、これは単なる始まりに過ぎなかった。


「……始めましょう」


「“対象コード・オメガ”。逸脱個体、複数確認。最優先回収対象――ジャック・モリソン」


壁に投影された映像には、ジャックの姿。 スタジオでスタントの指導をする姿、汗に濡れたシャツ、真剣な眼差し。


「副次的対象」 映像が切り替わり、テティス、レイノルズ、そして“未成熟個体”のデータが並ぶ。


ベガは思わず目をそらした。ジャックは作戦のためとはいえ、一緒に頑張ってきた仲間である。テティスは…


「……余計な情は不要です」 ヴィクトリアの声は冷たく、感情の波がない。ヴィクトリアのその言葉にベガは思考を取り戻した。「彼は“戻るべき場所”から逸脱した。 それだけの理由で、十分よ」


ベガが躊躇いがちに口を開いた。


「しかし……彼は、まだ完全には――」


「だからこそ回収するのよ」 ヴィクトリアは、ゆっくりと微笑んだ。 「壊れる前に。 それが“優しさ”というものだから」 背後で、黒い装備を身に纏った者たちが一斉に動き出す。 狩りが始まる合図だった。「ベガ、"主演"としてよろしく頼むわね。お母さんを失望させないでちょうだい」


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