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魔女のお茶会  作者: さとうとしお


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13/22

人魚の肉 消耗品としての命

登場人物

テティス=光明寺=ハーネス

アメリカの大企業のCEOの娘。オカルト趣味があり、かねてから興味があった魔女のお茶会に招待されるが、それは魔女の罠であった。SSのなずなと狼男のフリーダとリュディアに救出され、力の賢者のもとへ案内される。異世界でであった仲間を守る決意を固めた。


服部なずな

テティスのSS。日本人であることをテティスに気に入られた。日本の格闘技の達人である。何よりも主であり、唯一無二の親友であるテティスを守ることを大切にしている。


フリーダ

人狼の代表。彫刻のように整った顔立ちと身体つきをしている美青年。人間界にビリヤードのプロ選手として潜入して魔女のお茶会の動向を探っている。力の賢者、レイノルズから人間界の常識を教わっていて、怪物のなかで唯一人間界に溶け込んでいる。


リュディア

フリーダの実弟。フリーダと同じく人間界に潜入しているが、人間界にいるときは隠れている。フリーダには劣るが腕っぷしが強い。親分肌である。


ヴォルフ=レイノルズ

力の賢者。40代くらいの男性。怪物たちが住む異世界と人間界の境界を守っている。賢者は一人1国家の権力が与えられているが家族を持つことができない、人間に魔法で攻撃してはいけないなど多くの制約に縛られている。自身が尊敬していた"養父ロメオ=フランケンシュタイン"を改造した義妹の魔女=ヴィクトリアを裁くことを目的としている。


シャイナ=レイノルズ 

守りの賢者。ヴォルフ=レイノルズとヴィクトリアの義妹。ヴィクトリアと対峙しているが、面会を許可されていて時々会うことができる。 


ギル=ニコラウス

レイノルズの側近。完全記憶能力を持つ人間の男性。 


ラクウェル

吸血鬼の代表代理。美少女と間違われるほどの美貌をもつ少年。怪物になりかけた者の血を吸うことで人間に戻すことができる。


ローラ

人魚の代表代理。テティスの歌の指導をする。フリーダに仄かな想いを寄せている。


代表たち

人魚の代表代理、ローラ。ハーピーの代表カラビナ。エルフの代表カザリ。ドワーフの代表ヤゴ。オークの代表ウルゴラスとその妻ドラリナ。


ヴィクトリア=フランケンシュタイン

魔女。癒しの賢者。容姿端麗なフランケンシュタインを作る目的で魔女のお茶会というものを開いていた。養父ロメオ=フランケンシュタインの遺体を使いフランケンシュタインを作った。


ベガ=フランケンシュタイン

ヴィクトリアの"息子"SNSやアーティストとしてはJIROと名乗っている。歌で怪物たちの動きをとめることができる。 


ロメオ=フランケンシュタイン

元々は賢者たちの養父であり、異世界の代表たちを束ねていた神父であった。国家反逆の罪を着せられ殺害されたのち、ヴィクトリアに人造人間フランケンシュタインとして蘇させられる。

アクションスタントマンのジャック=モリソンは、自分の身体が「消耗品」だということを、よく知っていた。


撮影現場の朝は早い。 スタジオの裏口、冷えたコンクリートの床に腰を下ろし、膝に巻いたテーピングを締め直す。 昨日の落下シーンで打った肋骨が、息をするたびに鈍く痛んだ。


「今日も派手にいくぞー!」 助監督の軽い声が飛ぶ。 それに応えるエキストラたちの笑い声。 だが、スタントマン控室には、別種の沈黙があった。


――怪我をしても、代わりはいくらでもいる。 ジャックは四十代に差しかかっていた。 若手が増え、CGが進化し、「本物の危険」を引き受ける役割は減りつつある。 それでも彼は現場にしがみついていた。 ここでしか、自分の居場所はないからだ。


今日の作品は、人気の歌手を主役に抜擢した特撮映画『クロノス・ブレイカー』。 主演俳優・JIROは、子どもから大人まで絶大な支持を集めるスターだった。 彼を主役にしたのはアストラル・サウンズが全面的にバックアップした一大作品となるためだった。歌手が主役なのでミュージカルも交えたド派手な特撮アクションになるらしい。


『クロノス・ブレイカー』の話の流れは単純だった。


未来の地球は、時間を操る力を持つ悪の組織「クロノス」によって支配されていた。彼らは時間を操作することで、歴史を改変し、自らの利益を追求していた。


主人公であるJIROは、時間の流れを正すために立ち上がる。彼は、時間を操る力を持つ「クロノス・ブレイカー」として、過去と未来を行き来しながら、組織の野望を打ち砕くために戦う。


物語は、JIROがヒロインや仲間たちと共に、クロノスの拠点を次々と攻略していく様子を描く。彼らは、時空を超えた冒険の中で、ヒロインとの恋、仲間たちとの友情や信頼を深めていく。


クライマックスでは、JIROがクロノスのリーダーとの最終決戦に挑む。時間を操る力を駆使した激しい戦いの末、彼はついにリーダーを打ち破り、時間の流れを元に戻すことに成功する。


物語の最後には、平和を取り戻した未来の地球で、JIROとヒロインと仲間たちが新たな時代を築いていく姿が描かれる。最後にはヒロインとキスをして終わる。


――とまあ王道過ぎる大衆受けしような、しないような絶妙な設定である。


撮影が始まると、現場は一瞬にして緊張感に包まれた。カメラが回り始め、監督の声が響く。スタントマンたちはそれぞれのポジションに付き、ジャックもまた、心を落ち着けていた。


「アクション!」の声とともに、JIROが動き出す。彼の動きはまるでダンスのように滑らかで、見る者を魅了する。だが、ジャックはその背後で、己の役割を果たすべく集中していた。


シーンはクライマックスに差し掛かる。巨大な爆発が起こり、火柱が立ち上る。ジャックはその中に飛び込む準備を整えた。心臓が高鳴り、全身の感覚が研ぎ澄まされる。


「行くぞ!」と自分に言い聞かせ、ジャックは全力で駆け出した。爆風が彼を包み込み、熱と衝撃が身体を襲う。だが、彼は怯まない。これが彼の仕事であり、彼の生き様だからだ。


シーンが終わり、カットの声がかかると、ジャックはようやく息をついた。身体中が痛むが、それでも彼は満足感に包まれていた。スタントマンとしての誇りが、彼を支えている。


控室に戻ると、仲間たちが迎えてくれた。「お疲れ様!」と声をかけられ、ジャックは笑顔で応える。彼らと共に過ごす時間が、何よりも大切だった。


「……あの人、本当にアクション初めてなのかな?」 同僚がぼそりと呟く。 それは冗談めいた、だが妙に現実味のある言葉だった。 JIROの動きは、明らかにおかしいほど正確で、速く、強い。 ワイヤーなしの跳躍。 一度も着地を外さない回転。 人間の反射神経を、わずかに超えている。 それでも―― 危険なシーンは、ジャックたちがやる。 爆発の中心へ飛び込む。 燃える瓦礫の下敷きになる。 「ヒーロー」が輝くための、影の役。 「次、火柱三メートル! スタント準備!」 ジャックは立ち上がり、ヘルメットを被った。 視界が狭くなる。 心臓の鼓動が、耳の奥でうるさい。


ジャックは、スタントマンとしてのキャリアを振り返りながら、次のシーンに備えていた。彼の頭の中には、これまでの数々の危険なシーンがフラッシュバックしていた。どれも命がけの挑戦だったが、その一つ一つが彼の誇りでもあった。


彼は、スタントマンという職業が持つ特異な魅力を理解していた。観客の目には映らないが、彼らの心を揺さぶる瞬間を作り出すこと。それが彼の使命であり、彼の生きがいだった。


「スタント準備完了!」と声がかかると、ジャックは深呼吸をして心を落ち着けた。彼の周りには、同じように緊張感を漂わせる仲間たちがいた。彼らと共に、今日もまた一つの奇跡を作り出すのだ。


カメラが回り始め、監督の「アクション!」の声が響く。ジャックは、全身の力を振り絞って走り出した。彼の目の前には、燃え盛る炎と崩れ落ちる瓦礫が広がっている。だが、彼は恐れない。これが彼の舞台であり、彼の人生そのものだからだ。


シーンが終わり、無事にカットの声がかかると、ジャックは大きく息をついた。身体中が痛むが、それでも彼は笑顔を浮かべていた。仲間たちと共に、今日もまた一つの大きな壁を乗り越えたのだ。


「いやー今日も命張ってるな!」スタントマン仲間がジャックの肩を叩きながら軽口を叩いた。


ジャックは笑いながら頷いた。「本当にそうだな。毎日がサバイバルだよ。」彼は肩の痛みを感じながらも、その痛みが生きている証だと感じていた。


その時、監督が控室に入ってきた。「ジャック、次のシーンの準備を頼む。」彼はジャックに向かって微笑んだ。「君のスタントはいつも素晴らしいよ。今回も期待している。」


ジャックは監督に向かって頷き、再び気を引き締めた。彼は自分の役割を全うするために、再び現場へと向かう準備を始めた。


次のシーンは、ビルの屋上からのダイブだった。高所恐怖症の人間には耐えられないような高さだが、ジャックにとっては日常の一部だった。彼は安全装具を確認し、心を落ち着けた。


「行くぞ!」と自分に言い聞かせ、ジャックはビルの縁に立った。彼の心臓は高鳴っていたが、恐怖は感じなかった。彼は深呼吸をし、監督の合図を待った。


「アクション!」の声が響くと同時に、ジャックは空中に飛び出した。風が彼の顔を打ち、自由落下の感覚が彼を包み込む。彼はその瞬間を楽しんでいた。


地面が近づくにつれ、彼はパラシュートを開き、無事に着地した。カットの声がかかると、彼は大きく息をつき、仲間たちと笑顔を交わした。


「今日も無事に終わったな。」ジャックは仲間たちとハイタッチをしながら、次の挑戦に向けて心を躍らせていた。


ジャック=モリソンはアクションスタントマンという誇りを持っていた。アカデミー賞受賞作のスタントマンを務め上げて活躍していた。影の主役であるが故に、注目はされないがそれでも一定のファンはいる。それが「消耗品」であるジャック=モリソンの支えの一つだった。


控室に戻ったジャックが、ヘルメットを外し、汗を拭っていると、メイク担当の女性スタッフが鏡の前でブラシを洗いながら、ふとした調子で言った。


「ねえ、知ってる? この辺りの湖、昔“人魚が出た”って噂があるらしいよ」


何気ない一言だったが、周囲にいたスタッフたちが一斉に反応した。


「またそういうオカルト?」


「人魚なんてファンタジーだろ!だいたいの人魚の正体はジュゴンって話だろ」


メイク担当は楽しそうに肩をすくめる。


「地元の人に聞いたんだけどさ。夜になると、湖の底から歌声が聞こえるんだって。男の人を呼ぶ声」


「うわ、やめろよ」


「ホラー映画じゃん」


「誰かか歌の練習でもやってるんだろうぜ」


笑い声が起きる中、別の年配スタッフが、どこか真面目な顔で口を挟んだ。


「人魚といえば、日本じゃ“人魚の肉”の話があるのを知ってるか?」


その場の空気が、ほんの少しだけ変わった。


「なにそれ!?あの可愛い人魚を食べるってこと!?グロテスク!」


「人間を食べるみたいで気味が悪いな」


スタッフたちが口々に言う。年配スタッフは低い声で続けた。


「日本の人魚っていうのは、こちらとはすこし姿が違って、いわゆる人面魚みたいな見た目なんだ。で、その人魚の肉を食べると不老不死になる代わりに、永遠に孤独になる。時代が変わっても、愛する人が先に死んでいく。化け物になったって話もある」


「なーんか夢のない話ね!」


「人面魚なんてグロテスクなもん食べるって昔の日本人はどうかしてるぜ!」


誰かが冗談めかして笑ったが、ジャックは笑えなかった。 胸の奥に、ひっかかるものが残った。


――不老不死。


――消耗しない身体。


それは、彼が持たないものだった。


影の主役であるが、不老不死になれればずっとスタントマンの仕事を続けることができるのでは?と考えふけこんでいた。


そのとき、控室のドアが開き、場の空気を一気に引き締める人物が姿を現した。


アストラル・サウンズ社長、 ウォルター=ブラッドリー。


「諸君!少し時間をくれ」


場が静まり返る。


「残念だが、ヒロイン役の女優が急病で降板になった。制作スケジュールの都合上、延期はできない。――よって、急遽オーディションをやり直す!」


ざわめきが広がる。


「ヒロインの条件は変わらない。歌、演技、存在感。主役はJIROだ!釣り合う相手でなければ意味がない。」


そう言い残し、ウォルターは足早に去っていった。


「ヒロインが降板って…撮り直しもあるってこと!?」


スタッフが頭を抱えた。


「JIROの相手役ならすぐに適役が見つかるだろ」


「JIROには熱狂的なファンがいるから半端な女優だとこの映画そのものが大炎上だよ!」


「オーディションなんかやんないでアストラル•サウンズから誰か探しゃいいのにな!」


その言葉に皆が同意した。


「ブラッドリーさんは派手好きだからどうせこの話もすぐに芸能ニュースにして、大々的にオーディションするんだろうな」 


スタッフたちは溜息をつき、ヒロインが出てきたところをやり直すことに嫌気がさしていた。


夜のハースト邸。 フリーダはレイノルズ、ギル、リュディア、テティス、なずなを前に、静かに切り出していた。


「JIRO――つまりベガが主演の映画で、ヒロインの再オーディションが行われるらしいんだ。」


レイノルズは顎に手を当て、考え込む。


「ヴィクトリアの狙いが分からん……ベガをわざわざ映画に出すとはな。出演者の中に“餌”の候補者がいる可能性は高い…テティスかなずながオーディションに出てみるか?」


テティスの目が、ぱっと輝いた。


「えっ、映画? 私、映画に出られるの?」


「落ち着け」なずなが即座に突っ込む。「オーディションなんて何万人も受けるんだし、それに相手役がベガなんて、冗談じゃない!」


「じゃあなずなは受けなくていい」レイノルズは即断した。「だが、テティス。お前は行け」


「え、いいの?」テティスがかなり乗り気のようだった。


「むしろ、行くべきだ。ヴィクトリアが動くなら、表舞台だ」


「テティスちゃんほどの美少女が出ればオーディションなんて余裕ですよ!演技経験はあるんですか?」ギルがテティスに聞いた。


「演技なら任せて!アクションも護衛術が生かせるかもしれないし!」テティスは拳を握りしめ、興奮を隠しきれない。


「お嬢ちゃん、この映画はミュージカルだぜ」リュディアが興奮するテティスに言った。「ミュージカル映画ってことは歌うんだぜ」


「歌……」テティスとなずなが顔を強張らせた。


その言葉に、レイノルズが口角を上げた。


「オーディションに受からなくては困る。だからボイストレーニングのためにローラを呼ぶ」


「ローラを?」テティスがレイノルズに聞いた。


「ああ。人間の姿にしてな。テティス、お前のボイストレーニングをしてもらう」


「ローラが人間になるの!?すてき!」テティスが


なずなが眉をひそめる。


「ローラ、嫌がらない?」


「歌を教えるのは好きだよ、あいつは」


レイノルズは立ち上がり、ギルを連れてハースト邸を出た。なずなは「いつも黙って出ていくんだから!」と文句を言いながら自家用ジェットの手配をしに、内線電話をかけた。


フリーダは「オーディションにテティスちゃんを合格させるためには、厄介なライバルは蹴落とさないとね」と言った。「俺もアストラル•サウンズ社の関係者が出てるパーティーやらにいってライバルが誰かを探ってくるね。なずなちゃん、俺はジェット必要ないから音信してね」


「え、あ、はい…」なずなは戸惑いながら言った。「フリーダ様、ライバルを蹴落とすってどうやって…」


フリーダは妖しい笑みを浮かべ、唇に人差し指を当てて「そりゃあ色々だよ。」と言った。フリーダはハースト邸を出ていった。


リュディアは一人身震いをしていた。「あーこえぇ」


「フリーダさんは毒の魔法を!?」テティスはあっと驚き叫んだ。


「毒の魔法なんざ使うまでもなくだろ」リュディアは寒気をさせたまま言った。


「テティス、バーバラ事件を思い出せ。フリーダ様の美貌を前にしたらだいたいの女はフリーダ様の思いのままに動かせるだろ」


テティスはバーバラ事件のことを思い出し、フリーダの美貌とその影響力の強さを改めて実感した。彼の存在は、ただ美しいだけでなく、周囲の人々を魅了し、時には操る力を持っているのだ。


「でも、フリーダ様がいれば、オーディションも安心だね!」テティスは笑顔で言った。


「まぁどんな恐ろしい色仕掛けをするか分からんが、大丈夫だろ」リュディアも同意した。


その時、なずなが再び口を開いた。「でも、テティス、歌の練習はしっかりしないとね。ローラが来るまでに、少しでも上達しておかないと。」


「うん、わかってる。頑張るよ!」テティスは決意を新たにした。「新しい扉の幕開け〜オーディション頑張ろ〜」テティスは音程を大いに外した歌を歌った。なずなとリュディアは頭を抱えたのであった。


レイノルズは異世界の人魚の湖畔でローラと話をしていた。


「私が…人間界に?」レイノルズから用件を聞いたローラは驚きつつも興味を示した。「でも、私が人間になるなんて、少し不安だわ。ちゃんとできるかしら?」


レイノルズは優しく微笑んだ。「大丈夫だ、ローラ。君ならきっと上手くやれる。テティスのためにも、力を貸してほしい。」


ローラは少し考え込んだ後、決意を固めたように頷いた。「わかったわ。テティスのために、私も頑張る。」


ローラは湖から出てきた。


レイノルズが呪文を唱えると湖の水面が静かに揺れ、ローラの姿が徐々に変わり始めた。彼女の尾びれは消え、代わりに人間の足が現れた。ローラは驚きと興奮を隠せず脚を崩した体勢で、何度も足を動かしてみた。


「これが人間の足…不思議な感じね。」ローラは笑顔を浮かべた。


レイノルズは彼女を見守りながら、「さあ、行こう。テティスが待っている。」と促した。


ローラが慣れない足を使って立ち上がろうとした。全身を針で刺されたような痛みを感じ、ローラはその場に倒れそうになったがレイノルズが彼女を支えた。


「大丈夫か、ローラ。…慣れない脚は痛いだろう」


「ありがとうございます、レイノルズ様…ごめんなさいなかなか痛くて…」


レイノルズはローラを横抱きした。「これなら大丈夫か?」ローラが恥ずかしがりながらも頷いた。


「あー!!レイノルズ様ずるいですよ!!!僕がローラちゃんをお姫様抱っこ係になります!!」


レイノルズは叫ぶギルを無視してローラと共に湖畔を後にした。


異世界を出る間際、動けるようになったコーネリアが吸血鬼2人に支えられながらラクウェルとと共にやってきた。


「ムッシュレイノルズ、僕も人間界に連れて行ってください。」ラクウェルがレイノルズの前に跪いて言った。


「レイノルズ、ラクウェルは"人間戻し"が出来たと聞いた。必ず役に立つだろう。…魔女の野望を打ち砕くのに、連れて行ってくれ」コーネリアは前よりも良くはなっているがまだ弱々しい声で言った。


レイノルズはしばらく考え込んだ後、静かに頷いた。「分かった、ラクウェル。君の力が必要だ。共に人間界へ行こう。」


ラクウェルは感謝の意を込めて微笑んだ。「ありがとうございます、ムッシュ・レイノルズ。必ずお役に立ちます。」


コーネリアはラクウェルに向かって微笑み、「気をつけてくれ、ラクウェル。君ならきっと魔女の野望を打ち砕くことができるだろう」と励ました。


ラクウェルはコーネリアに向かって深く頭を下げ、「殿下の期待に応えられるよう、全力を尽くします。」と誓った。


レイノルズ、ギル、ローラ、ラクウェルは異世界を出て、ハーストの自家用ジェットでハースト邸まで戻った。


人間界に戻ったレイノルズたちは、すぐにテティスのボイストレーニングを開始するために、ローラを迎え入れた。ローラは人間の姿に慣れるため、少しずつ歩く練習をしながら、テティスに歌の基礎を教え始めた。テティスに歌を教えるときは椅子に座った。


「まずは呼吸法から始めましょう。歌うためには、しっかりとした呼吸が大切なの。」ローラは優しく微笑みながら、テティスに指導を始めた。


テティスは真剣な表情でローラの指導を受け、何度も繰り返し練習を重ねた。彼女の努力は、少しずつ成果を上げていった。


一方、レイノルズはフリーダと連絡を取り合い、オーディションの情報を集めていた。彼はテティスがオーディションに合格するために、あらゆる手を尽くすつもりだった。


「テティスちゃん、君の歌声は日に日に良くなっているよ。」フリーダはテティスを励まし、彼女の成長を見守っていた。


「ありがとう、フリーダさん。ローラのおかげで、少しずつ自信がついてきたわ。」テティスは微笑みながら答えた。


オーディションの日が近づくにつれ、テティスの緊張は高まっていったが、彼女は決して諦めなかった。彼女の心には、仲間たちの応援と、ローラの指導があったからだ。


そして、ついにオーディションの日がやってきた。テティスは緊張しながらも、しっかりとした足取りで会場に向かった。彼女の心には、仲間たちの期待と、自分自身の成長への誇りがあった。


参考文献

『伝説の「魔法」と「アイテム」がよくわかる本』造事務所、佐藤俊之 2008年

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