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傷だらけになった心の隙間を埋めてくれた人  作者: #とみっしぇる


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25/35

25 兄貴達も修二と波長が合うんだよね

木曜日は、私達の友ハグを見た1年生と廊下でばったり合った。


「あ、修二さんと抱き合ってた先輩だ~」

「すご~い」


なんか噂になってた。


私はダッシュで逃げた。顔は真っ赤だったと思う。


◆◆

ダイ兄が修二と約束して、再び家に招くこととなった金曜日。


放課後。


「お待たせ美佳ちゃん」


「あ、けど、まだ早いな~」

「うん、だから手土産買って行こうかなって」


「気なんて遣わなくていいよ~」


横で聞いてたマキが割って入ってきた。


「あんたら、どっか行くの?」


「うん。先週、修二がうちの兄貴達に気に入られたからね。今日はうちでご飯なの」


「え、修二って、あのシスコンブラザーズに気に入られたんだ」


「男子高校生ってだけで、美佳の敵みたいなこと言ってたお兄さんだったよね~」

「修二の対人スキルって、やっぱすごいんだ~」


マキや同じグループのみんなも、うちに来てご飯食べたことがある。


その友達感覚で話してるけど、周りはざわついた。


『告白保留』のまま、往来でハグしたこともバレた。ふたりの関係が進展してるように映るからだった。


ただし、招いたのが兄貴達。『家族枠?』の声も上がった。


修二のお土産だけど、私と少しもめてる。


有名なケーキ屋で買おうとするんだもん。価格帯が1個800~1000円。


うちの家族と修二の分でかなり散財させてしまう。


「ダメだって修二」

「いやいや、この前のお礼もあるからさ」


するとピロ~ンとLIMEが鳴った。


ダイ兄からだ。まるで、ケーキ屋の近くで見てるんじゃないかってくらいのタイミング。


ダイ兄『美佳、修二に言っておけ。土産はいらん。買ってくるならマスタードーナッツのオウルドフッションを人数分だってな』


オウルドフッション、1個130円なり。


修二にLIMEの文面を見せた。


「修二~、ダイ兄が高いもの禁止だってよ~」

「え~、すごいタイミング」


「ダイ兄も修二の考えてそうなことが分かるみたいね」


「ええっと・・」


「まだ1回しか会ってなくても、兄の言うことに従いなよ。ね、弟くん」


「・・うん」


修二が笑顔になった。ダイ兄、褒めてつかわす。



家に帰ると、お母さんと私で揚げ物を作った。


修二はソファーで、修二が来るからと早めに帰ってきたハル兄の相手してた。


笑い声が聞こえてきた。修二の声が弾んでる。


「ハル兄さ~ん、それ無茶ですよ~」

「いや、お前も参加しろよ。美佳もいるし、タクやキミハルも来るから大丈夫だって」


夏に遊ぶ約束してた。


修二はハル兄と同級生だったお兄さんに、苛められてたらしい。


代わりにって訳じゃないけど、ハル兄を修二が兄貴みたいに思ってくれたらいいな・・



お父さんとダイ兄が仕事から帰ってきて、晩御飯。


「いっぱい食べてね、修二君」

「お母さん、ありがとうごさいま~す」


「ところで、キミは美佳とは・・」

「ほら父さん、ビールのグラスが空になったわよ」


え~、本日も、お父さんの出番はここまで。


ご飯が終わって、修二を囲んで私、ダイ兄、ハル兄で喋ってる。


で、いきなりダイ兄が爆弾のようなものを投下した。


「おい修二」

「はい、ダイ兄さん」


「お前、なんかあって家族と離れて暮らしてるらしいな」


「・・はい。親戚の家で世話になってます」


私の方がドッキリした。


「ところで、うちは楽しいか」

「ええ、まあ」


「だろ。俺らも不思議なくらい、気兼ねなく話せるぞ」

「そうだな。なんか美佳の仲良しは、昔から俺ら兄弟とも相性がいいんだよな」


ダイ兄とハル兄がニコニコしてる。


そしてダイ兄が続けた。


「だから修二、なんかあったら俺らを頼れ」


「はい!」


「じゃあまず、来月は誕生会しようや。お前も7月生まれらしいな。何日生まれだ」


「え、え~と、7日ですが、その日は・・」


「なんだ、その日は嫌そうだな。じゃあ、7日が嫌なら7月10日に美佳と俺と一緒に祝うぞ」


「・・え」


修二が私を見てる。私も驚いてる。


私はチイちゃんの頃の修二に言った。


『10日にキミもうちにおいで。ダイ兄、ボク、チイちゃんの3人のお祝いをしよう』


けど、ダイ兄には私がチイちゃんにそうやって誘ったこと言ってない。


なのに同じこと言ってる。やっぱり私の自慢の兄貴だ。


大切な修二に、欲しい言葉をあげてくれた。


「修二、嫌か?」


「嬉しいです。大歓迎です」



「おいおい、ダイ兄、10月生まれの俺だけ仲間外れかよ」

「ハル、お前の誕生日なんかどうでもいい。それよか今年は修二の分までプレゼント用意しろや」


「へいへ~い」


修二が本当に嬉しそうだ。


ここにきて、修二と兄貴達を会わせて本当に良かったと思える。


次の約束のようなものは6月末の週末。


ダイ兄の同僚にカラオケで歌いたい人達がいて、修二のバイト先に数人で行く。


ハル兄もゼミの親睦会があるから、この機会に修二のバイト先を使う。


すると私も呼ばれた。修二が同じ日にバイトに入る。仕事が午後8時半まで。


だから私も出向いて4人で何か食べようってことになった。


私が返事する前に、修二の方が食い気味にOKした。


むっちゃ嬉しそうだ。



ただ、このあとシスコンブラザーズは、修二に向かって「美佳とは、節度ある交際をだな・・」と延々と説いていた。



最後が台無しだ。

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