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傷だらけになった心の隙間を埋めてくれた人  作者: #とみっしぇる


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20 剥き出しの修二

修二がトイレに行ってる間に、ハル兄の一団と偶然に出会った。


ミニバスケ場の事務所の影のとこ。


ハル兄に修二を紹介するチャンスだと思った。


ハル兄は彼女さんにシスコンなの知られてる。修二を見て威嚇しないようにとか、離れたところで色々と注意されてる。


私は見た目と違って優しいハル兄の友達ふたりと話してる。


ただタクさんはドレットヘアで184センチの色黒、キミハルさんは短い金髪の181センチでサングラス。


見た目はすごい。


「美佳~、お前と同じ高校行ってる弟から聞いてるけど、彼氏候補は評判いいらしいな」


「だね。みんなに優しいもん」

「へ~」


「それに度胸もあって冷静。女の子をかばって危ない男の前に立つところも見たしね」


「じゃあ俺が、美佳をナンパしてるみたく演技してても平気で近付いてくるのか?」


「余裕だと思うよ。凶悪犯に見えるタクさんとキミハルさん相手でも、大人っぽくあしらってくれるよ」


「凶悪犯って誰だよ~。うりゃっ」

「こらキミハルさん、頭つかまないで。私の頭はバスケットボールじゃないっつ~の」


「あはは。じゃあ俺はな~、美佳の前に立ちはだかって通せんぼだな」


「だから、デカいのふたりで私の前に立つな。修二が驚くでしょうが!」


ちょうど修二が帰ってきた。まだ距離がある。


私を見つけた。手を振ろうとしたんだけど・・


修二の顔色が変わった。


走り出した。

え、全力?


修二はタクさんとキミハルさんと私で、じゃれてるとこに走り込んできた。


迷いがない。私が知り合いって言う前に私と大男ふたりの間に、割って入ってきた。


前の例からいくと、私とデカイ男ふたりの間に入る↓後ろに手を回して私に向かって指を立てるハンドサイン。


修二がバイト先のカラオケ店で、アルバイト仲間とのやり取りで使ってるやつ。


2本『待機』

3本『撤退準備』

4本『店長を呼んで』

5本『警察に連絡』


どれか出したあと、相手を説得する。


何にでも冷静に対処できる、一連の流れをハル兄に見せたい気もするけど、何かが普段と違う。


止めるべきだと思った。


「ねえ修二・・えっ?」

「美佳ちゃん、離れて!」


修二が私を自分の後ろに庇った。


ハンドサインもなく、なんか重心とか姿勢も今までとは違う。


それに・・


「あの、俺の連れなんで・・」


表情は見えないけど声が低くて固い。自分より大きなタクさんとキミハルさんと殴り合う気なのか。


なんだろう。顔が熱い。


それは今までの修二じゃない。


笑いながらも頭をフル回転させ、スマートに人を助けようとする修二じゃない。


焦ってる。


余裕もない。


怒ってる。


必死だ。



私のために必死な、剥き出しの修二だ。


「・・絶対に守るから」。小さな声だけど、はっきり聞こえた。


「しゅ、修二・・あ、あの、その人達って兄貴の友達なの」




「・・・・え?」

変なとこから修二の声が出てる。


「え、え~と、あっちにいる普通の男子がうちの下の兄で・・」


修二は、ドレッドと金髪の向こう側にいるナンパ野郎の仲間だと思ったふたりが、普通のカップルだと気付いた。


「よっ、ナンパドレッドだ」

「金髪サングラスの悪党だ」


「タクさんもキミハルさんも、やめろっての!」


取り敢えず4人を紹介。


「ハル兄、彼が、その・・修二」


「あ、あの、みなさん、誤解してすみません!」


修二が頭を下げた。


これ見たハル兄が修二に近付いた。息をのんで見てる。


「美佳の兄だ」

「修二です」


しばしの沈黙のあと・・


「修二、お前も家に来るよな?」

「は?」


「へ?」

シスコン兄貴の予想外の言葉に私は変な声が出た。


帰路についた。


今日は、ハル兄の彼女さん、タクさん、キミハルさんもうちに来る。


ホットプレートでお好み焼きパーティーをやるのだ。


なぜか私は、ハル兄の彼女さんと並んで歩いてる。


そんでハル兄は修二に肩を組んで捕獲。


尋問ではなく、肩を組まれている。


シスコン兄貴。いきなり喧嘩腰だった修二に対し、大人げない対応で返すかと思った。


実際には逆で気に入ったかのようだ。


私はハル兄の彼女さんに聞いた。


「ちょっとハル兄の反応なんですけど・・」


「修二君だっけ。あ、そうか。美佳ちゃんに背を向けてたから、さっきの顔は見えてないんだよね」

「ですね・・」


「あれ見て、シスコンお兄ちゃんが合格を付けたんだよ」


「ええ~、どんな顔だったんだろ」

「教えな~い」


そして前を歩くのは、なんだか早くも修二呼びのハル兄だ。


「おう修二」

「は、はいお兄さん」


「美佳の兄はふたりいるから、俺はハルキかハル兄でいいぞ」


「はい、ハル兄さん」


「よし、お前も今から家に来い。タク達とみんなでメシ食うから、お前も参加な」


「いいんですか?」


「いいに決まってるだろ。前に美佳を助けてくれたんだってな。だったら礼はしないとな」


「いいのかな美佳ちゃん」


「うちにおいでよチイちゃん。7年前に約束したよね~。ちょっと間が空いたけど大歓迎だよ~~~」


私が昔の呼び方で修二を呼ぶと、すこし間が空いて笑ってくれた。


ハル兄は、たまに暴走するけれど人タラシのところがある。


とにかく私の家に修二をお持ち帰り?することになった。

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