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東京ダンジョン学園  作者: 叢咲ほのを
第七章 森林に眠る宝 -Legacy in the Forest Cave-
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第87話 スマートウォッチ

「奥多摩ってどこなの?」


 俺と同じ地方出身のユノから質問される。

 ユノと同じくちょっと前の俺も奥多摩なんて場所を知らなかったのだが、今なら答えられる。

 俺はスマホを取り出して、書かれている文章を読んだ。


「奥多摩は、東京都の最西端に位置する自然豊かな山間地域です。都心から電車で2時間弱ほどの距離ですが、まるで別世界のような大自然が広がっていて、東京で最も東京らしくない場所とも言われてます」


「何読んでんの?」


「メイリスだ」


「何それ?」


「AI」


「AIに教えてもらってるの?」


「そうだよ。メイリスは迷宮探索に特化したAIなんだ」


「すごーい!」


 ユノがメイリスに興味を示す。マイカも興味がありそうだが、イオリは興味を示していなかった。

 俺がなぜこの奥多摩に行こうと思っているかというと、一人で探索をしたかったからだ。

 学園のダンジョンは現時点では第一階層の探索しか許されておらず、また誰かと偶然会ってしまう可能性もある。

 ポーションランクアップや、スキルの使い方の研究など、知り合いにばれないような迷宮でやりたいと考え、メイリスに人が少ないオープンダンジョンはないかと聞いたところ、奥多摩にあるダンジョンを紹介してもらったのだ。

 学園から電車で1時間半くらいで行けるちょうどよい場所だ。


「奥多摩って……どこ?山?えっ、てか駅あるの?人、住んでるの?」


 ユノがまくしたてる。


「駅はあるし、山奥だけどちゃんと人も住んでるよ。新宿ダンジョンみたいに人が多いところじゃなくて、人が少ないところに行ってみたいと思ったんだ」


「へえ~」


「ねえシロウ君。そのAIってどう使うの?」


 今度はマイカから聞かれる。


「どうって、ほかのAIと同じだよ。ただ探索者組合のデータベースと繋がってるから、迷宮の情報がすぐに分かったりするから、便利そうだと思って最近使い始めたんだ」


「そうなんだ。便利だったら私にも教えてね」


「ああ。もちろん」


「それって迷宮の中でも使えるの?」


「使えるけど、スマホは壊れたらいやだから迷宮の中にまでは持って行かないんだよ」


「腕時計みたいなので使えるといいのにね」


「そっ……それだぁあ!」


・・・・・・・・


 ユノの思いつきの言葉から気づいた俺は、放課後電器屋へと向かった。

 スマートウォッチを買うためだ。

 メイリスは音声入力にも対応しており、調べたらスマートウォッチでも使えることが分かった。

 スマホを見ながら迷宮探索はできないが、腕時計タイプなら手がふさがることも落とすこともないはずだ。攻撃を受けて壊れるのが怖いが。

 とにかく探索に付けていくのに良いタイプのものを求めて、俺は電器屋に入って行った。


 スマホ売り場の一角にスマートウォッチのコーナーがあった。種類がいくつもあり、ド素人の俺に違いは分からない。

 店員に聞いてみよう。


「スマートウォッチですね。機種によって機能が違いますから、お客様が求める機能があるものを選ぶ必要があります。心拍数や睡眠の質などの健康管理の機能が付いているものや運動サポートが付いているタイプのものが多いですよ」


「そういうのはあんまり必要ないかな」


「お客様はどのような機能をお求めですか?」


「AIを使いたくて、音声入力と出力ができるやつが欲しいんですけど」


「AIはアプリが対応していないと使えないんですよ」


「俺が使いたいアプリは、基本的にどんなスマートウォッチでも使えるみたいです。ただ入出力ができないとダメみたいで」


「それでしたら通話機能付きの者であれば、マイクもスピーカーも付いていますね。こちらのタイプとか、こちらとか……」


「あ、あとぶつけても簡単に壊れない丈夫なものがいいです」


「それでしたら……」


 店員と話しながら俺は気づく。


「あ、それこそAIに聞けばいいのか!すいません、ちょっと確認します」


 俺はスマホでメイリスに、メイリスをインストールするのに適したスマートウォッチを訪ねる。


「えーっと、加速度センサー、ジャイロセンサー、デジタルコンパスが付いているものがおすすめ……」


「それでしたら、こちらやこちら……」


 俺が読み上げた機能のある商品を店員が探していると、俺はメイリスが答えた商品名を伝える。


「ウルトラウォッチってありますか?」


「それでしたら、最新の第三世代ウルトラウォッチが在庫もございます。ただ一番良い商品ですので、金額はお値引きを入れても12万円になるのですが……」


 12万円!まだ15歳の俺にはとても高いと感じる金額だ。だが俺にはヒカルにポーションを売った200万円があるのだ!


「安い!買います!」


「音声入力と出力ということでしたので、もしよろしければご一緒にワイヤレスイヤホンとマイクなどはいかがでしょうか?ブルートゥースで簡単に連携できますよ」


「それもください!」


 店員に勧められるまま購入してしまった。

 しかしこれでついに迷宮の中にもメイリスを持って行ける環境がそろったのだ!

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