表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東京ダンジョン学園  作者: 叢咲ほのを
第五章 希望の光 -Dawn of Hope-
80/150

第79話 ストーカー?

「一ノ瀬君、さっきのはちょっと卑怯じゃないか?」


「へ?」


 コジロウさんとの手合わせを終えた俺に話しかけてきたのは紫村だった。

 その指摘に全く心当たりのない俺は逆に聞いてしまう。


「ど、どの辺が悪かった?」


「どの辺じゃないよ。剣術の試合なのに、蹴りを出そうとするなんて卑怯じゃないか」


「あっ、そうか!」


 紫村に指摘されて初めて気づいた。見事に躱されて通用しなかったので気にしていなかったが、俺は蹴ろうとしたんだった。そうか、蹴りは反則か……。

 俺はすぐにコジロウさんに謝罪する。


「コジロウさんすいません、とっさに蹴りがでちゃって……」


「何を言っている?俺たちがやっているのはスポーツじゃない。迷宮探索に卑怯もなにもないだろう」


 え?そうなの?どっちなの?

 俺は紫村の顔を見る。

 すると紫村は驚いた顔をしていた。


「じゃあ例えば俺が蹴られて負けたとしてだな、蹴られたら負ける程度の剣術を習いたいか?」


 コジロウさんからの問いに、紫村は難しい顔をしている。


「ゴブリンがかみついてきた時に、卑怯だぞ、正々堂々と戦え!と言うのかおまえは?」


「……すいませんでした」


 コジロウさんから言われて、ついに紫村は謝罪した。


「俺が教えるのは蹴りや噛みつきじゃなくて剣術だけどな、それは同じ剣を持った相手と戦うだけの技術じゃない。お前の言う卑怯な相手とも戦って勝つための剣術だ。それは分かってくれるか?」


「はい!」


 紫村は闘志に火が付いたような顔つきで返事をしていた。

 まあ卑怯でも卑怯じゃなくても俺はどっちでもいいんだが。

 コジロウさんは言葉を続ける。


「そうは言っても俺の時間のある時にたまに教えに来るだけの臨時講師だ。そこまで深い技術は教えられる時間はないと思う。だからまずは基礎だ。地味だが一番大切なところだ。今日は徹底的に基礎をやるぞ」


「はい!」


 そんな二人の会話に俺は割り込む。


「すいません、基礎っつうとさっきの構えとか素振りとかですか?」


「当たり前だろう。まずは剣の持ち方ができてなくては技を教えても意味がない」


 なるほど。


「すいません、俺は今日はちょっと用事があるんで、この辺で……」


「用事?」


 俺はそう告げると、後ろ向きで歩き出し、みんなに注目されそうになった瞬間向きを変えてダッシュでその場を去った。


・・・・・・・・


 ふぅ。危うく拷問のような地味な練習に付き合わされるところだったぜ。

 コジロウさんの強さは尊敬するが、地味な基礎練習は俺には合わないようだ。

 時計を見るとまだ6時。迷宮はまだ空いている。

 一時間だけでも、ポーションを取りに行こうか。ランク3ポーションは高く売れるし自分で使ってもいいし、何個あっても困らないですからね。


 俺は装備を整え迷宮へと入る。

 放課後は19時まで迷宮が解放されていて決められた階層までなら自由に探索ができるが、自主的に探索する者などほとんどいない。聞いた話だと、学期末にはスコアが著しく足りない生徒がレベルアップのために潜るそうだが、まだ1学期が始まったばかりの今は放課後にまで探索をするもの好きはいないようだ。

 と、昨日までは思っていたのだが、何か俺の後ろから歩いてくる3人組のパーティーがいた。

 知らない顔だ。別のクラスの生徒だろう。

 ポータルを使わずに、俺の後ろに続いて第一階層へと降りてくるので俺と同じ一年生のようだ。

 俺のポーション集めの方法は極秘なので、見られないように奥へと歩いてゆく。時々見つけたスライムをつついて倒しながら俺は進む。

 そうしていつもスライム集めをしている広い空間へと入る。

 すると、さっきのやつらだろうか?少し離れた場所に人の気配を感じた。

 俺が持っていないはずの水魔法や治癒魔法を使うところを見られるわけにはいかない。

 俺は魔法を使わずに行き止まりのこの部屋で立ってスライムが自然発生するのを待つ。

 時々現れるスライムを普通に倒していると、さっきからずっと部屋の入り口に人の気配がしている。

 これはあれだな……。こいつら俺の跡をつけているな。

 ちょっとイラっとした。

 俺はUターンして部屋の入口へとまっすぐ歩く。そいつらは慌てて後ろへ歩き出す。俺はそいつらを逆に追って歩いた。

 だんだん距離が近づいていくと、俺はそいつらに声を掛ける。


「おい、そこにスライムがいたぞ?どうしてスライムを無視して進むんだ?おまえらスライムを倒さずに何をしてるんだ?」


「い、いやなんでもない……」


 俺に声を掛けられたそいつらは、慌てた顔をして走って逃げて行った。


「なんなんだよ……」


 俺はポーション集めを邪魔されて、不機嫌になった。

 腕時計を見ると時間はもう6時45分を回っていた。今からではあまりスライムを倒している時間はなさそうだ。

 邪魔されなければ、運が良ければ一個くらいポーション手に入ったかもしれないのに。

 もし今後もあいつらがずっと跡をつけてきたら……ランク3ポーションで小遣い稼ぎするのは難しくなるかもしれないな。

 地味な練習でストレスを溜めないようにダンジョンに逃げてきたのに、あいつらのせいで逆にストレスが溜まってしまった。一体何者なんだあいつらは?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ