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東京ダンジョン学園  作者: 叢咲ほのを
第五章 希望の光 -Dawn of Hope-
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第75話 ポーションの価格

 ひえー、A組って何か空気悪ぅ~


 俺は先ほどのやりとりを無事に終えて、冷や汗を流していた。

 かっこつけたけど、内心ビビりまくりだったぜ。

 それにしてもランク3ポーションって、やっぱりレアだったんだな。あんなに他のやつらが悔しがるとは思わなかった。

 そう思いながら、もう一個あるランク3ポーションをポケットから出して眺める。


 俺は昨日、スキルの検証中にとんでもないことを発見してしまった。

 ドロップ直後のポーションに治癒魔法をかけると、ランクが上がるということを。

 スライムが落としたランク1ポーションにヒールをかけたところランク3になったので、どうやらポーションの元のランク+治癒魔法のレベル=ランクアップ後のランクのようだ。


 この方法なら、俺にとってランク3ポーションの入手は楽勝だ。

 スキル偽装で連続使用回数をリセットしながら水魔法でスライムを呼び寄せ、狩りまくればそのうちポーションがドロップする。そこにタイミングよくヒールをかけるだけだ。


 俺は昨日初めてそれを発見した直後、推測が正しいのか確認するために検証を続けた。その結果、再びドロップしたポーションにヒールをかけたところ、同じようにランク3ポーションが出来上がったのだ。


 これを他人に話したらどうなるだろう?きっと大騒ぎになるに違いない。だとしたらこれは極秘だ。隠れて高ランクポーションをたくさん作ってこっそり売って大儲けしてやろう。

 とりあえず一個はお嬢にあげたけど、このもう一個を売ってしまおうか?俺も治癒魔法を使えるようになったので、怪我をしてもポーションを使わなくても大丈夫だし。いや、俺が治癒魔法を使えることも秘密なのだから人前で治癒魔法は使えない。だとしたら人前で怪我をした時用にポーションを持っておいた方がいいだろう。

 そうして俺は残るもう一つのランク3ポーションは売らずに持っていることにした。


 ともかく先週末もいろいろあった。順調にレベルアップしているし、新し攻略法も次々と見つかるし、迷宮探索は楽しいな。

 俺は機嫌よく教室へと帰って行った。


・・・・・・・・


 翌日の昼休み、いつものように俺が一人で昼飯を食っている席には、なぜか向かい側に九条ヒカルと如月メイが座っていた。


「あの……」


 ここ良いかしら?と言うと、俺の返事を待たずに座った二人に、俺は何しにきたのか戸惑いを隠せない。

 ヒカルは俺に話しかけているのか二人で話しているのか分からない調子で話し始める。


「一階の食堂を利用するのは初めてでしたが、食券という仕組みは面白いですわね。注文をする手間が省けますし、食事が出てくるのも二階より断然早くてびっくりしてしまったわ」


「あのー」


「きっと庶民は気が短いのでこういう仕組みを考えたのでしょう」


「そうかもしれないわね。それにお値段もびっくりするほど安くてこんな金額で本当に一人分のお食事が出てくるのか心配してしまったわ」


「それは食事の内容が全然違いますし、おそらくこのセルフサービスという仕組みで、人件費も抑えているのでしょう」


「ビュッフェスタイルとも少し違うのよね」


 二人は延々と庶民用食堂について会話をしている。


「あのー」


「何かしら?」


 ようやくヒカルが俺の言葉に反応してくれた。


「何しに来たの?こっちは庶民用の食堂だぜ?」


「あら?私たちが一階を利用してはいけないという決まりがあるのかしら?」


「そりゃないだろうけど……」


「じゃあ、良いのではなくて?社会勉強よ」


 社会勉強で庶民用の食堂を利用したと……。まあそれはいいだろう。それよりも気になるのは、


「何で俺のテーブルに座るの?空いてる席いっぱいあるじゃん」


 そう、生徒たちはみんな食堂の中で食べており、この外のテラス席で食事をしているのはいつも俺一人なのだ。他のテラス席には誰も座っていない。

 俺の疑問にヒカルはストレートに答えた。


「それはあなたに用件があるからですわ」


「なるほど、そうですか」


 だとしても、食事時を狙って会いにこなくてもいいのに。一緒に飯食ってたらすごい仲が良いみたいじゃんね。


「昨日はありがとう」


「あ、ああ。どういたしまして」


 昨日と言うとポーションを譲ってやった件だろう。ぶっちゃけ今の俺にとってランク3ポーションなど、いつでも手に入れられるものだ。そこまで感謝されるものでもない。


「それで、代金をまだ払ってないので、支払いに来たのよ」


「ああ、そういうことね」


 すっかり忘れていた。まあ昨日はお金どうのこうの言ってる雰囲気じゃなかったからな。それにランク3程度、今ならタダであげたってかまわないくらいだし。

 ヒカルはスマホを取り出しながら言った。


DE-Pay(ディーペイ)でいいかしら?」


 DE-Payというのは数ある電子マネーの中でも、迷宮探索者によく使われているものだ。東京ダンジョン学園の生徒はもれなく使っており、ジェムの売買などに利用されている。

 俺も自分のスマホを取り出し、ヒカルとQRコードを交換した。


「市場価格の倍という約束だったわね」


 そういえばそういう話だったような気もするが、


「いや、それはランク4の話だし、今回はランク3だから普通の価格でいいよ」


「そういうわけにはいかないわ」


 そう言ってヒカルは送金処理を行うと、スマホから「ディーペイ!」という機械音が流れた。

 俺は入金されたことをスマホで確認する。


「ブー!!!!」


「きゃっ!汚いわね!」


「だ……だってこれ。お嬢金額間違えてないか?」


 そこに表示されていたのは、『入金額2.000.000円』という文字だった。

 ヒカルは俺のスマホの画面をのぞき込みながら答える。


「間違ってないわ。200万円。現在の市場価格の二倍よ」


「……ランク3って、普通でも100万円もするの?」


「あなた、そんなことも知らなかったの?」

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