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東京ダンジョン学園  作者: 叢咲ほのを
第一章 迷宮と少年たちのはじまり -The Beginning of Labyrinth and Youths-
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第22話 2回目の探索

 さて、面倒な職員会議呼び出しが終わって俺は教室へと戻った。

 今日は1限目から探索だ。気を取り直して楽しむぜ。

 今回は、昨日と変わってくじ引きでパーティーを編成することになった。いつも同じメンバーで探索すると、知らない人が入った時に困惑するため、いろいろな人と組んで、いろんな協力の仕方を学ぶのが目的だそうだ。第一層にはスライムしかいないんだから、そんなん関係ないと思うけどな。

 俺も新しいパーティーになったが、元々紫村のパーティからは抜けるつもりだったため手間が省けてよかった。

 今回俺と組むことになったのは、白石(しらいし)祐介ユウスケと、水野(みずの)(ヒロシ)の二人。今回は三人パーティだ。

 ダンジョンの入り口のホールで担任から簡単な指示があった後、迷宮探索が始まった。


 三人で一緒に行動し、スライムを見つけると誰か一人が代表で倒し、そして次のスライム探しが始まる。さっきからこの流れが非常に効率が悪く感じて、俺は不快感を感じていた。


「なあ、これって別行動でも良くないか?」


「だめだよ一ノ瀬君」


「そんなこと言ってもさ、スライムを倒す時に他の二人は見ているだけで効率が悪いだろ?」


「それはそうだけど、パーティを組んで探索するのが目的なんだから」


 パーティを組むメリットは、経験値の分配と、一人で戦うよりも安全に戦えるということがある。

 あまり離れすぎてしまうと自動的にパーティ解除になってしまうこともあるらしいが、そんなに離れなければ別行動していても経験値分配はされるんじゃなかろうか?

 それに第一層のスライムに限っては、弱すぎてわざわざ複数人で戦う必要はない。

 それを俺が説明すると、二人もなんとなく納得してくれたようだ。


「それじゃ離れすぎず別々にスライム倒して、倒した数を競争しようぜ」


「勝手なことすると怒られるよ」


「ばれなきゃいいのよ」


 そう言って、俺は二人と別れて歩き出した。

 そもそもよく人が通る広い通路にはスライムはほとんど見かけることはない。どこか岩陰や奥まったところなどにいることが多いように思う。そこで俺は行き止まりの部屋のような広い空間へと移動した。そこでスライムがいそうな場所をじっと観察する。するとあちこちにスライムが動くのが見えた。少し離れた場所から見た方が、見つけやすいかもしれない。だとすると一匹倒してまた次のスライムを探してというのは効率が悪い。まずはそれぞれどこにいるか把握だ。だいたいわかったら倒しに行くぞ。


 まずは一匹目、地面を移動するスライムを叩いて倒す。

 べし!

 ジェムを拾い次のスライムへ。確かここの岩陰に入って行ったやつが……いた。

 べし!

 木刀で突いて倒す。ジェムは木刀で転がして取る。そして次。岩壁を移動してたやつがここらへんに……いた。

 べし!

 軽く叩いて倒す。あまり強く叩きすぎると岩壁を叩いて木刀が損傷してしまいそうなので、ほどほどの強さで叩く方がいいだろう。

 そしてもう一匹がこっちの方に……あ、いた。ちょっと移動してやがった。

 べし!

 四匹目も倒す。ここには四匹のスライムがいた。よし、また別のスライムがいそうな場所へと移動しよう。


 そんな感じでスライムを倒していたが、腕時計を見るとそろそろ一時間が経過していた。今日は二限まで探索なので、まだ一時間近く時間はあるが、パーティーメンバーがどんな感じか気になるため一旦戻ることにした。

 腰のポーチの中を確認すると、マジックジェムがちょうど二十個あった。要するにスライム二十匹倒したということだ。残念ながらヒールジェム=ポーションはドロップしなかった。できれば購買で買うよりもスライムからドロップさせて入手しておきたい。スライムを倒してポーションがドロップする確率はおよそ1%と言われている。できるだけたくさんのスライムを倒すしかないか。


 そうして白石と水野と合流しジェムの数を比べたところ、圧倒的に俺の勝利だった。

 どうやってそんなにたくさん倒したの?と驚かれたが、一匹ずつちまちま倒しつつ足並みをそろえて移動してたらそりゃあ効率が悪いだろう。そして俺はやっぱりソロが向いているんだと思った。


 今日の探索も楽しかったなと満足していると、なんだか女子がもめていた。

 気になって見てみると、また鮫島と百田だった。


「あんた何でまだ魔法が使えないのよ!ただでさえトロいんだからスキルが使えなかったら足手まといなのよ!」


「…ごめんなさい」


 どうやら一緒に探索していた鮫島が百田に役立たずと言って責め立てているようだ。

 うるさいから喧嘩は止めてほしいものだと思って見ていると、早坂が仲裁しに来た。鮫島は早坂のことも嫌いそうだから逆効果になりそうだと思っていたら的中し、さらに怒りを増して喚き散らしていた。俺が入ったらさらに混乱すると思い黙っていることにした。こういう時教師は何してるんだ?真島の姿はなかった。相変わらずあいつはさぼっているのだろうか?

 と、そんなことを考えていたら、今度は紫村が仲裁に入ったようだ。さすがに紫村から言われたら鮫島もおとなしくなった。

 まあ、あいつらにはなるべくかかわらないようにしておきたいものだ。

 それにしてもクラスメイトなんだからもっと仲良くすればいいのに。でないと秋のクラス対抗戦で、絶対に他のクラスに勝てなくなるぞ。

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