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東京ダンジョン学園  作者: 叢咲ほのを
第十章 光と影 -Heroes-
154/181

第152話 AIって良いよね?

「現在の新宿御苑は、元々は皇室の庭園として整備されていました。そして昭和二年に国民公園に指定され、一般に公開されました。

 終戦直後の昭和二十年、世界中で同時多発的にダンジョンが出現したその年に、新宿御苑の一角にもダンジョンが発生しました。それが現在の新宿ダンジョンです。

 本来は国有地であるこの区域は、ダンジョン発生以降、日本迷宮管理局(JDA)に管理が委託され、現在に至っています。

 都心に位置する利便性の高さから、新宿ダンジョンは現在、日本国内で最も多くの探索者が集まるダンジョンとして知られています」


 俺のスマホから流れるメイリスの説明を、三人は黙って聞いていた。


「なるほど。それにしてもAIって便利だね」


 紫村の感想は、新宿ダンジョンの説明よりも、メイリスについてだった。

 俺もそれに答える。


「まあな。特にこれは探索者向けに最適化されたAIだしな。ちなみにここの資料室に行けば使い放題だぜ」


「へえ。それを一ノ瀬君はスマホに入れてるんだね。僕も真似しようかな」


 なんだかどんどん話が横道にそれている気がする。

 今日初めてこの新宿ダンジョンに来た三人を案内するために、このダンジョンの説明をメイリスにしてもらったのだ。


「それじゃ三人とも、このダンジョンの入場許可をもらうために受付を済ませようぜ」


 俺の指示で紫村たち三人は受付を済ませ、そしてその後、更衣室で探索服へと着替える。

 思い返せば俺が初めてここに来た時には学園支給のツナギを着ていて、おしゃれな都会の探索者たちの中で浮いている気がして気まずい思いをしたものだ。

 しかし今日買ったばかりのこの服装ならば、俺も都会になじんできたと言えるのではなかろうか?

 姿見で自分の服装を確認しながらそんなことを考えてニヤニヤしていると、紫村たちも着替えを済ませ集まってきた。

 紫村は今日買ったBLACK SWANの最新モデルのアウトドア風のジャケット。千堂や赤石もいつ買ったものなのか知らないが、それなりにかっこいい探索服を着ていた。

 なんだろう、みんなおしゃれで羨ましい。


「どうしたの一ノ瀬君?」


「い、いや。何でもない。それじゃ行くか!」


 今日は俺が荷物持ちをするつもりで、大きなリュックを背負っている。ドロップアイテムが出たら俺が持つ予定だ。

 その分、三人には必要最低限の装備で行ってもらうことにした。

 赤石のメイスが若干重そうだが、まあ自分で選んだんだから責任もって自分で持ち歩いてもらおう。


・・・・・・・・


 というわけで、目的の第一階層、階層主の部屋の前まで来た。

 今日はいつもに増して行列が多い気がする。


「すごい行列だね。都会のダンジョンはいつもこうなのかな?」


 そんな紫村の質問に俺が答える。


「そうなんだ。この先も階層主の部屋に挑むには順番待ちをしなくちゃいけないから、待ち時間も含めて探索を進めないといけないんだ」


 俺はその待ち時間を利用して、三人に改めて今日の予定を説明した。


「それじゃ改めて今日の探索の説明をするぞ。紫村がレベルアップのために通常の二倍のスコアが必要だという話だから、普通に探索していたらこれからもずっと他のみんなよりも遅れてしまうことになる。そこで俺の探索のやり方で、少しでも早くレベルアップするよう挑戦してもらおうと思う」


 俺のそこまでの説明を聞いて、千堂が質問をしてきた。


「それは分かるが、君の探索のやり方っていうのはどういうものなんだ?そもそも早くレベルアップする方法なんてものがあれば、誰しもがやっているんじゃないのか?」


「まあ、それもその通りだ。要するにリスクがあるんだ」


「リスク?」


「手っ取り早く言うと、学園では探索者レベルと同じ階層の探索をしてレベルを上げるが、俺はレベル+1の階層を探索しているんだ。つまりレベル2で三階層、レベル3で四階層だ」


 俺の説明を聞いて、三人とも不思議そうな顔をする。

 そして千堂が当たり前のことを聞いてくる。


「それは危険じゃないのか?」


「危険だよ。だけどそれをすることで、俺の体感では通常の10倍くらい早くレベルアップできるんだ」


「しかし、そんなこと学園では教えてくれなかったよ?」


 そんな紫村の質問に俺は答える。


「ああ。おそらく学園では全員が安全にレベルアップするためのカリキュラムになってるんだと思う。だけど例えば同じレベル1でも、非力な人がいれば赤石みたいにすごく強い人間だっているんだ。同じレベルだからと言って同じ階層を探索するのが適性だとは、俺は思わない」


 俺の説明に三人は考え込むが、千堂が妙に納得したように答えた。


「確かに一ノ瀬の言う通りかもしれない。学問でも俺たちなら一度教科書を読めば理解できることを、授業では一時間かけてかみ砕いて説明をするのを聞いているんだ。あれは全員に理解させるために、理解が遅い生徒に合わせているからだ。探索も同じなんだろう。だとしたら、強い人間は一ノ瀬の言うように一つ下の階層に挑んでもいいのかもしれない」


 学問でもの件はちょっと自慢が入っているように聞こえたが、とりあえず千堂には俺の理論を理解してもらえたようだ。

 そして紫村も千堂の説明を聞いて納得をする。


「マモルがそう言うなら挑戦してみよう。だけど一ノ瀬君、もし危険だと判断したら、そこで撤退させてもらうよ」


「もちろんだ。だけどお前らの実力ならたぶん大丈夫だと思うけどな。赤石もそれでいいか?」


「ああ。俺は紫村たちの判断に従う」


 その後、これから戦うヒュージスライムとの戦い方や、雑談などをしながら階層主戦の順番を待った。

 そしてようやく俺たちの順番がやってきた。


「それじゃあ、まずは第一階層主への初挑戦といきますか!」

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