第151話 探索者市で武器を探そう
今日は三人のレベリングという名目で新宿に来たのだが、なんだか俺が一人で自分の装備を爆買いしていた。
俺ばかり買っていても申訳ない。三人の買い物も見ていこう。
そうして千堂と赤石が求める武器を探しに、探索者市へとやってきた。
「わあ、いろんなお店があるんだね」
初めて探索者市に来た紫村が無邪気な声を上げる。
道路沿いに並んでいる出店ごとに取り扱う商品に個性があって、見て回るだけでも楽しい。
「俺はここに何回も来てるから、案内は任せてくれ!」
「一ノ瀬君、頼もしいね」
「あの店に武器がいろいろ置いてありそうだ」
俺は武器を取り扱っている店を見つけ、三人を誘導した。
「いらっしゃい。気になるものがあったら手に取って見てよ。だけど振ってみるなら店の裏でな。外で武器を振ってたら捕まるからな。ガハハ」
ダンジョンが一般的な世界のため、街中で武器が普通に売られているが、だからと言って不用意に武器を持ち歩いても良いわけではない。
武器を街中で持ち歩く際は、袋やカバーなどに入れておかなければいけないと法律で定められている。
特に刃物をむき出しで持っていたらすぐに警察に捕まってしまうだろう。
だから武器の感触を確かめるためと言って店の外に出て武器を振り回していたら騒ぎになるし、お店の人にも迷惑をかけてしまうのだ。
そんな当たり前のことを注意されつつ、俺たちは店内を物色し始める。
そこにはいろいろな武器が置いてあった。俺はぐるっと店内を見回した。
無造作に置かれている大きな坪の中には、いろいろな形の剣が入れられていて、俺はどんな形の剣があるのか気になった。
千堂は木枠に並べて立てかけられている槍を物色し始めた。紫村も一緒にそれを見ている。
赤石は、棚に横置きされている重そうな武器たちを見ていた。
そこには斧やハンマー、メイスなどが置かれてた。
赤石はその中でもメイスが気になったのか、手に取って重さなどを確かめていた。
そんな赤石を見た店員が声を掛ける。
「おっ!渋いところを選ぶね。メイスは重いからあまり人気がないんだけど、その分モンスター相手には破壊力抜群だよ」
「ちょっと振ってみてもいいですか?」
「ああ。それじゃこっちの店の裏で使ってみなよ」
赤石が店員に促されて店の裏へと出て行くので、俺も一緒に様子を見に行った。
そこで赤石がブンブンとメイスを振ると、店員が感嘆する。
ガタイの良い赤石がメイスを振り回している姿は、すごい迫力だ。
「いいねー。メイスをそれだけ振り回せるなんて、素晴らしいパワーだ。でもね、腕の力で振り回してるとすぐに疲れちゃうよ。メイスの重みだけで充分ダメージを与えられるんだ。もう少し要所要所で力を使う振り方をすると、省エネルギーになるよ」
「なるほど……」
店員から武器の使い方をレクチャーされて、真面目に聞き入る赤石。
これはたぶん買うだろうな。
店内の方に視線を戻すと、千堂と紫村がいろいろと意見を交わしあっていた。
「このハルバードは攻撃力が髙そうだ。赤石君ならこれで一人でヒュージスライムを倒してしまいそうだね」
「ああ。でも僕には重そうだ。それにしても、一言に槍と言ってもこんなに色々な形があるんだな」
そこには穂先が長いものや短いもの、片刃の短刀のようなもの、両刃でまっすぐなもの、円錐状のもの、横に刃がでたL字型、十文字型など、本当に様々な形の槍が並んでいた。また柄も木製だったり金属製だったりで、素人の俺からしたらどれを選べばいいか判断に困るほどだ。
だから俺は何のアドバイスもできずに、二人が選ぶ姿を見守るだけしかできなかった。
すると、メイスの確認を終えた赤石と店員が店内に戻ってきた。
店員が今度は千堂たちに声を掛ける。
「君たちは槍を探してるの?」
「はい。今日ヒュージスライムに挑戦しようと思って」
「なるほどね。ちなみにその後も槍を使い続けるつもり?」
「いえ、実はあまり槍を使ったことがなくて、剣の方が慣れているので、どうしようか迷っていて」
「だとしたらこっちの銛はどうかな?軽量だし連結式で持ち運びに邪魔になりにくいよ。普段は使い慣れた剣を使って、ヒュージスライム戦のときだけこれを使ったらどうかな?」
「銛……ですか?」
そう言って店員が薦めてきたのは、魚を捕る用のものだろうか?先端から五本の針が出ている銛だった。
「ヒュージスライム用に立派な槍を買っても、その後使う機会がなくなったらもったいないからね。この銛なら値段も五千円だし、槍を買うよりもずっと安く済むよ」
学園では槍を薦めていたが、このお店は学園よりももっとノウハウを持っていそうだ。
「なるほど。それじゃ、その銛をください!」
店員に薦められるまま、千堂は購入を決定した。
赤石も中古のメイスを一万円くらいで購入していた。
二人とも良い買い物ができて満足そうだ。
「ありがとう一ノ瀬君。おかげで二人とも良い武器を買えたよ!」
二人に代わって紫村が俺にお礼を言う。
だけど、俺は今回見てただけだったような気が……。いや、気にしないことにしよう。




