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東京ダンジョン学園  作者: 叢咲ほのを
第九章 遅咲きの雷 -Late Blooming Thunder-
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第136話 紫村キョウヤ5 執拗な妨害

 今日も放課後は、マモルと一緒に迷宮探索をする。

 二人で迷宮に来てみると、そこにはB組の毒島君と沼部君が待ち構えていた。


「おいおい、誰かと思ったらレベル1じゃないか」


「こらこら、学年主席様と呼べよ、ブフフ!」


 昨日は僕たちが迷宮から出てくるところを待ち構えていたが、今日は遂に迷宮の中にまで嫌味を言いに来たみたいだ。


「君たちはもうレベル2に上がっているんじゃなかったのかい?何しに迷宮に?」


「は?お前には関係ないだろ!ポーションだよ、レベルアップ目的じゃなくて、スライムを倒してポーションをゲットするために来てるんだよ!」


「ぐっ……」


 おそらく詭弁だろう。僕の邪魔をするために来たんだ。

 僕が戸惑っていると、マモルが彼らに言い放った。


「そうか、それならば頑張ってくれたまえ。僕たちは僕たちで探索をするから、構わないでくれるか」


 冷静なマモルが一緒にいてくれてよかった。彼らを冷たくあしらってくれた。

 しかし彼らの反応は僕の想像とは違った。


「なんだよ冷たいな。そんなに邪険に扱わなくても良いじゃないか」


 その言い方に、僕はイラっとしてしまう。そしたらマモルが僕の腕を掴んだ。


「もういい、彼らに構うのは時間の無駄だ。行こうキョウヤ」


「あ、ああ」


 マモルに促され、僕たちは迷宮へと入って行った。

 そうだ、僕には時間を無駄にしている暇はない。少しでも多くのスライムを倒すんだ。

 そう思ってマモルと二人進んでいくと、少し離れた場所から彼らは僕たちの跡を付けてきた。

 道を何度曲がっても、ついてくる。

 さすがに気になって、僕は大きな声を出してしまった。


「僕たちの跡を付けてなんのつもりだ!」


「は?」


 彼らはとぼけた声を上げた。


「跡を付けるなんて人聞きが悪いな。俺らはたまたまこっちを探索しようと思っていただけだが?」


 毒島君は白々しくそう答えた。


「君たちがこっちへ行くというなら、僕たちは元の方へ戻る!」


 僕はそう言うと、毒島君たちとすれ違い、来た道を戻ることにした。

 すると毒島君は、


「あー、何となくこっちを探索したくなってきたなあ」


 などとふざけたことをつぶやくと、再び僕たちの後ろを付けてきたのだ。

 思わず苛立ちに顔が引きつってしまう。

 それに気づいたマモルが、再び僕の腕を掴んだ。


「気にするなキョウヤ、ああいうやつらは相手にしたらダメだ。無視して僕たちの探索をしよう」


「あ、ああ。そうだな」


 マモルはそう言うが、その眉間にはしわがよっていた。彼も、怒りを必死に抑えているのだろう。

 つくづくマモルがいてくれてよかった。彼らと口論になっていたら、今日は探索どころじゃなくなっていただろう。

 そして毒島君たちに跡を付けられながら五分ほど歩くと、マモルがようやく最初のスライムを見つけた。


「あそこに一匹いる」


 マモルが指さしたのは、少し離れた場所の壁際だった。


「よし」


 僕が木刀を強く握り、そのスライムに向かっていった時だった。

 ビュン!

 風を切る音を立て、僕の横を石が飛んで行った。

 びっくりして僕が振り返ると、そこにはスリングショットを持った毒島君の姿があった。

 毒島君は新しい石を取り出して再び打とうとしている。


「危ないじゃないか!」


 僕が抗議の声を上げると、二発目の石が僕の横に飛んで行った。

 僕は慌てて横に逃げる。


「そんなところに立っていると危ないぞ紫村!邪魔するなよな」


「何を言って……」


 僕は彼の言う言葉が即座に理解できず言葉に詰まる。


「俺たちが見つけたスライムがそこにいるんだ。後から見つけて邪魔しないでくれ」


 彼らはマモルが見つけたスライムを自分たちが先に見つけた自分たちの獲物だと言っているのだ。


「ふ、ふざけるな!僕たちが先に見つけたんだぞ」


「は?ふざけてるのはお前たちだろう?それに先にスライムに攻撃を仕掛けてるのも俺たちだぞ?」


 彼らはとにかく僕の邪魔をしたいらしい。


「落ち着けキョウヤ。そのスライムは譲ってやろう。次のスライムを探そう」


「あ、ああ。マモルがそう言うなら」


 マモルは毒島君たちに別れを告げる。


「そのスライムは君たちに譲ろう。僕たちは別のスライムを探すからついてこないでくれ!」


 そう言ってその場を立ち去ろうとすると、彼らはさっきのスライムにとどめを刺そうとせず、再び僕たちの跡を付けてきた。

 思わず僕は振り返る。


「だから付いてくるなと言ってるだろう!それにさっきのスライムはどうしたんだ!」


「は?さっきのスライムはちょっと遠かったんで倒せなかったんだ。だからこっちへ来ただけだが?」


「倒せないわけないだろう!近寄れば倒せるはずだ!」


「さっきから何をお前は怒ってるんだ?俺たちは俺たちがやりたいように探索してるだけだが?」


 毒島君はニヤニヤしながらそう答えた。明らかに嘘だ。僕の邪魔をしたいだけなのだ。

 その後も彼らの嫌がらせは続いた。

 次のスライムを見つければ、石を投げて邪魔をする。僕たちが移動すれば、ついてくる。距離を置こうとすれば、わざと大声で話しかけてくる。

 結局、1時間以上探索して、倒せたスライムはたったの3匹だった。

 いつもなら10匹は倒せるのに。

 校則で決められている探索を許可されている時間19時が近づいてきたので、仕方なく僕たちは迷宮から出る。

 スキルボードを確認したら、また彼らに揶揄されるだろうと思い、今日の確認は止めておいた。

 迷宮から出ていく僕たちの後ろから、声が響く。


「おいおい、レベルアップしてる確認はしないのかい?あっ、どうせまだレベル1だから、確認する必要もないか!」


「ブフフフ……」


 彼らの笑い声を背中で聞きながら、僕はただ、唇を噛みしめるしかなかった。

 今日も、何も積み上げられなかった悔しさが募った。

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