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東京ダンジョン学園  作者: 叢咲ほのを
第一章 迷宮と少年たちのはじまり -The Beginning of Labyrinth and Youths-
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第13話 パーティー編成

 ついに初めての迷宮探索の日になった。

 はりきりすぎて午前中の授業の内容は全く覚えていない。

 だがそんなことは些細な問題だ。そもそも俺は勉強するためにではなく、迷宮を探索するためにこの学園に入学したのだから。


 例によって、迷宮の入り口で担任の説明が始まる。


「それではこれから初めての迷宮探索を行う。探索を始める前にパーティーを編成してくれ」


 担任に言われ、クラスメートたちは各々パーティを結成してゆく。

 声に出して相手の名前を言ってパーティー加入を依頼し、依頼された側が声を出して承認するとパーティー参加となる。

 終わった者たちからパーティを編成できたか確認するためにスキルボードで確認をしてゆく。


 この組んだパーティーを抜けるには、二つの方法がある。結成の時と同じように声を出してパーティーを抜けると宣言するか、迷宮から出た時に自動的に解散される。面倒だが迷宮に入るたびにパーティーを結成しないといけない。

 パーティー編成のメリットは、経験値が分散され効率よくレベルアップできるということだ。

 一人でLV1からLV2になるのに、100匹前後のスライムを倒す必要があるらしい。4人が別々にレベル2になるには、単純計算で400匹のスライムを倒す必要がある。それが4人がパーティーを組むことで、最短で半分の200匹くらいで済むらしい。

 ただし魔物にとどめを刺した者が一番多く経験値を獲得できるらしく、経験値は完全に均等に分けられるわけではないようなので、同じパーティーでもレベルアップが早い者遅い者がでる。レベルアップの仕組みも複雑でわかりにくいところがある。


 次々とパーティを編成してゆくクラスメイトたちを見守っていると、担任から声をかけられた。


「一ノ瀬はまだ仲間がいないのか?」


「あ、俺はソロでやっていくんで」


 俺が答えると、担任は急に怒り出した。


「そういうことを言ってるんじゃない。授業としてパーティを編成しろと言ってるんだ!おい紫村、お前のパーティはまだ空きがあるか?一ノ瀬を入れてやってくれ!」


「はい」


 よりによって紫村に声かけやがった。俺は紫村にはあまり関わりたくないのだ。俺は丁重に断ることにした。


「いや、大丈夫です。おい赤石、パーティに入れてくれ」


 成績ビリの俺は、ビリ2の赤石がいるパーティに入れてもらおうと考えた。赤石とはまだほとんど話したことがないが、成績トップの紫村よりも絶対にウマがあうはずだ。


「ん?悪い、俺たちのパーティはいっぱいだ」


 見ると赤石のパーティは上限の4人いた。

 なんてこった。

 ショックを受けている俺に紫村が声をかける。


「一ノ瀬君、友達がいないなら僕たちのパーティに入れてあげるよ」


「よ、余計なお世話だ!」


 友達がいないと、的確に指摘されて動揺する俺。まだ入学したばかりなんだから仕方ないじゃないか!友達はこれからできる……はずだ。

 紫村の勧誘を断ると、担任から怒られた。


「こら一ノ瀬!後はお前だけだぞ!時間がないから今日は紫村のパーティに入れてもらうんだ」


「一ノ瀬君にパーティ加入を依頼します」


 どうやって断ろうかと考えてたら、紫村からパーティ加入依頼されてしまった。


「くっ……、加入します……」


「よし、それじゃあスキルボードを確認しよう」


 断る理由が思い浮かばず、紫村のパーティに入れてもらうことになってしまった。

 まあいい。とりあえず今日だけはこいつらと一緒にやるとして、後で他のクラスメイトにパーティ入れてくれる奴がいないか探しておこう。

 スキルボードで紫村がパーティー編成の確認をしていた。


 ・・・・・・・・

 紫村キョウヤ LV1

 スキル:雷魔法LV1

 パーティメンバー:千堂マモル、榎島ヒジキ、一ノ瀬シロウ 

 ・・・・・・・・


 紫村のスキルボードに俺の名前も表示されていた。

 無事に紫村のパーティーに入れてもらえたようだ。


「これでよし。それじゃよろしく、一ノ瀬君」


「あ、ああ……」


 他のクラスメイトたちも、俺たちと同じように3人か4人のパーティーを組み終わったようだ。


「あら、あなたたちまた水浸しにされないように気をつけなさいよ。フフフフ……」


「何よ、その言い方!」


 早坂の怒る声が聞こえてきたのでそっちを見る。

 どうやら鮫島が百田とパーティーを組んだ早坂に嫌味を言ったようだ。

 言われた百田は申し訳なさそうにうつむいてしまっている。

 すぐに担任が仲裁に入る。


「こらこら、喧嘩はやめろ。百田は今日はスキルの使用は禁止だ。授業とは別に個人で練習してスキルに慣れてから使うようにな」


「……はい」


「あら、良かったわね、びしょぬれにされなくて済んで」


「だからそういう言い方するのやめてよ!」


 鮫島がいちいち癇に障る言い方をして、早坂を怒らせている。

 そして百田自身は何も言い返せずに、今にも泣いてしまいそうだった。

 鮫島が言いたいことだけ言って去って行った後、早坂が百田を慰めていた。


「それじゃ全員パーティー編成できたな?説明を続けるぞー。まずは自分の装備をもう一度確認してくれ。ヘルメットのあごひもは締めたか?服のボタンは全部閉めるように。リュックの中ももう一度確認しておけ。タオル、水筒の中身は入っているな?そして何より大切なのはその武器だ。今日は全員木刀を持ってもらっているが、この先どんな武器に持ち替えてもらってもいい。だがあまり危険な武器を持って、間違って人間を傷つけないように気を付けるんだぞ」


 今日俺たちは木刀を持たされている。非常に硬い木材を使っているらしく、叩かれたらとても痛そうだ。この木刀だけで三年間探索を続けている者も多いらしい。

 遠距離用の弓矢や、中距離用の槍など、売店ではいろいろな武器が売られている。前衛、後衛などの役割分担がはっきりしてきた時には武器を変える必要があるだろう。

 だが少なくとも1学期はこれで充分だ。


「今日は一人一体以上のスライムを倒すこと。倒した者がさらにスライムを見つけた時には、まだ倒していない仲間に譲ること。スライムは簡単に倒すことができるが、油断はするなよ。スライムの体に長時間触れると皮膚が溶けて火傷するからな」


 昨日聞いた説明を繰り返す担任の真島。

 大切な事なので何回も言うのだろう。

 こういう細かい注意喚起が、学園内での探索での怪我の少なさを維持してきたのだろう。

 まあ第一階層のスライムごときで怪我をするようなやつはいないと思うが。


「それじゃ準備ができた者から、第一階層へ行くように」


「よし、それじゃ行くか!」


 そして俺たちは学園の迷宮の第一階層へと続く階段を降りて行った。

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