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東京ダンジョン学園  作者: 叢咲ほのを
第一章 迷宮と少年たちのはじまり -The Beginning of Labyrinth and Youths-
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第10話 スキルボード

 俺たちクラスは校舎を出て渡り廊下を渡り、隣の大きな建物へとやってきた。

 ここは迷宮入り口がある建物、迷宮棟だ。

 迷宮棟一階ロビーの先に進むと、地下へと続く階段があった。

 担任に続いてクラスメイト全員がその階段を下りてゆく。

 階段を降りると雰囲気が一変する。そこは岩壁に囲まれた広い空間だった。

 部屋の真ん中には台座の上に石板が置かれている。それがスキルボードだ。

 正面突き当りには迷宮第一階層へと続く入り口がある。

 ここは迷宮の入り口となる魔物の出ない安全地帯だ。

 担任が説明をする。


「今日は第一階層へは行かず、ここでスキルを持っている者たちのスキルの確認だけ行う。ここなら魔物が出る危険もなく、迷宮外では使えないスキルも使えるからな。それじゃ一応全員スキルボードでスキルの確認をしておくか」


 クラスメイトが順番にスキルボードに手を触れていく。

 まずは紫村が一番最初にスキルボードに触れると、彼の探索者情報がボードに浮き上がった。


 ・・・・・・・・

 紫村響哉:LV1

 スキル:雷魔法

 パーティメンバー:なし

 ・・・・・・・・


 スキルボードに表示される情報は多くない。名前、探索者レベル、所持スキル、パーティーメンバーの四つだけだ。

 名前は戸籍上の名前が表示されるらしい。仕組みは分からないが、それがダンジョンのシステムらしい。

 探索者レベルは授業でも説明があったが、魔物を倒して経験値をためるとレベルが上がってゆき、レベルが上がると身体能力が上がる。

 所持スキルは最初から持っている者と持っていない者がおり、スキルオーブを使うと後からもスキルを入手することもできる。

 パーティーメンバーは、パーティーを編成するとメンバーの名前が表示されるらしい。パーティーを編成すると獲得経験値が割り振られ、ソロで活動するよりも効率よくレベルアップできるらしい。これは後程授業で教わるだろう。


 紫村に続き、クラスメイト達が順番に自分のスキルを確認してゆく。

 なんか自然とこれも成績順だな。そうなると俺は最後だ。

 入学前にも全員が一度ここに来てスキルボードの確認をしているので、基本的に知っている情報以上のものはないだろう。

 パーティー編成をしたり、レベルアップの確認をしたりする時のために、スキルボードの使い方に慣れさせるのが目的だろう。


 ・・・・・・・・

 赤石哲弥:LV1

 スキル:なし

 パーティメンバー:なし

 ・・・・・・・・


 俺の前の赤石の番が終わった。

 そして最後に俺の順番が回ってきた。

 スキルボードの前に立ち右手をボードにかざす。


 ・・・・・・・・

 一ノ瀬獅郎 LV1

 スキル:なし

 パーティメンバー:なし

 ・・・・・・・・


 俺の情報が表示される。受験時に見たように、やはりスキル欄はなしになっていた。どうやったらスキルが表示されるのだろうか?

 俺はスキルボードの表面を指でなぞってみた。


「何してんだ一ノ瀬?」


 担任から聞かれる。


「いや、どうしたらスキルが表示されるのかなあと思って」


 俺はタブレットを操作するときのように、スキルボードの上でスワイプしたりダブルタップしたりしてみる。


「おまえ、スキルボードは表示機器だから触っても何も起こらないぞ?」


 担任が言うように、確かに俺がいくら指で触っても表示は何も変わらなかった。

 俺の様子を見てクラスメイト達が笑い出した。


「一ノ瀬、スキルがないのが悔しいのは分かるが、そんな必死になってもないものはないんだから諦めろ」


 担任にそう言われ、クラスメイトはさらに笑う。

 おかしい……。

 もしかして、俺が5歳の時にスキルオーブを手に入れたのは記憶違いだったのだろうか?確かに他に5歳のころの記憶なんてあまり覚えていない。幼稚園の先生の顔も覚えていないし、10年前、しかも幼いころだったから何かほかの思い出と混ざってしまったのだろうか。

 その後もいろいろ試してみたのだが、スキルボードの表示は一切変化することはなかった。

 つまり期待していた俺の後天的スキルは、無かったということだ。

 残念だが仕方がない。子供のころの記憶なんてそんなもんだ。何か勘違いしていたのだろう。心の底からがっかりした気持ちだ。まあ、がんばっていつかまたスキルオーブを手に入れればいいだろうと自分を奮い立たせる。

 俺は手のひらをスキルボードから離した。

 一つだけ言えることは、俺はスキルを持っているんだぞと誰にも言わなくてよかったということだ。言ってたら大恥かくところだった。

 小恥はかいたけど。


 その後はスキル保持者のスキルの確認が行われた。

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