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白い大きな秋田犬の想い出

小学校の

職員室前の廊下に

白くて大きな

秋田犬がいました。


ある小学1年生の男の子は

昼休みになると毎日

その秋田犬に

会いに行きました。


秋田犬は、教頭先生が

学校で飼っています。


秋田犬の近くの廊下の壁に

大きな柱時計が

掛っていました。


6年生が

給食のトレイを持って

秋田犬の顔の前に

置きます。


6年生は

柱時計の針を合わせて

ギーという音をさせて

重りを動かします。


少年が秋田犬の体中を

撫でまわすと

フワフワの白い毛が

サラサラと

少年の腕を撫でます。


秋田犬の肩や腰の

ガッチリした筋肉の

強さが

少年の掌に伝わります。


少年は

秋田犬の足の大きさと

自分の手の大きさを比たり

秋田犬の唇を捲って

大きな白い牙を

確かめていました。


生まれながらにか弱く

小さな体の少年の

3倍以上も大きな秋田犬は

少年に体中を弄られながら

目を閉じて寝ていました。


ポッポー ポッポー

と柱時計が鳴ります。


木製の白い鳩が

出たり隠れたりを

繰り返します。


昼休みの終了5分前を

告げる音を聞いて

少年が教室に帰ります。

 

ある日、学校に

6匹の野犬が

迷い込みました。


日頃から犬に慣れている

生徒達は、野犬の群れを

怖がりませんでした。


それから数日が経って

野犬の群れが生徒を襲って

怪我を負わせるように

なりました。


その後数日が経って

野犬の群れは

いなくなりました。


学校で飼っている

秋田犬が野犬6匹を

全部噛み殺したとの

噂を少年は聞きました。


あんな大人しい犬が

他の犬をかみ殺すなんて

とても信じられなかった

少年が犬を見に行くと

いつも通りに目を閉じて

寝ている犬の口の周りは

真赤に染まっていました。 


学校で犬を飼育するのは

危険だという話が

PTAから出ました。


少年の大好きだった

白くて大きな秋田犬は

学校から

いなくなりました。


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