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八千穂類のちょい痛ジェラシー編

アパートを借りて、同棲を始めた。

繭香とのウキウキ同棲ライフ、こんな楽しいことはないし、ほんと素晴らしい!

だが。

嫉妬の火の粉なんか吹っ飛ばす! おー! なーんてお互いに顔を見合わせて笑ってたけど、お風呂に入る時だけは特別。俺はジェラシーで頭が沸きそうになってしまう。

それはなぜかと言えば。

繭香がアヒルのオモチャにぞっこんだからだ!

「可愛い可愛いなんでそんなにキミは可愛いのでちゅか?」

ちゅっと口づけなんかしている。

は? オモチャにだぞ? 人間にしろよ! そばにいるだろうが! 人間がよ!

最初、俺はまあただのオモチャだしな、と高を括っていた。けれど、段々とアヒルに注がれる愛情がエスカレートしていって、一緒に風呂に入っている俺のことは二の次、溺愛が止まらない。

何度も言うが、ここに人間がいるというのに、だ!!

アヒルを溺愛するようになってからは、俺に注がれるはずの愛情の行方、その雲行きが怪しくなってきたという不安と不満。

ある日、とうとう我慢の限界がきた俺は、

「ちょっとさ、俺のことも構ってくれない?」と言った。

繭香と付き合うようになってから、俺は自分の意見や気持ちをストレートに口にするようになっていた。良い傾向でもある。

すると繭香は、

「類くん! 類くんとはさ、ランチも一緒、異動で部署がちょっと離れちゃったけど(←社内恋愛による弊害)職場から帰る時も一緒、夜ごはんも一緒、お風呂も夜寝るのも一緒だよね? でもな、アヒルさんとはお風呂でしか会えないってわけ」

「うん」

「だからさ。お風呂くらいさ、アヒルさんと遊ばせてね」

こてんと顔をかたむける。うー可愛い!

「……わかったよ」

聞き分けの良さも大切だ。寛容な面もあるよって余裕を見せねばなるまい。

俺はアヒルと存分に遊ぶ繭香を横目で見ながら、シャワーで頭を洗った。

「繭香、シャワーあいたよ」

「はーい」

繭香がシャワーを使っている間、湯船に浸かりアヒルをお湯の中へ沈めたり、ツンツンつついたりしていると、その様子を見ていた繭香が、湯船に入ってきて、俺の胸の中へと滑り込んでくる。バックハグだ。密着最高! これ好きーー!!

ぎゅっと後ろから繭香を抱き締めながら、繭香がアヒルを横取りしようとしてくるのを、阻止する。その度にバシャンバシャンとお湯が跳ねた。

「類くん、返してよ」

「はいはい」

アヒルを渡すと途端に大人しくなる。

「類くんはアヒルさんと遊んじゃだめ」

まさかの禁止令。これはもしやジェラシー??

ちょっと嬉しいよっっ!!

そして次の日。

「これなに?」

「ハンマーヘッドシャーク。類くんのために買ってきた。類くんはこれで遊んでね」

?????? だが、正直このハンマーヘッドシャークはあまり可愛くない。真正面から見ると、さらにブサイクだった。

「アヒルさん可愛いからさ。類くんが私よりアヒルさんのこと好きになっちゃって、三角関係になっても困るから」

「ないよ」


fin

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