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EP 30

「そこのお二人〜白菜いる〜?」

「華さん、ありがたく頂戴致します。ねっ八千穂」

「ああ。白菜ロールでもやるか」

「イイね d(^_^o)。でもロールキャベツって言うくらいだからさ。ロール白菜じゃない?」

「ふーん。ま。どっちでもいいけど。おい、ほっぺに米粒がついてるぞ」

すいっと人差し指を出してきて、ちょいっと取ってパク。

ふおぉぉー。

おわかりですか? そう! 八千穂が甘いんです。

「ありがと。でも米粒って言うより、飯粒じゃない? 米粒って元来、生米の段階で……」

「さっきからどーでも良いこと言ってんなあ……あ、ここにもついてる」

そう言って、チュッとキス。

ふぉわっつ?

私は声を落として、苦言を呈す。

「ちょっとやめてよ。華さんいる前でっ」

「私は風〜私は木ぃ〜私は壁〜私は透明〜私は仏〜♪」

なんか変な歌歌ってるぅ〜。

「それよりさっきさ、香山チーフに頭ナデナデされてたろ? もうアイツ既婚者なんだからな、近づくなよ」

「ねー再婚だってーこの私めのお陰で!!」

どや!

「どこ? 頭のどこ? 触られたところ! どこ!!」

私は頭を突き出し、「こっこでーす!」 と八千穂のアゴに頭突きする。

「ってー。よし俺がナデナデして上書きする」

頭を両手で持って、チュッとキスをし、ナデナデを敢行する。

「ちょおっっっと待てい。華さんいるっての」

「私も旦那にやってもらおっと」

「華さんっ! めたくそ目障りでごめんなさいっ!」

「い〜よ〜。こうなることは目に見えてたから」

「えっ、私と八千穂が付き合うかもって?」

「『かも』じゃなくて、この二人いつか付き合うなって」

「そうなんだ……」

「八千穂くんは繭香ちゃん好き好きビーム放ってたし」

「でもでも華さん! 八千穂は、あの事務の四人衆の中の誰かと付き合ってるんだと、私思ってたから……」

「ぜーんぜん。八千穂くんってば、はたから見たら事務の四重苦……じゃなかった四人衆と繭香ちゃんに対しての態度は全然違うって〜〜八千穂くん、めっちゃわかりやすって思ってたもん。ちなみに旦那も一番堅いが万馬券なカップルの二人って太鼓判押してたよー」

「馬!」

「良いカップルだと思うよ。ケンカしないように仲良くね♡」

はーい。

そう言いながら、私と八千穂は弁当箱を片付ける。一緒に階段を降りて、それからお互いの部署に戻るのだが、ここからが要注意!

そこでいつも、

「あーー八千穂くぅん、探したんだよー」

四重苦もとい四人衆が八千穂を取り囲むように、寄ってきた。

私と『付き合ってる』を公言しても、この有様だ。

「ねえ、映画のチケット貰ったんだけど一緒に行かないぃ?♡」

「プチ整形♡したんだけど、可愛くなったかなあ?」

そして酒向さんも負けじと、「八千穂くんよりお料理上手くなったのよ。今ねイタリアンに凝ってるの。見て〜これ『ズッパディペッシェ』作ったの〜♡」とスマホを見せてくる。

はあああぁ(;´Д` ♡

この琴線にふれるというか、琴線をぶちぃっと引きちぎってくるハート攻撃&くねくね砲。八千穂に照準が合わせられていて、ぞわっと寒気がするわ。

八千穂に任せたっとその場を離れる。

すると。

「悪いけど、その映画の原作、小説版でとっくに読んだし、整形もどこイジったか間違い探しだし、そもそも『ズッパディペッシェ』がなにかわかんないし、それじゃあ仕事に戻っていい?」

「あ、うん」

塩対応が板についてきて、私はもう嫉妬することもないんだよ。

ぱたぱたとワンコのごとく駆け寄ってきて、八千穂が肩をぐいっと抱いてくる。そして、私の耳元に囁いて。

「やっぱ繭香がいっちばん可愛いなあ。俺さ、わざと嫉妬とかさせて嫌な思いさせたくないし、繭香一筋だから……安心して?」

はーなんだこのイケメンハイスペ祭り。

心からの安心感と身体中をキラキラ支配するこの喜びったらない!

「うん! 私も羨望ヤキモチ火の粉なんて堂々吹っ飛ばして、『推し』は八千穂一択でいくからね!!」

「『推し』て! 俺ら、結婚前提の恋人だろ!」

ナチュラルにプロポーズぶっ込んできた〜。

そして八千穂と私、顔を見合わせて笑った。




お読みいただき、ありがとうございました。また本棚に入れていただき、ハートやスタンプをありがとうございました。とても励みになりました。

あと番外編が2話続きますので、お読みいただけたら幸いです。

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