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EP 27

「酒向さんと付き合ってるんじゃないの?」

「付き合ってないって」

「マルヤスで買い物してたじゃん」

「あれは偶然……ほんと偶然あそこで会って」

「それ浮気現場見つかったサラリーマンのセリフな」

「違うっそれマンガの見過ぎっ。ほんとのことだから! 全然やましくないから!」

「あれでしょ? コラボ缶目当てで、」

「繭香目当てで!!」

「え……?」

こんな風に言うつもりはなかったのに。もっとバラ色なシュチュエーションで告るつもりだったのに。

「好きなんだけど」

「だ、誰が?」

「俺が繭香のことを!」

前へとうなだれて、頭を抱える。ゴトンゴトンと電車の揺れ。一緒になってつり革も揺れる。

「俺と付き合ってください」

「……びっ……くりしたぁ」

「返事は……」

いつまでも待つから、と続けようとしたら。

「いえす」

えっ? はっ早っ、即答か! いや、ちょっと待て。混乱してる。え? まじで? YES?

「ほんと? いいの?」

「うん。まあもしかしてあり得るかなーのシュミレーション? は、してたし」

「はっ????」

「だって最近? ヤキモチかなんか知れないけど、得体の知れない火の粉が飛んできてるような気がするなって思ってたし?」

「……まじでか」

「それに自分でも予想外のヤキモチのおかげで八千穂のこと好きだって自覚してたし」

俺のこと、好き……。

「そ、そうだ! じゃ香山チーフは?」

「はあ? なんで香山チ……あ、なるほどー。マルヤスの件!」

「それもあるけどさっきの件!」

「あっ」

繭香が口をさっと手で塞いだ。なんだよそれ。

ありゃ個人情報だから詳しくは言えない、口にするのも恐ろしいむにゃむにゃ……ってお茶を濁すんじゃねえ!

「こんな可愛いかっこでさ。デートかと思うじゃんね」

「かわ、可愛いてw」

「可愛いよ!! 繭香は可愛いの!!」

ぽわわ〜んな空気に、電車内の乗客が若干引き気味のようだが、俺は全然気にならない。

信じられるか? 繭香にYESをもらったんだ! 俺、繭香と付き合うことになったんだぞ!

天にも昇る気持ちって、こういうことを言うんだな。足元もふわふわでさっきまでの重苦しさは、ぴゅーんとどこかへ飛んでった。

「行く」

「ん? なに?」

「八千穂んち行く」

神様あぁあありがとぅーーーーーー!


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